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【派閥が】悪役令嬢配信【小さく】Part12

主人公の名前、皆さん覚えてますか?

授業2日目。

そんな入学してまだ大して時間も経っていないこのときに、事態は急変していた。


「ディ、ディベア様!あれはどういうことですか!?」


「あれと言いますと……私が正式な子供ではないということになったことですの?」


「それです!どうしてディベア様が認められないのですか!」


悪役令嬢になるはずのディベア。

なぜか彼女が、公爵の正式な子供ではないということになっていた。正式な子供ではないというのはどう説明すべきなのか迷うのだが、


「あぁ。それは、私が父である公爵様とそのメイドの間でできた子供だからですわ。愛人との子供と言うことで、正式な継承権などはなくそうということになりましたの」


「なっ!?……ディ、ディベア様はそれで良いのですか!?」


あっけらかんと言うディベアに、取り巻きの1人は憤りを憶えたような、納得のいかないような表情と声で言葉を発する。

しかし、ディベアの表情は一切変化しない。


「それで良いも何も、家がそう決めたのであればそれに従うほかありませんんわ。まだ成人前までは公爵家の長女として扱われるだけマシというものですの」


「っ!……分かりました」


公爵家が言われたから自分は何もできない。そう言われてしまえば、取り巻きも何も言えない。苦虫をかみつぶしたような表情でディベアを見るだけだ。

しかし、突如その流れが変わる。ディベアを説得(?)しようとしていたやつとは別の取り巻きが、


「では、私は派閥を移らせて頂きます」


「「「「なっ!?」」」」


派閥を移る。つまりそれは、ディベアの取り巻きでなくなると言うことだ。

それを1人が堂々と宣言してしまったのである。そうなると、


「申し訳ないですが、俺も抜けさせてもらいます」

「流石にディベア様が公爵様にどう思われているのか分かりませんので、僕も」

「なら俺も……」


続々と派閥から出るもの、取り巻きで無くなるモノが出てくる。ディベアが可哀想だと思わなくもないが、貴族としては公爵家に上手く取り入れるかどうかって大事なところだからな。

公爵から正式な子供でないとされたディベアは公爵からどのように思われているか不明であるし、正式な子供と比べるとかなり価値が下がる。そんな価値の下がった者と一緒にいるくらいならば、同じ学年にいる皇子に取り入った方が何倍も利益が出るだろう。

初日から取り巻きをしていた奴らよりは得られる物が少ないかもしれないがな。


黒鶏:これは仕方ないよなぁ

俺俺:仕方ないけど……

レムレム:ある意味実力至上主義か?

ショタコンおじさん:やっぱりショタの方につくべきなんだよ!ショタさいこぉぉぉぉぉ!!!!

こころり:なんて愚かな子どもたち。ロリの素晴らしさが分からないなんて……


コメントも仕方がないという意見が大半だ。現実世界だって優良物件に取り入りたいやつは多かったんだから、弱肉強食な流れが強いこの世界ではその動きもより激しいものだろう。

ディベアから取り巻きが多くいなくなることも当然と言えば当然。

なのだが、


「恩知らずめ!」

「彼らは家の方針を理解しているのでしょうか?」

「ここまで綺麗に掌を返せば信用などされるわけがないというのに……愚かな」


ディベアの周りに残る者もいた。全員、抜けていったものたちに怒りのこもった視線を向けたり、軽蔑の視線を向けたり。口では色々と真っ当な理由をつけて言っているやつもいるが、ディベアへの忠誠心が全員透けて見える。

そんな残った取り巻き達にディベアは苦笑しながらも、


「気にする必要はないですわ。あれも貴族としては正しい生き方ですわよ」


そう言って取り巻き達をなだめていた。実に器が広いことである。

とはいえディベアが許したところで、ディベアの実家が許すとは限らないのだがな。数日後には数人退学になっていそうだ。

……俺がそれの中に入っていないと良いのだが。


こころり:裏切った相手に優しすぎる!なんて良い子なんだぁぁぁ!!!

俺俺:これが悪役令嬢なのかぁぁぁ!!???


コメントも対応に驚いたり、感動したり。

本当に今日と昨日のディベアからは、将来悪役令嬢になって主人公をいじめて断罪されるのがイメージできないよな。どちらかと言えば権力で押しつぶされて泣き笑いしながら首をはねられる方が想像しやすいぞ。


「それよりも、あなたたちは殿下とお近づきにならなくて良いんですの?」


ディベアは取り巻き達にそんなことまで尋ねている。

純粋な疑問だったようだが、


「ディベア様。流石にそんなこと言われたら怒りますよ!」

「私たちはディベア様、……あっ、ではなく、公爵家の派閥の人間です」

「他派閥にすり寄るなど論外ですね」


取り巻き達はどこか怒った様子でそれぞれ皇子へすり寄ることを拒否する。1人なんかツンデレみたいなやつがいるな。今度からあいつのことはツンデレ令嬢。略してツンデ令嬢(1文字しか減ってない)と呼ぼう。

……なんだか悪役令嬢とは思えない慕われよう。これは、なんだか配信映えしそうな事態になるのでは?

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