【あふれ出す】悪役令嬢配信【小学生感】Part3
入学式から1日。
俺のこの世界に対する好感度は大きく変化していた。一昨日まではつまらない世界だと思っていたが、今は違う。
この乙女ゲー世界を精一杯楽しもうと思っているところだ!
1つの出会いで楽しみが幾つか増えた。この世界の謎や裏設定なんて言うのを調べる(視聴者に教えてもらう)のも楽しいが、やはり1番の楽しみは、
「わたくしならこの程度余裕でしてよぉぉ!!」
「「「「流石ですディベア様!」」」」
悪役令嬢。そして、その取り巻き達の様子を観察&配信することだ。今は悪役令嬢であるディベアが学校で出された問題を解いて自慢げにしているところだな。
黒鶏:1+1を解いて自慢気なの草
俺俺:草w
ショタコンおじさん:しかも間違えてるし。1+1は2じゃなくて田んぼの田だぞ!!
レムレム:小学生と同じ知能のやついるじゃねぇか。お前の頭叩くぞ
こころり:ひぃぃぃ!!!!叩かないで!よく小学生以下だって言われてるけど叩かないでぇ!!
今日もコメント欄の奴らは元気だ。小学生に張り合おうとするやつがいるのは悲しくなるな。……なんか、同じ世界の出身だとは思いたくない。
あと、田んぼの田って、異世界だから通じないんだけどな?言語別だぞ?
「ディベア様!見て下さい!解けました!!」
ディベアが1+1を解けたことで褒め称えられる中、1人の取り巻きが紙を見せた。そこには、1+2=3,2+2=4と書かれている。
つまり、それは少しだけではあるもののディベアを超えたということ。
レムレム:やばくね?自分より上とか許せないだろ
俺俺:ヤバそう……
黒鶏:助けた方が良いんじゃないか!?殺されるだろ!
ショタコンおじさん:ギャアアアァァァァ!!!!!ショタの前で人殺しをしないでぇぇ!!!!ショタが汚れるぅぅぅ!!!!
コメント欄がわっと騒がしくなる。悪役令嬢の前で悪役令嬢よりも高い結果を出せば、それはもうコメント欄がザワついてしまうのも当然だろう。
大抵のゲームでは、主人公が悪役令嬢よりも優秀だったり愛されたりしてそれに悪役令嬢が嫉妬するわけだから。悪役令嬢より上のやつなんて消される。
だが、コメント欄のざわつきに対して、俺はあまり慌てることはなかった。なぜなら、
「そう。凄いですわね。この調子なら文官、いえ、宰相にまで慣れるかもしれませんわ!」
「あ、ありがとうございます!頑張ります!!」
ディベアは結果を出した取り巻きの頭を撫でた。その顔には一切の曇りがない。心からその結果を祝福し、喜んでいるようだった。
黒鶏:え?
俺俺:え?
レムレム:褒め、た?
こころり:ロリがロリの頭撫でてるぅぅぅ!!!慈愛に満ちた顔最高すぎる!ロリ百合とか尊すぎぃぃぃ!!!!
ショタコンおじさん:まあ、そうだよね。こうなるのは分かってた
コメント欄(日本などの一部の乙女ーゲームを知っている国限定)は混乱している。その様子を見ながら、俺は心の中で「甘いな」なんて思いながら、流れてしまわないように固定コメントを書く。
ようこそ異世界へ:ディベアは仲間思いなんだよ!取り巻きが喜べば一緒に喜ぶし、取り巻きが悲しめば一緒に悲しむ!そういうやつなんだよ!!……本来、ゲームでは主人公がディベアの取り巻きになれば全て丸く収まるはずなのに!あの○○主人公が!!
悪口は配信の関係上ほとんど削除されるようになっているので、俺はあえて○○という風に打ち込んでコメントする。
ただ、ちょっとコメントに熱が入りすぎてしまったようで、
黒鶏:好きすぎて草
俺俺:草www
こころり:もしかして同志!?ようこそさんもロリコンなの!?
コメント欄から若干からかわれた。そして一応言っておくが、俺はロリコンではない。
ただ、悪役令嬢と取り巻きが好きなのは確かなんだよな。ほぼギャグキャラだし。イジメっぽいのも無くはなかったけどほぼネタみたいなことばかりやっていたのに、国外追放はやり過ぎだと思うんだよな。
まあ、そんなことを俺が考える必要はないな。やり過ぎだとは思うが、だからといってあまり関わりたくもないし。ただただ教室の隅から悪役令嬢を眺めて配信するとしよう。
「私は1万です!」
「じゃあ俺は50万!」
「じゃあねじゃあね!俺は1兆!」
取り巻き達は今、自分たちがどれだけ大きな数字を言えるかみたいな遊びをしているぞ。たぶん本人達としては、自分がどれだけ強いかをその数字の大きさで表そうとしているのだと思う。小学生がよくやるあれだな。
取り巻き達がそんなことをやっている中、ディベアは余裕そうな表情で、
「わたくしは50万億兆ですわ!!」
小学生間溢れる数を口にした。
黒鶏:やりがちだよな
ショタコンおじさん:じゃあ俺は無限(小学生時代の思い出)
レムレム:小学生時代、無限と無量大数でどっちが大きいかもめてたけど結局どっちが大きいんだ?
コメント欄が小学生時代の思い出で溢れる。因みにこういうとき俺は、バカの一つ覚えのように「0に何かけても0なんだよ」と言っていた思い出があるな。懐かしい。