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7.メイド長キャサリン

「陛下よりご案内役を仰せつかりました、メイド長のキャサリンですにゃ。どうぞお見知りおきくださいですにゃ」

「こちらこそ、ソフィー・セシリアと申します。お世話になります!」


 ケットシーのメイド長さんに案内され、甲板から船内へと移動する。

 ふわふわで毛並みの整った美人な白猫さんだ……!


 背丈は私のお腹よりちょっと高いくらい。

 細長い尻尾もとっても素敵だ。はっきり言って可愛い。


(……尻尾を触らせてって言ったら怒られるよね)


 眠気が限界に達してはいたけれど、最後の理性で踏み止まる。


「こちらにどうぞですにゃー」

「はーい……おおっ」


 船内は汚れひとつなく、まぶしい白色の壁に包まれていた。

 前世のテレビで見た豪華客船そのものだ。


 廊下は広々として、所々に観葉植物が置かれている。

 壁には美麗な絵画や彫刻品が配置され、飽きさせない。


「すごいですね……っ!」

「にゃー、ありがとうございますにゃ。このアラン=ウェズールは陛下の宮殿そのものですにゃ。ぜひご堪能くださいですにゃ」


 なるほど……。

 飛行船アラン=ウェズールを設計、製造したのはアズールだ。

 凝り性の彼なら内部も精巧に作るだろうな。


 キャサリンの後ろから船の内部を歩いていく。

 飛行船は思ったよりも安定していて、全然揺れを感じない。

 こんな船で旅行できたら最高だろうな。


「……にしても、陛下がアラン=ウェズールにリディアル帝国人以外を招くなんて珍しいことですにゃ」

「あー、やっぱりそうなんですね」

「甲板の上ならまだしも船内となると、今回が初めてですにゃ」


 おおー、じゃあ私が外国人初なんだ。

 そう思うとありがたみが増す。

 船内をきょろきょろ見渡したくなるけれど、我慢しよう。


 少しの間歩くと、これまた広い脱衣所に到着した。

 数十人が同時に余裕で着替えできるくらいだ。


 そして扉の向こうが浴場だとすると、あちらも相当な広さがある。

 日本でいう所の大浴場くらい……。


 こんな施設を船内に作ってしまうとは本当に驚きだ。

 で、脱衣所には何人ものもふっとしたケットシー族のメイドさんがスタンバイしていた。


「こちらでお着替えくださいにゃ」

「ありがとう……よいしょっと」


 やっと服に仕込んだ小瓶を置ける。

 私は服のあちらこちらに入れていた瓶をごとごとと机に並べていった。


 小瓶を並べるとキャサリンがくむくむと興味深そうに覗き込む。


「にゃ……? それはなんですかにゃ?」

「えーと、ポーションです」

「ポーション!! これがですかにゃ!?」

「はい、あー……一応、錬金術師みたいなことをしておりまして」

「――ッ!! もしかしまして、ランデーリの至宝とはあなた様のことですかにゃ!?」

 

 えっ……ランデーリの至宝ってなに?

 私、そんな風にリディアル帝国では呼ばれていたなんて。

 思ってもみなかった。


「超高難度のポーションを錬成しその成果は星のごとく国々の間を駆け巡る、ですにゃ! その正体は完全にわからず、ただランデーリ王国にいるとだけ……!」


 キャサリンが腕を振り上げ、尻尾をふりふりさせる。

 メイドも盛り上がっていた。

 

「この御方があの……!! 確かに、陛下がお連れするわけですにゃ!」

「あのポーションで私の従兄も元気になりましたのにゃ!」

「ぜひとも握手してくださいにゃ!」

「あっ、抜け駆けはずるいですにゃ!」


 おおー……なんという人気!

 普通の人間からこんなに押し寄せされると嫌かもだけど、ケットシー族なら大歓迎ですとも。


 私はぎゅむーっと集まってくるケットシー族に癒されながら、握手に応じていく。

 ふもっとした毛の感触、それに……むにっとした肉球。

 とてもいいです。素晴らしい。


「もう! 陛下の大事な婚約者様に失礼ですにゃ!」

「気にしないでください、全然苦じゃありませんので……」


 たくさんのケットシー族に囲まれ、むしろ幸せです。

 ああ……この人たちのためになったのなら、あの地獄のような過重労働の日々も少しは報われる……。


「なんと御心の広い方ですのにゃ……。じゃあ、わたくしも握手を……」

「もちろん! いいですよっ!」


 肉球はいくらあってもいいので。


 ……ああ、しかし足りない。

 寝不足で疲れたこの身体はまだまだ癒しを求めていた。


 もっと触れ合いたい……。

 毛づくろいとかさせてくれないかな……。

 

 あっ、そうだ!

 ケットシー族はとても綺麗好き、お風呂も大好きなはず。


「皆さん、一緒に入浴しませんか!?」


 と、提案するとメイドさんたちが尻尾をふりふりさせた。


「いいのですにゃ!?」

「ご一緒できるなんて、なんて光栄ですにゃ!」


 やった――!!

 私はふふりと淑女の笑みを浮かべる。

 

「ええ、ひとりだけだと寂しいですし。ご一緒しましょう!」

【お願い】

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