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「で、でも……騒動を起こしてしまいましたし、あの、お父様……子爵がたくさんの貴族からにらまれて立場が無くなると……」

 ウォルト様がハハハと笑い飛ばした。

「悪いことをしてきたやつらが逆恨みすることはあるだろうなぁ。だが、まっとうに生きてきた者たちは何とも思わないさ」

 ブレッド様がそれに続く。

「そうそう。後ろ暗いやつらがいくらなんて言おうがかまう物か。むしろ、無理強いされてきた貴族や商人たちから感謝され、商売がやりやすくなるよ」

「うん。だから義姉さんが迷惑なんてことは全然ないよ」

「僕も、迷惑かけないようにジュースもこぼさず飲めるようになったよ。でも、時々こぼしちゃうけど、お父様もお母様も僕のこと嫌いになったりしないよ」

 いいの?

 本当に……。

「養女に……してもらってもいいんですか?」

 お祖母様がぽんと私の肩を叩いた。

「もちろんですよ!社交界の噂なんてすぐに消えてなくなりますよ」

 それからお祖父様が大きく頷く。

「それに、ヴァイオレッタの噂など、ソフィアンナには関係なかろう?」

 どうしよう。こんなの……。

 私……。

 一人だと思っていた。

 寂しくて、悲しくて。家族が欲しくて。

 こんなに一度に、たくさん家族ができるなんて、こんなに幸せでいいの?

「ありがとうございます。私を養女にしてくれて……お祖父様、お祖母様、お義父様、お義母様、お義兄様、それからシャルン様、マイルズ様……よろしくお願いします」

 頭を下げると、ぎゅっと、前からお義母様に。後ろからお祖母様に抱きしめられた。

 ボロボロと涙がこぼれ、その涙を誰かがかわるがわるにぬぐってくれる。

 少し落ち着いてから、ソファに座って、お茶を飲んだ。

「あらまぁ、ソフィアと同じね。カップを持つ時に薬指と小指を立てるのね」

 お祖母様が何気ない私のしぐさを見てお母様のことを話してくれるのが嬉しい。

「今度、ジョアンナと3人でお茶会しましょうね。ちょうどあなた位の時のソフィアのことを話してあげるわ」

 ビィーナ様がお母様のことを教えてくれるのが嬉しい。

「さぁ、でもその前に。ルード様、ジョアンナからいろいろ聞いているわ」

 新しい家族ができたことが嬉しすぎて、すっかり忘れていた。

「あの、ルード様、ここへ連れてきてくださりありがとうございました」

 ルード様からすれば、ヴァイオレッタは憎い相手だったろう。

 アイリーンとして話をしているときに、何度も憎しみのこもった声で名を口にしていた。

「あ、いや……。えーっとソフィアンナと呼べばいいかな」

 ビィーナ様がルード様に質問を投げかける。

「貴方は、次期辺境伯よね」

「はい」

「子爵令嬢を妻に迎えるのは難しい立場でしょう」

 その言葉に、ルード様は静かに頷く。

「伯爵令嬢であれば、問題はないのでは?」

 今、なぜビィーナ様が突然ルード様の縁談の話を出したのか分からない。

 ジョアンナ様からどういう話を聞いたのか知らないのだから、分かるわけないか。

 ルード様は何かに気が付いたようで、立ち上がった。それに合わせて、新しい私の家族たちも席を立って、私の後ろに移動する。

 え?何?

 私も移動した方がいい?

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