【コメント欄と】悪役令嬢配信【交流だ】Part6
事故があってから。クラス全体が気まずい雰囲気だった。楽しそうに談笑している間も、どこか皇子やディベアを気にしている。近くに2人のどちらかが来るようなら、速攻で避ける。
こころり:ひぃぃぃぃぃぃ!!!????いじめだぁぁぁぁ怖いよぉぉ!!!!
俺俺:怖いよぉぉぉぉ!!!!!
ショタコンおじさん:イジメ。ぱしり……うっ!頭が!
レムレム:いじめられた経験があるやつが結構多いな。……お前ら落ち着け。そこまでのレベルじゃないから。
なんか、いじめられた経験がある奴らが一定数いて、トラウマを思い出しているようだ。気持ちは分からないでもないから、そっとしておこう。
俺は特に何もせず、配信に徹する。君子危うきに近寄らず。悪役令嬢にも、皇子にも、何か闇が深そうな視聴者にも、向こうから関わってこない限り絶対に関わらない!それがモブな心を思った俺なのだ!!
……まあ、だからこそ配信能力を持つのには適していると言えるかもしれないな。
「それでは本日の授業はここまでです。皆さんお疲れ様でした」
おっと。色々考えていたら、学校が終わりそうだな。ディベアを映してたら教師の話をかなり聞き逃してたぜ。……まあ、聞き逃したと言っても一応聞き流す形で情報の整理くらいはしてたから、重要なことは言ってなかったことくらい分かるけどな。
「それでは皆様。さようなら」
「「「「さようならぁ!!」」」」
元気の良い声で帰りの挨拶が行なわれて、生徒達が次々に教室から出て行く。俺はその様子を少しの間眺めた後、机に突っ伏して時間が過ぎるのを待つ。
……ようなフリをしつつ、コメント欄と会話だ。
レムレム:学校デビューは大失敗だったな
俺俺:ぼっちスタートな上に、今後もぼっちの予定なのは悲しい
ようこそ異世界へ:流石に会話の年齢的なレベルがな……
黒鶏:会話のレベルはあれだけど、今後生きていくのに繋がりは大事なのでは?
こころり:あんまり関わりすぎると継承権に影響が出ますよね……
ショタコンおじさん:継承権とかどうでも良いから!ショタと仲良くなってよ!!お金は出すからさぁ!
コメント欄で言われているように、俺は友人を作らなかった。
頑張れば似たような境遇や身分の子供と友好関係を築くことができたかもしれないが、わざわざそこまでするつもりはない。
理由は、これまたコメント欄にあったように、継承権に問題が出てくると面倒だからだ。
継承権というのは、簡単に言えば次の貴族に誰がなるのかに関わることだな。
俺の家は男爵家であり、当主になる以外は大して重要な職業に就くことができない。だからこそ、当主になるというのは非常に大事であり、争いが起きやすいところなのだ。
実際、皇族などに関しては皇帝が代替わりするときに皇族同士て帝位を巡って血みどろの争いか繰り広げられることもあった。勿論血が流れない場合もあったが、どちらかと言えば死人が出ないケースの方が希なくらいだ。
そんな継承権の争いは、皇族ほどの規模でないにしても貴族の家でも起こる。10人兄弟で殺し合って、1人だけ生き残ったもののすでにその時には争いの影響で領地がボロボロなんていう過去の事例もあったくらいだ。
ようこそ異世界へ:継承権を巡って争うなんて面倒だ。貴族には関わらないに限るな
黒鶏:夢がないなぁ。俺たちに助けられて領地経営無双とかできるかもしれないのに
俺俺:勿体ない
ショタコンおじさん:ようこそさんの兄たちはたいして才能もない普通のショタだったし、やろうと思えばすぐに継承権の1番目になれると思うんだけど。
現在俺の家で継承権が1番上なのは長男だ。基本的に長男の継承権が高いっていうのは一般的なことだな。そして、何も実績のない三男に継承権でトップに立つなんていうのがほぼ不可能というのも当たり前のことだ。
俺は貴族になる気もなければ貧乏な領地を経営したいなんて言う気持ちもないから、この争いは関わらないように気を遣っている。
兄たちも平凡ではあるが、仲が悪いわけではないしな。平和に、記録に残ることもなく領地を治めて欲しい限りだ。
下手に発展すると、身内である俺が呼び戻される可能性があるから(何か事業を行なう際、外部に任せるより親族に任せた方が心配が少ないため)それはそれで困る。
ようこそ異世界へ:個人的には、平民として生きていけるから男爵家で良かったとは思っているがな。
こころり:権力……陰謀…………うん。怖い
黒鶏:最初から覚悟が決まってないと、貴族って言うのも辛いかもな
俺俺:でももったいなくない?
ショタコンおじさん:是非ともこれがフラグになって、貴族の陰謀に巻き込まれて欲しい
俺の意見に同意するやつ、それでも貴族になる方が良いと言うやつ、……そして、俺をどうしたいのか分からないやつ。
そんな色々な奴らがコメント欄にはいる。海外からのコメントは海外からのコメントで独自の視点があったりして面白く、このままかなりの時間を過ごせそうな気がした。
が、突如として、
とんとん、と俺の肩が叩かれる。
折角楽しくコメント欄と交流できてるのに邪魔しやがって、と思いながら顔を上げれば、
「ご機嫌よう」
「……あぇ?」