【イベントが】悪役令嬢【勝手に進む】Part10
俺は激しく困惑しいていた。なぜこんな性格や言動を今はしているのに、ゲームの中では悪役令嬢をしていたのか、と。
ただ、そんな俺の困惑にディベアは気付くこともなく、何やら違った方向性の話を始めて、
「婚約以外何が考えられますの?」
「婚約以外?」
「ええ。まあ、婚約しろと言われれば覚悟は決めますが、それ以外の可能性があるならそちらを望んでも良いかと思いまして」
なんか面倒なことを言い出した。今、絶讃ディベアとのイベントをどうするかコメント欄で討論中なのに、また新しい議題を出して着やがって。俺がこのゲームのファンじゃなかったらキレてるぞ(たぶん)
「今回の件を収める方法は大きく分けて2つある」
「2つ。……その1つが婚約ですの?」
「いや。大きなくくりの1つの中に婚約があるだけだ。ぱっと思いついたのが婚約だったからたとえ話として使った」
「あぁ。そうなんですのね」
納得したような表情のディベア。落ち着いているように見せようと頑張っているが、何やら興奮気味なのが分かるな。
そんなことを俺に読まれているとは知らずに、
「そ、それで、その大きなくくりの2つは何なんですの?」
詳しい内容を尋ねてきた。
黒鶏:ワックワクじゃねぇかw
こころり:ほら。見せてごらん笑顔を。隠さなくてもも良いんだよ。デュフフフフフッ!!!
「1つが、お嬢を対等な相手として捉えて、正式に謝罪と賠償をすることだ…………まあ、とは言ってもさっき言った婚約みたいに、その意味を含んだだけで表面上は友好な関係の何かに置き換わるのも入るが」
「あぁ~。そういうかんじですのね。まあ悪くはありませんが……ん?でも1つ目が対等な立場でとなると、2つ目はどうなりますの?」
ディベアは純粋に疑問だったようで首をかしげる。
ただ、俺は少し表情が苦いものになり、困った顔をすることになる。目をそらして、
「…………」
「え?な、何ですの?なんで黙ってるんですの!?」
俺の沈黙に少し恐怖を感じたようで、ディベアは慌てる。そこまで慌てるほどの内容というわけでもないのだが、俺としてもあまり言いたくはなし。
いや、言いたくないと言うより、言い方に気をつけなければいけないといった方が正確か。
「……もう1つなんだが、ちょっとこれに関してはお嬢には当てはまらないかもしれないんだよな」
「ん?そうなんですの?」
「そうなんだよ。……もう1つって言うのが、迷惑をかけた相手を、迷惑をかけてて問題無かった相手、というか、認識する必要すらないということにするってものだから」
「ふぅ~ん?」
それだけだとよく分からなかったようで、ディベアはまた首をかしげる。
ただ、これって相手が俺よりちょっと身分が高いくらいにしか使えないもので、
「簡単に言うと、相手をするほどの存在じゃなかったということにするってものだ。最近だと第2皇女殿下が伯爵家の4女にぶつかったが何もなかったことにされたのが有名かもな」
「あぁ~。そういうものですのね」
ディベアもそこまで聞けば納得したようだ。身分差は世知辛いが、だからこそできる解決方法の1つだな。
……とはいえ、相手をするほどじゃないとされた側は溜まったモノでは無いが。身分の高い相手に好き放題されても何も文句は言えないのと同じような話になってしまうわけだし。
勿論市民隊との反発が強くなって謀反を起こされると困るから、そこまでひどい事をする貴族は少ないがな。……あくまでも少ないだけだが。
ただ、やっぱりディベアには関係ないよな。公爵令嬢の地位をわざわざ低くする理由もないし、と言うかそんなことすれば公爵家と全面戦争になりかねないから皇帝もやらないだろうし。
なんて思ったのだが、
「……そういう道もありますわね」
「……ん?」
なんだかそっちを検討し始めた様子だ。
おいおいおいおい?ないよな?流石に公爵令嬢がその方向性を剣とするとかあり得ないよな?ディベアにそんな取るに足らない相手になるほどの弱みなんて存在しないよな?
不安になる俺。そして、俺以外にも、
黒鶏:何を考えてるんだディベア!
俺俺:ど、どどどどどういうこと!?
ショタコンおじさん:あれぇ~?不穏な雰囲気に……?
レムレム:そういう道って……
こころり:こんな素敵なお嬢様系ロリが、取るに足らない存在になるわけないよね?……ないよね?
ビビビル:何やら私の知らない設定が動き出しそう?
ガスカル:関係しそうな情報は得られなかった……
あれw:作者のページを絶讃漁り中だけど、ディベアの闇っぽい部分は一切見つからない
皆さん困惑中だ。
授業初日なのに、ここまで困惑させられるとは思わなかった。なんて先行きの不安な学校生活なんだ……。
「私なら、そっちの道も選べそうですわ」
あぁ~。なんか、コメント欄にディベアの関わり方を相談していたのが無駄になりそうだ。
イベントが進みそうな予感がする。




