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なろうラジオ大賞3

妹がお味噌汁にお菓子を入れるのをやめさせたい

 妹が作る味噌汁の中には必ずお菓子が入っている。


 最初はうまい棒だった。

 おふが浮いてるのかなと思ったらうまい棒だった。


 文句を言いながらも俺はその味噌汁を完食したのだが、妹は次々に色んなお菓子の入った味噌汁を作るようになった。


 よっちゃん。

 キャベツ太郎。

 ポッキー。

 茎わかめ。

 歌舞伎あげ。


 さすがにペロペロキャンディーが味噌汁に突っ込まれていたのを見た時はキレた。

 ふざけるなと怒ったら、じゃぁお兄ちゃんが作ってよと。


 俺に料理をした経験はない。

 だから味噌汁を作れるとは思えなかった。


 だが……。


「へぇ、今日はお兄ちゃんが作るんだ」


 妹はつまらなそうに両手で頬杖をついて言う。


 煮干し、豆腐、わかめ、ネギ、そして味噌。


 水を張った鍋に頭とハラワタを取った煮干しを入れ強火で沸かす。

 湯気が立ったら弱火にして灰汁を少しずつ取り除き、数分したら煮干しを取り除く。


 俺は豆腐を賽の目に切り、別に沸かしたお湯でわかめを茹でる。

 ねぎは斜に切ってボールの中へ。


 豆腐と茹でたわかめを入れて、火を止めてネギを入れる。

 最後に味噌を溶かして……。


「よしっ! できた!」


 味見をしたらしっかりと味噌の味がした。

 煮干しの出汁もきいていておいしい。


 これなら妹も……。


「一味足りないからポテチいれよ!」

「やめろボケええええええええええええええ!」


 油断の隙もあったもんじゃない。

 妹はポテチを袋ごと入れようとしたのだ。


「いや、おかしいだろ」

「おかしくないよ!」

「まずくなるに決まってる」

「そんなことない!」


 なぜか妹はお菓子を入れることにこだわる。

 勘弁してほしいのだが……何か理由でも?


「なんでお菓子を入れようとするんだ?

 ちゃんとした理由でもあるのか?」

「別に理由なんてないもん!

 あっ、お味噌汁がダメならご飯に入れてもいいよね?」

「ダメだ! 他のものも全てだめ!」

「ふぅん……じゃぁ、ご飯は毎回お兄ちゃんが作ってくれるの?」

「……え?」


 妹の言葉に言い返せない。

 毎回作るつもりはなかったけど……。


「分かった、俺が全部やるからお前は手を出すな!」

「ふぅん……分かった」


 彼女はそう言ってにやりと笑う。




 妹は俺の作った料理を文句言わずに食べる。

 自分で買ったお菓子を味噌汁に入れたりはしない。


 けれども……。


「うふふ……」


 俺が食事を作る姿を見つめながら、頬杖をついてほほ笑む妹。


 食卓にはいつもお菓子が置いてある。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 妹さんの作戦勝ちですね。 お料理経験がないにもかかわらず、本格的な美味しいお味噌汁を作ってしまった主人公、実は秘められた才能の持ち主なのかもしれない、と思いました。
[良い点] 妹ちゃんの誘導……! スレ立ちするようなアレな感じのアレな料理を作る妹ちゃんかと思ったら、計画通りニヤリ……だった♡ うんうん。 お兄さん、自主的に料理してるだけだもんね! やれ! な…
[良い点] ええー? ポッキーと飴ちゃん以外は絶対に面白いと思う(´・ω・`) よっちゃんイカはむしろ普通に美味しそう……
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