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■誰の子か分からない子を妊娠したのは私だと、義妹に押し付けられた~入替姉妹~  作者: とまと(シリアス)


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 ドキドキと心臓が高鳴る。もし、そうなら……。

「見せたいものがあると言っただろ?ほら、こっちだ」

 ルード様に手を引かれ、生垣でできた迷路を進み、抜けた先には。

「綺麗……」

「だろう?」

 一面に広がる花の絨毯。

 それも、濃淡の違う紫色の花で模様が描かれている。

 紫の花の絨毯が広がっている。

 優しい春風に、さわさわと揺れる様子もとても可愛い。

 しばらく無言で美しい景色を見ていた。

「アイリーンに見せたかったんだ。この花、ヒヤシンスって言うんだ。本当は、黄色やピンクや白や赤、いろいろな色を咲かせるらしんだけど、あえて紫だけを植えてるんらしい」

 ポカーンとした顔で思わずルード様を見てしまった。

「詳しいんですね……」

 この間は薔薇くらいしか知らないと言っていたのに……。

「あはは。実は事前に教えてもらったんだ。花言葉も知っているぞ?紫の花ことばは『許してください』と『初恋のひたむきさ』だそうだ。なんでも神話がもとになった花言葉だそうだ」

 しゃがんで、ヒヤシンスの花をじっくりと眺めた。

 濃い紫色は、ルード様の瞳の色に似ている。

 室内では濃紺に見えたルード様の瞳は、太陽の元では動きによっては少し紫っぽく見えることもある。

 許してください……。

「庭師には積んでいいと許可をもらっているよ」

 私の隣にしゃがむルード様。

「花言葉を、もう一度教えて」

 横を向けば、ルード様の顔がすぐ近くにある。肩と肩が触れ合う。

「許してください」

 ルード様の口がゆっくりと花言葉を口にする。

 ルード様の瞳の色に一番近い濃い色のヒヤシンスを1つ摘む。

 5つほどの可憐な花のついたヒヤシンスを二人の前に差し出した。

「許してください……それから」

 ルード様が口にした花言葉を繰り返す。

「初恋の……ひたむきさ」

 ルード様がもう一つの花言葉を口にした。

 ルード様の瞳色をしたヒヤシンスを、チーフポケットに刺した。

「初恋のひたむきさ……」

 熱に浮かされたように、ルード様の言葉を繰り返す。

 チーフポケットにヒヤシンスを刺した手をルード様が握った。

「許してください……」

 ルード様から出た言葉に、続けた。

「許してください」

 誰に、何を許しを乞うのか。

 アイリーンのフリをして騙していること?

 それとも……ルード様を好きになってしまったこと?

 ルード様が私の手を口もとに持っていき、そっと指先に唇を押し当てる。

「許して、ください」

 好きですと言う言葉の代わりに、まるで呪文のように……口をついて出る言葉。

 ああ、紫のヒヤシンスは、どうしてそんな花言葉を持ったの?

 私のように……許されない恋をしてしまったの?

 ルード様が尚も、私の指先に唇を押し当てる。


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