表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
■誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~  作者: とまと(シリアス)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/83

51

 あ……。

 私、今まで何かしたいと思うことも、誰かに何かしてあげたいと思ったこともほとんどなかったけれど……。

 私は……ハンカチ1枚を贈る自由もないんだ。

 糸一つ、自分が自由にしていいものはない。買うお金もない。

 そして、日が昇ってから暮れるまで仕事をして、夜しか自由になる時間がないけれど、明かりのための蝋燭も自由にならないから……。刺繍をするための時間も……。今だと、刺繍をしたいと言えば、糸も蝋燭も手に入るけれど……。出来上がったものは私の自由にならないだろう。

 それが当たり前だったから、何とも思わなかったけれど。

「ああ、それから、これを」

 ミリアがポケットから手紙を出した。

 1つは簡単な封筒。もう一つは侯爵家らしい格式ある封筒に入っていた。

 簡単な封筒を開くと、ジョアンナ様に出した手紙の返事だった。任せてちょうだいと、一言だけ。

 ほっと息を吐き出す。

 これで、ミリアがもし子爵家を私のせいで首になっても大丈夫だ。

「ありがとう、ミリア……」

「いつでも仰ってください。健脚なのでお使いは得意ですから」

 ミリアが自分の足をぽんっと叩いた。

 ……きっと、何らか事情がある手紙だというのは分かったよね。

 また、手紙を届けてあげますよと言うことを言っているのだろうか。

 手紙と、糸を買ったおつりを持ってお父様の執務室に向かう。

「お父様、使いに出していた侍女が戻ってまいりました。お父様に手紙を。それから買い物をしたおつりがこちらです。明細はこちら」

 お父様に侯爵家の紋が入った封筒を私、家令に買い物の明細とおつりを渡す。使用人はすべて入れ替わったけれど、お義母様の弟の家令だけは残っている。

 お父様は、手紙の封を切る前に、私の顔を見た。

「で、刺繍はどこまで進んでいる?」

「はい、あの、あと2時間ほどで1枚完成すると思います」

「そうか。じゃあ、明日には間に合うな。私のポケットチーフとして使う」

「え?お父様が使うのですか?」

 お父様が私をにらんだ。

「なんだ、私が使って何が悪い」

「いえ、あの……女性向けの刺繍をしているので……」

 ドンッツと、お父様が机を強く拳でたたいた。

「だったら今から縫い直せば済むだろう!いちいち言うようなことじゃない!」

「……は、はい……」

 慌てて部屋に戻る。

 今から?お父様用に?

 刺繍糸と一緒に、布も買ってきてもらえばよかった。ドレスの布から作ったハンカチはピンクしかない。

 ……そうだ。

 クローゼットのまだ見ていない引き出しを見る。

 きっとハンカチも持っているはず。お父様用の刺繍をできそうなものもあるんじゃないかな?

 引き出しにはハンカチがたくさん入っていた。

 真新しい、レースや花の刺繍がちりばめられたハンカチが。

「どれも、だめね……」

 それにしても多いけれど、いただきもの?

 ……よく見ると半分くらいはシミが……。

 ドレスも飲み物などをこぼしたようなシミが付いていたし……シミが残っているから新しハンカチをどんどん買っていた?

 と、こうしてはいられない。他にハンカチが置いてありそうなのは……。

 ドレッサーの引き出しを開く。真ん中の一番大きな引き出しには宝石が入っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ