【あいつのこと】悪役令嬢配信【どう思ってるの?】Part9
ディベアとのフラグっぽいものを踏んだ気がする。
イベント次第では俺の今後に影響が出そうだが、ここで俺が取れる行動は幾つかある。
まず1つ目はこのフラグっぽいのに身を任せて会話を進めることだ。
おそらくこのフラグではディベアの詳しいことを知ることができて、ディベアとの関わりが大きくなるだろう。
好感度に関しては分からない。イベントの種類によっては嫌われるものも有るからな……。関わりすぎると俺の描いていた未来像が崩れる可能性があるため、この選択肢はできればとりたくない。
では2つ目。これは1つ目とは真逆で完全に無視することだ。
イベントを進めないため俺たちの関係に激しい変化が起きることはないだろう。俺は何もディベアのことを知らずに過ごすことになる。
イベントによる好感度の変化はないだろうが、ある程度この雑談の中で好感度は稼げるだろうから構わない。ただ、何もしないのは心苦しいという場合にはこれもまた選びたくない選択かもな。
なら最後に3つ目。これは2つ目に近いと言えば近い。2つ目のと同じで、この場では一旦も会話を無視する。
ただ、違うのはその後の行動だ。明日辺りに皇子に近づいて、ディベアが何か悩みを抱えているようなことを教えれば良い。そうすれば、負い目のある皇子は何か行動を起こすはず。
そこで皇子とディベアの親密度が高まる可能性もあるな。
他にも選択肢としては取り巻きに伝えたり教師に伝えたり、そんなのも考えはした。
色々と考えたわけだが、
ようこそ異世界へ:どうすれば良いと思う?
やっぱりコメント欄に尋ねるのが1番だよな。
俺が固定コメントで幾つか選択肢を出してみせれば、
ショタコンおじさん:ショタと関わる機会が欲しいから3つ目
レムレム:そこは男見せろ。1番だろ
こころり:君子危うきに近寄らずはどこに行ったの!?2番でしょ!……ひぃぃ。権力怖い!!
黒鶏:皇子と教師がどの程度信用できる変わらんし、取り巻きかなぁ
俺俺:2番か取り巻き
コメント欄で色々と意見が出される。
ただ、やはりバラバラだな。何か1つの意見にまとまるということはなかった。ただ、とりあえず教師に相談するという意見はほとんど見られなかったな。なんと言う教師の信用のなさ。
……まあ、貴族社会がある場合に教師って信用しにくいからなぁ。教師もどこかの派閥に属しているだろすい、下手に動いて公爵家の恨みを買うのもまずい。
「お嬢は殿下のことどう思ってんだ?」
コメント欄に意見を求める間、俺は場をつなぐために雑談を行なう。
若干テーマが恋バナっぽくなってるかもしれないが、断じて恋バナのつもりはない。
「わ、私ですの?私は……特に何も思っていませんわ」
「え?そうなの?」
「そうですわよ。……え?意外そうな顔をしていますわね」
まさしくディベアが言うように、意外だった。
コメント欄でも、
黒鶏:え?悪役令嬢って、小さいことから攻略対象を意識しチエルイメージがあるんだけど
俺俺:「身分としても美しさでも釣り合うのは私しかいませんわ」って子供の頃から言ってるイメージ
ショタコンおじさん:あ゛ぁ?お前ショタに何か不満があんのかゴラァ!!
意外そうな声と、不満の声が。不満に関してはどうでも良いからスルーだな。
……ただ、皇子が身分的にも外見的にも悪役令嬢的に惹かれるであろう存在なのは確かだ。
「言い方は悪いかもしれんが、玉の輿を狙えると思うんだがな」
「あぁ~。……まあ、言いたいことは分かりますが、私もそこまで求めているわけではありませんし」
「ん?そうなのか?」
「そうですわ。実家から狙えと言われればそれはもう従うしかありませんが、今のところ何も言われおりませんし。……殿下がもし皇帝になるようなら派閥争いにも巻き込まれ、後宮の中の争いにも巻き込まれ、まともな人生は送れそうにないと思うんですの」
死んだ魚みたいな目をしながらディベアは言う。悪役令嬢になるとは思えないほどの嫌がり様だな。
俺の中のイメージでは、
「位が高い家の人達って、周りが敵だらけでも全員○して生き残ったるわい!みたいなイメージなんだが」
「それは生まれたときからそういう教育を施されたりとかした、一部の狂った人達だけですわ。私をあんな人達と一緒にしないで下さいまし」
ディベアからジト目を向けられた。
俺は大困惑である。
ようこそ異世界へ:どういうこと?
俺俺:????
黒鶏:そういう教育を施されてない?じゃあ、ゲームの中のディベアはどういう状況だったんだ?
こころり:ああぁぁぁぁ!!!ロリのジト目助かりゅぅぅぅ!!!!!
悪役令嬢ができるんだから、そういう風に狂った育てられ方をされてきたんだと思ってた。だと言うのに、本人は全くそのようなことはない風に話をしている。
「もし今回のことで婚約が決まりでもしたら、私2日くらい倒れて寝込むかもしれませんわ」
「……俺、お嬢のことが理解できない」
「え、えぇ?」
頭を抱える俺に、ディベアは困惑した様子を見せるばかりであった。