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第2話

 「うぅぅーー!」

 

 ベットに倒れ込み枕に顔をうずめ、うめき声をあげていた。

 私だって、弟に言われるまでもなく、早く結婚したいと思っている。ただ、救いを求められ、その救いに答えれる力を持っているのだから、私には無視するなど出来ないのだ。

 

 ピロン!

 

 スマホの着信音が鳴った。

 すぐさまに起き上がり、スマホを見た。


 【こんばんは。今、用事終わってゆっくりしてる所なんですが。栗大好きさん。今日のデート上手くいきましたか?】

 

 私の良き理解者で、相談にも真摯に考えてくれる。北の王子さんからの連絡だった。ちなみに栗大好きさんとは、私の事である。

 

 【連絡。ありがとうございます。・・・すいません。せっかく、北の王子さんに相談に乗って貰ったのに、上手くいきませんでした(泣。しかも、その事で、弟にボロカスに言われました。姉をなんだと思っているのでしょう(怒】

 

 嬉々としてメッセージを送り返した。


 北の王子さん。

 一年くらい前。ハンドルネーム婚活という、名前を隠した状態でメッセージのやり取りをする婚活で知り合った人である。


 「・・・」


 メッセージを送り返して、数分も経っていないのに受信ボックスを眺め、北の王子さんからのメッセージが返って来るのを待っていた。

 この時間がとても長く感じる。そう、まるで10時間以上の死闘を繰り広げた極悪サソリ怪人『ペニー』との戦闘くらいに長く感じる。


 ピロン!


 きた!

 すぐに、北の王子さんからのメッセージを読んだ。


 【そうだったんですか。もっといいアドバイスが出来れば良かったんですが・・・。僕も妹によく怒られるので、栗大好きさんの気持ちは良く分かります。けど、僕の妹も、栗大好きさんの弟さんだって、このままが心配で言ってくれた言葉じゃないでしょうか?お互い《《たった二人の家族》》。仲良くしましょう】

 

 うー。

 足をバタバタさせて、北の王子さんからのメッセージを読んでいた。

 北の王子さんの家庭も似たような境遇であり、両親を亡くし、現在、兄妹二人暮らしているらしい。

 だからこそなのか。北の王子さんの話は、めちゃくちゃ共感出来る。

 

 「・・・会ってくれないのかなぁ」


 ポロっと言葉が零れてしまった。

 北の王子さんに会ってみたいと気持ちはあるものの、この関係が壊れてしまうのではないのかと怯えていた。

 ヒーローなのに怯えるのか。そう思われても仕方ないと思う。でも、ヒーローだからなのである。

 母と父を亡くして。悲しい時。苦しい時。どんな時でも私は他を頼ることが許されなかった。もし頼っても、ヒーローの血を引き継いでいるのだから、自分の力でどうにかしろと言われる始末。

 

 逆行を乗り越えてこそ、ヒーローはより一層強くなることが出来る。これは強くなるチャンスなのだ。お前は普通の人とは違うのだ。

 

 「・・・はぁ。うざ」


 恩師の言葉を思い出して、腹が立ち。独り言で愚痴を言った。

 そんな過去がある訳で、出来るだけ、他に頼らずに生きて来た私に、初めて頼る事が出来ると思っている人だから。怯えて私は、【会いませんか?】の一文を送ることが出来ていない。

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