第八十六話
最初、電池が切れたのかと思いもするが、この惑星にそんなモノはないので、主電源を触るが…。
「故障か?」
しかし、こんな生活も慣れた事もあり、ハヤタはあせる事はない。
修理を頼めばいいとすら、考えもしている。
そんな気構えで、テレビをつけようとするのだが…
「ええ…」
テレビもつかない。
この辺りで、ハヤタは異変に気付いた。
全部の電気系統が、全滅してるのだ。
「うわ、マジか…」
当たり前だが、焦る。
とりあえず、連絡系統は潰れてはいないのを確認していると、何やら外の様子がおかしい。
人通りが多い事に気付き、外に出る。
「おう、ハヤタ、起きたか?」
「あれ、クオウさん?
てか、大変なんだ、電気がいかれてて…」
「そりゃ、節電日だからな?」
「節電日?」
「今日から二日間、電気を使わないで、電気を溜めようって日だ。
連絡は来てるだろ?」
クオウは張られた張り紙を指をさす。
「こんな規模の話なんて、知らなかったんだ」
貼り紙には『もしもの時の、ご協力、お願いします』程度の事しか記されてないので、ハヤタは普通に驚いていた。
「まるで縁日の祭りだな」
「もしものために電気を溜めておいて、緊急時に備えとけって話だ。
そこで何か出来ないかということで、祭りみたいになってんだ。
まあ、祭りは、祭りで盛り上がるんだがな」
「政治努力だな~」
「お前、時折、変な事をいうよな?」
「学校でやってたけどさ、こういう時の決まり事ってヤツは何かしら、揉め事が起こるんだよ」
「ふ~ん、でもよ、もしもの時、何かあったらどうするんだよ?」
クオウの正論に、なるほどと、頷くがハヤタにしても疑問に思うことがある。
「でもさ、医療施設などは、除外して機能しているとはいえ…。
電気がないと何かしら不便じゃないのか?」
「そりゃあ、不便だよ。
だから、端末見てみろ?」
ハヤタは促されるように端末を取り出すと、一体どこからだろうか、
8953
8952
8951
と、カウントダウンが始まっていた。
「なんか、ヤバそうなんだけど」
「うん、わからんでもない。
それがお前の使用出来る電力であって、この日の通貨でもある」
そう指摘されて、ハヤタも察する。
「通貨という事は、もしかして、稼ぐ事が出来たりするか?」
「そりゃ、電力だからな。
生み出したりすることが出来る」
クオウが子分のオオカミ男に向けて、手をあげる。
「エイサ、ホイサ…」
「うわ~、原始的…」
自転車よろしく、ペダルをこぎ回し、想像通りの電力の生み出し方をハヤタに見せて、バッテリーに充電させていた。
「これで充電して稼ぐのか?」
「いや、少し違う。
これを売り物にするんだ」
「どうして、このまま、過ごすんじゃないの?」
「あのな、この程度のバッテリーで、いくら節約しても、一日なんかもたん。
ましてや、この地域の規模の電力となってみろ、賄えるわけがない」
先ほどのバッテリーは一時間もすれば帰ってくるらしく、クオウは値段表をハヤタに見せると、何となくわかった。
「なるほど、こうして値段を決めて、このカウントで商売をするわけか…」
「そうした方が融通が利くからな」
聞くトコロによると、このカウントで買い物もできるらしく、フリーマーケットもあるらしいのだが…。
「そこでだ…」
クオウたち、オオカミ男がニヤニヤとしていた。
「なんだよ…」
さすがに何かされそうな雰囲気を察して、ハヤタは後ずさる。
「ハヤタ、お前を見込んで、願いがあるんだがな…」
「なんか、いやな予感しかしねえよ?」
クオウは構わず、ハヤタを角をまで手招きする。
「あっちのブタ野郎を見てみろ?」
「なんか、ボードゲームしてるな?」
そこでは様々な人種が卓を囲み、何やら、電子的なボードゲームをやっていた。
「面白そうだな…」
ハヤタの素直な反応に、クオウは舌打ちをする。
「いいか、ハヤタ、あいつ等の担当は娯楽担当だ。
面白いのは当然だろうが⁉
あいつ等、起動には手間とかを棚に上げて、こっちの作業を馬鹿にしてるんだぞ?」
「そんな事を言っても、クオウさんの仕事も大事だろ?」
「そりゃ、そうだけどな。
あいつ等、そこがわかってない‼」
しかし、クオウはにやりとハヤタを見る。
「そ、こ、で、お前、ハヤタのお前の出番だ…」
「な、なんだよ?」
何となく何をさせようとしてるのか、察しはじめてはいたが。
「ハヤタよ、お前の料理が出来たよな?」
「まあ、そうだけどさ…」
「お前の料理でな、あのブダどもの、はなを明かしてほしいワケだ」
さすがにハヤタも使われるのが、嫌なので不機嫌になる。
「何もお前を一人を働かせようなんて考えてはない。
一定量の料理を作って。
俺らが配るなりの係をすれば、お前の負担だって減るだろう?」
そして、明らかにクオウは挑発して見せる。
「まさか、あのルミナス・グループにも認められる男が、できないワケがないだろう?」
言われたハヤタは、
「で、出来らあ⁉」
振り上げた拳を、
「じゃ、っねえ‼」
「いてえ‼」
クオウに打ち付けた。
「なんか、そんな展開を予感してたがな。
朝、起きて、二時間後に聞く話題じゃないぞ‼
無理言うな‼」




