第九十話
「なんだよ、ハヤタも捕まったのか?」
意外とチックが、はやい合流に、皮肉をもらす。
「面目ない…」
ハヤタは周囲を見渡しながら、謝るがやはり周囲をながめる。
「この集会所に連れてかれるのは、予想してたけどさ…」
大広間に集められたのは、ハヤタの想像通り男だけ…。
「まるで囚人たちだな」
ハヤタは思わずつぶやいてしまい、周りに睨まれるが、
「おら、どんどん歩け…」
何名おきに、男共が搬送されていくので、反応する、余裕もない。
なので、近くにいた、チックに話し掛ける。
「なあ、チック。
そろそろ教えてくれよ、何をさせられるんだ?」
チックは隊列上の関係で立ち止まると、ハヤタを促し下の階の広場を見せる。
「夜に捕まった男は、女に奉仕しなければならないんだ」
「え、なんで?」
「なんでって、お前、夜、こんなに暗かったら男は何をするかわからんだろ?
その防犯策として、女は捕まえにいくのさ」
「それで、奉仕活動…。
要するにホスト?」
下の階の大広間では、女性たちが各ソファで宴会が執り行われており、ハヤタも知識は少ないがクラブハウスの様相と似ていた。
男どもはホストとまではいかないが、女性たちの宴会を盛り上げるために、時には食事を運び、会話を盛り上げたりなど、接待をする。
「じゃあ、ブブカさんも…」
「いや、あれは代表として、自然と遅くなった結果だな」
「だったら、捕まえる必要はないだろ?」
「あのな、疑わしければ、みんな確保するのが基本だ。
だから、クオウのおっさんともめたりしてるんだぞ?」
「そうなんだ…」
「まあ、いちおう、女どもは事情も知ってるから、ブブカのおっさんには、裏方、機材管理の仕事をまわしてるがな」
チックの説明にハヤタは頷いていると、こうも付け足す。
「まあ、実際、罰を科しているワケじゃない。
女性陣だって、いい対応すれば、電力の加算、つまり今回の財布も膨らむからな」
ハヤタにお呼びが掛かり、部屋まで案内されると、案の定、ナタル、リッカ、ミミミがおり。
「あ、ここです、ハヤタ様」
ナタルは席を譲ろうとするが、ハヤタはどうしていいものやら困っている。
「なんだ、みんないるのか?」
「へへ、残念だったな、ナタルと二人きりになれなくて…」
リッカにからかわれ、ハヤタはムッとするが、
「おいおい、こんな顔するなよ。
お前は今日、私らに尽くさなければならねえんだぞ?」
どうやらここは女性が立場が上らしく、後からやって来たチックも大人しくしたがっていたのだが…。
しばらくして…。
「なるほどな、合コンみたいにするんだな」
「ハヤタ様の惑星にも、そんな事があるのですか?」
「まあな、俺らはとっ捕まえるなんてせず、事前に連絡しあってさ。
こんな感じで、集まったりするんだよ」
リッカは提供された、おやつをつまみながら聞いてくる。
「なんだよ、みんな、じゃあ、この後、何をするのか、知ってんのか?」
「もしかして、それカラオケか?」
ハヤタが気付くのと同時に、各席で歌い始まるので、言い当てたのがわかる。
「ここでもカラオケがあるんだな?」
「まあな、歌うことは世界共通の娯楽なんだろうな。
だから母ちゃんは、ここを取り仕切ってんのさ」
中には歌うのが、嫌いな種族もいるらしく、低得点を出したのだろうか。
レイカに背中を叩かれていた。
「もしかして、罰ゲームか?」
「いや、あれは救済措置だな。
母ちゃんのエキスパンションは『歌唱』でさ。
ああ、やってナノマシンに刺激を与えて、音痴を修正してんのさ」
女性とはいえ、体格差からくる背中への張り手は、さぞ痛いらしく、男は悶えていた。
「まあ、お前もせいぜい、母ちゃんに張られないようにしな」
そう言っていると、ナタルが楽しそうにマイクを、ハヤタに受け渡す。
「ハヤタ様、どうぞ」
すると周囲の視線があつまるのがわかった。
「な、なんだよ?」
理由は何となく察するが、ミミミが答えた。
「それはアンタが、どんな曲が好みなのか、気にはなるわよ」
「はい、楽しみです」
知り合いがハヤタがどんな歌を歌うのか、気になったのか注目が集まる。
ハヤタはどこにでもある歌を選曲して歌い始める。
「あれ、普通に歌えるんだな?」
リッカの感想通り、ハヤタの歌唱力は普通だったのだが…。
「あれ…」
点数は『26点』だった。
リッカは爆笑するが、ハヤタは普通にショックだった。
「ちょっとおかしくないか?」
しかし、チックのいうとおり、ハヤタが音痴というワケではないので、周囲は困惑する中、レイカがやってきた。
「なんだい、盛り上がりにかけてるのかい?」




