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93話 作戦会議

「さて、そろそろ真面目な話に移るとするか」

自己紹介も終わり、一通り打ち解けたところで隊長が本題に戻した。

「俺たちは特殊隊としてこの6人だけでケルンに潜入しなくちゃいけない。まずはケルンについての詳しい情報を知りたい。そこでだ、また冒険者でケルンについても知識があるリールに話を聞きたい」

「オッケー、私が知ってることならなんでも話してあげる」

「まずはケルンの種族割合だな」

「私が知ってるのはケルンが他種族側につく前のだけど、7割が人間族、2.5割が獣人族、残りがエルフ族と言った感じかしら。と言っても、獣人族とエルフ族のほとんどが冒険者だったけど」

「なるほどな、そして現在のケルンは他種族側についているわけだが、ケルンに元々住んでいた人間族はほとんどがなかったんだよな」

「そうね、交易の街だったから民間人が戦えるとはお前ないけど、私たちの障害になるのは他種族だけではないようね」

「だが、人間族がいるなら都合がいい」

「それはどういうことですか?」

「俺たちが侵入しても気付かれるリスクが低いということだ」

「そういうことだな。だが、最前線になった以上戦えない人間族はほとんどいなくなったんじゃないか?」

「その可能性はあるわね。だけど、あれだけの人間族全てがいなくなったとは思えないわ。侵入するには充分な人数が残っているはずよ」

「なぁ今更だが一つ聞いてもいいか?」

「どうしたシェパード、何か気になることがあったか?」

「そもそもなんだがこの世界の冒険者というのはどういうものなんだ?」

「はぁ?冒険者を知らないの?というか、あんた今この世界のって言った!?」

「そういえば言ってなかったな、俺は召喚されてこの世界に来たんだ」

「あんたが噂の!?」

「まぁこのタイミングでその強さだ。俺はなんとなく気づいていたがな」

「私も、なんとなくですが…」

「その強さで今まで名前を聞かないのは不自然すぎたからな」

「ちょっと待って、気づいていなかったのは私だけ?」

「そういうことだな」

「はぁー、あんたがこの世界の仕組みについて詳しく知らない理由はわかったわ。冒険者というのはね、冒険者協会に所属して魔物を狩るなどの依頼をこなして生計を立てている奴らのことよ。そして、冒険者協会は魔族を除く全種族の平等を掲げていた組織よ」

「いた?」

「この争いが始まって以来、他種族が関わる冒険者協会は実質的に崩壊したのよ。自分の種族と争っている相手と協力して行動するなんて無理な話よね」

「それじゃあ冒険者はどうなったんだ?」

「私のように国に雇われていたり、傭兵として生計を立てていたり様々よ。あとはまだ冒険者の体制が残っている獣人族の国で働いている奴もいるかもね。少なくとも人間族の領土では冒険者協会というのは機能してないわ」

「教えてくれてありがとな」

「気にしなくていいわ。それで侵入の仕方はどうするの?」

「それなんだが、どうしたもんかな…」

「あの、私の魔法を使えば侵入自体はできると思います」

「アンバーは確か罠を仕掛けたりする魔法が得意なんだよな?」

「はい、罠を作る際に形を変える魔法を使うのですが、それを使えばケルンの壁を通り抜けることができると思います」

「なるほど。だが通り抜けるのはいいが俺たちの姿を見られる可能性は残っているな…」

「た、確かに…」

「それに関しては俺に任せてくれ!俺が透明化の魔道具を作れば問題ない」

「そうか、錬金術師であるジェイルなら可能だな」

「だが透明化の効果を魔道具につけても長時間の効果を持たせることは厳しいぞ。魔道具は性能によって使用する魔力量が異なるが、効果を持続させる、それも透明化となると莫大な魔力を使うことになる」

「魔道具は魔力があれば誰でも使えるんだよな?」 

「そうだ、魔法は素質と職業による制限があるが魔道具にはそれがない。その分、魔力消費が多かったり、使用回数に限度があったりなどの制限があるがな」

「魔力があれば誰でも使える…なら、俺が使えば問題ないかもしれない」

「そういえばお前の職業は聞いていなかったな」

「俺は旅人だ」

「旅人か…なら魔法が使えないし、魔力量はあまり多くないんじゃないか?」

「いやそれなんだが…俺の魔力量は3000なんだ」

「はぁ!?」

「魔法が使えないのに、その魔力量…宝の持ち腐れにも程があるだろ」

「いや、そうでもない。俺が魔道具を作ればそのアホみたいな魔力量を生かすことができる!それほどの魔力があれば、透明化も余裕を持って使うことができる」

「その魔道具を作るのにはどれくらいかかるんだ?」

「素材は揃ってるからな、1時間もあれば作ることができる」

「そんなに早くできるのか!」

「俺はこれでも凄腕の錬金術師だからな」

「なら今夜ケルンへの侵入を決行するぞ!」

「おう!」

俺たちはその後ケルン侵入計画について細かい話し合いを済まし、作戦決行時間を待った。


「全員揃っているな」

「6人しかいないんだから見ればわかるでしょ」

「確認は大事だ。気がついたら一人少ないなんてこともあるからな」

今夜は星明かりも少なく侵入にはちょうどいい。

透明になるならあまり関係ないかもしれないが。

「シェパードこの魔道具を頭に巻き付けてくれ」

「これって…」

俺が手渡された魔道具はハチマキだった。

俺は頭にハチマキを巻き付ける。

「うわ、本当に姿が消えた!」

「俺が失敗作を持ってくるわけないだろ…あとは透明化している者に触れれば全員が透明化するはずだ」

俺は一度ハチマキを外し全員が触れ合ってることを確認し再びハチマキをつける。

「これはすごいな、透明化してるもの同士は見ることができるのか」

「これなら接近は余裕ね!」

俺たちは透明化し、ケルンを目指して進んだ。

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