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【これで】悪役令嬢配信【おしまい】Part16

最終回です。

テレサの性格、というか常識がゲームと少し変化してしまった。これは……大丈夫なのだろうか?


ようこそ異世界へ:もうディアナは悪役令嬢になる可能性は低いし……大丈夫、だよな?

黒鶏:どうなんだ?問題無いように思えるが……

俺俺:問題無い……?

レムレム:全くこの先のシナリオの変化具合が予想できないからな……

ショタコンおじさん:大丈夫だ。問題無い!(キリッ!)


なんとなく不安になる返答もあったが、基本的にコメント欄も先が見えないというものばかり。俺の所為ではあるのだが、シナリオが変化しすぎていて困るな。

俺がそう思っている間も、


「見て下さい!この素晴らしいスタイルを活かした」

「いや、流石にこの年齢でセクシーなタイプはどうかと思うぞ」


「ふははっ!どうだ!この究極の深淵を表した衣装は!」

「ああ。うん。深淵な。……黒いドレス、似合ってると思うぞ」


ファッションショーは続いている。

ネタとしか思えない衣装と。似合っている衣装との落差がひどいんだよな。小1でセクシーなの着ても、色気の欠片もないんだよな。どちらかと言えば、寒そうに見えるというか、着る服がないかわいそうな子に見えるというか……。


「……で?これで全部終わりですの?」


「はい!これで全員1回ずつ着て頂きました!」


「そう。どれか良さそうなものはありまして?」


ディベアは取り巻き達に質問を。

だが、取り巻き達はそれに返答しない。その代わりに、一斉に視線をこちらに、つまり、俺に向けてきた。それにつられてディベアまで俺を見る。

これは、俺が選べと言いたいんだろうな。誰のを選ぶのかみたいなのがあるだろうから、胃がキリキリするぜ!


「……あぁ~。俺は、個人的には取り巻きSの選んだやつと、取り巻きEの選んだやつと、取り巻きYの選んだやつの3つが良いと思ったぞ」


「……なるほど。これとこれとこれですわね」


ディベアは俺の選んだ3つに目を向ける。それから、1つ1つ手に持って、鏡の前で自分に合わせてみているな。取り巻き達は、その様子を真剣な表情で眺めている。

……なんか。個人的な好みとか言う軽い気持ちで言っちゃったけど、大丈夫だっただろうか?不安になってきたな。また胃がキリキリと……


黒鶏:あっ。まだ洋服見てるのか

レムレム:かれこれ4時間くらいこの店にいるぞ

こころり:ロリの服なら何時間でも見てられるぅぅぅ!!!セクシーロリも最高です。はぁはぁ


買い物の様子なんて見てられないとコメント欄はいつもより大人しいのだが、その所為でチラホラロリコンが目立つようになってきてしまっている。粛正したいところだが、俺からはどうにもできんな。早く警察に捕まって欲しいところだ。

……まあ、実害を出さないから良いんだけどな?配信を見てその欲求を満たしているだけなのであれば、問題はないだろう。リアルで変なことをしないことを祈るばかりだ。

思想は自由だが……流石にな。


「……決めましたわ!」


俺がコメント欄を見ながらこの変態たちをどうするべきかと考えていると、ついにディベアが買う服を決めた。その手には俺が選んだ3つと、他にも幾つかファッションセンスの良さそうなものたちが選んだ服が握られており、


「これ、全部買いますわ!」


「……おう。流石は公爵令嬢。金の使い方が違うぜ」


小遣いは沢山もらっているようで、気に入ったものは全部購入すると言うことが可能なようだ。大量の金が動き、大量の服がディベアのものとなる。

……とはいえ、20着もない程度だがな。


「わ、私のカエルさんパジャマが選ばれなかった……」


「当たり前だ。公爵家の中であのリアルなカエルを着るのは流石にダメだろ」


「うぅぅぅ。カエルブームを巻き起こしたかったのに……」


カエルは選ばれなかった。

それを選んでいた取り巻きGことテレサは落ち込んでいたな。


……まあこんな風に、俺たちはかなり仲を深めることができた。

断罪が待ち構えていた未来から、意図せずして取り巻きも悪役令嬢も救うことができたわけだ。

それはそれで構わない。

この平和な異世界の光景を、向こうの世界に見せてやれば良い。悪役令嬢だって、その取り巻きだって、良いやつなんだって伝えられる。

当初の予定とはかなり違う方向性だが、これはこれで楽しいだろう。



こうして世界はシナリオが変わる。

悪役令嬢という存在は消え、攻略対象という存在は心境が多少変化し、主人公という存在は、その力を発揮する時を待ち、燻っている。

どこかのモブは悪役令嬢と共に平民として他国で過ごすことを夢見て、今日も世界を映し出す。そんな夢は、所詮夢でしかないことを知らずに。


「ほら。行きますわよ!次のお店ですわ!」


「……あぁ。分かってるよ」


モブは知りもしない。だって、モブなのだから。

だが、モブだからこそできることがある。例えばそう。

悪役令嬢とその取り巻き達を、かわいらしく映し出すこと、とか。



※※※



「あやつはどうだ?」


「人格的には問題ないかと」


「そうか。……では、例の計画通りに進めるように。その際邪魔になるなら、派閥を抜けたバカ共は消して構わん」


「はっ。承りました。()()()

ここまでお付き合い頂きありがとうございました。短い作品でしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いでございます。


新作に

「私が幸せになる資格なんてない」と言ってる女子に俺ができること

よいう現代恋愛系のものを書いているので、こちらもお願いします!

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