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新たな大地に花束を  作者: 高速左フック
第九章 ハヤタ、恐怖する
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第八十五話

 

 「また、喧嘩をしたのか?


 これ、一昨日の話じゃなかったのか?」


 鳥の顔をしたチックが、悪びれる事もなく、


 「ああ、悪いかよ…」


 と言う。


 本来の彼の台詞なら『暴れてやった』という態度をとるのだが、明らかに遠慮が入る。


 その理由は…。


 「若い事はいいけどな、少しは抑えてもらえんか?」


 彼は黙ったまま頷く、自分の父親にある。


 パーエスデー 総長


 バードン


 「こっちは、大事な事が、ひかえとるかわかっとろうが…」


 単に親が怖いのじゃない、殴り合えば『こっちの方が強い』と思う。


 しかし、心境は『かも知れない』で留まってしまうほど…。


 この目の前にいる父親にはカリスマがある。


 かつて、祖父の代より、この地域は荒れていた。


 人種、文化、利権、一時期、武装した警察でも手に負えない地域を、まとめた男、これが自分の父親だと思えば、胸も熱くなり。


 「親父、俺が来ても良いのかよ?」


 「お前も、いい歳しとるからな。


 何もせんでええ、場の空気くらい知っておけ…」


 そう言って、門番のようなブタの二人が会釈をして、扉を開けてくれた。


 しかし、最初に目、いや、耳にしたのは怒号だった。


 「何、勝手な事を言ってるんだい!!


 あんた等が盛るから、派手にさらすんだろうが⁉


 虚勢されてないだけでも、感謝するんだね‼」


 パーエスデー 治安維持幹部


 レイカ


 が、ブタの大男を睨みつけていた。


 実際、彼女自身の体格が豚男より倍近くあるので、ひるむことはない。


 「んだと、このアマァ、物事には加減ってのがあるんだよ‼」


 「やるってのかい⁉


 女に手を挙げる、男は最低だよ!!


 上等じゃないか‼」


 パーエスデー シノギ部門 副幹部長


 ブブカ


 体格差に怯むことなく、レイカに手四つで取っ組む。


 「これは何の騒ぎだ?」


 バードンは幹部長に聞く。


 「いつもの事だ、レイカの夜のシノギに、ブタが文句をつけて、もめてんだ」


 どうやら、いつもの事らしいが、さすがに止めるべきなのはわかるが、バードンは言うだけだ。


 「おい、お前ら、そろそろ始めるぞ?


 そこまでにしておけ…」


 言っても、この二人は、この街の幹部、その程度で怯むわけがない。


 が…


 パンッ


 バードンは手を叩く、だけで、二人の動きが止まった。


 「ここまでだ…」


 二人はにらみ合うが、おとなしく席に座る。


 かつて、チックはブブカに聞いた事がある。


 「ホントに自分の父親は強いのか?」


 すると、ブブカは固唾を飲んだのが印象的だった。


 「一番おっかない男、それがお前の父親、バードンだ」


 当然、チックは叱られた事もあるが『おっかない』までいかない。


 「いいか、人前で調子こいても、絶対、親父の前で、調子にのるなよ」


 かつてブブカの言った、その意味が分かったような気のする場面だった。


 「さて、始めるぞ?


 地図も落ちてるじゃねえか?」


 幹部長はボードに地図を張り直すのを見て、バードンはを始める。


 パーエスデーの。


 「ここは、確か工事中だったな?」


 「幕は取り除いておくよ」


 「ああ、ここら一帯には話をつけてるから、当日には、取り払われてるとは思うが…。


 レイカ、確認は頼むぞ?」


 幹部長はレイカに指示を出すと、ブブカは笑って答えた。


 「さすが幹部長だな。


 仕事が少ない分、根回しは頑張れや」


 「ああ…?」


 パーエスデー シノギ部門 幹部長


 クオウ


 が、ブブカに睨みを聞かせる。


 「そりゃ、どういう事だ?」


 「言った通りだ、あんた等のシノギは単調なのに、何でなんでそんなに偉そうに幹部長やってるのか聞きたいんだわ?」


 ブブカは立ち上がり、明らかに挑発していた。


 「つまり、わし等の方が難しい事をやってんのに、どうして『副』幹部長なんて、呼ばれなならんですの?」


 「んだと、てめえ…」


 クオウが思わず机を倒し、答えるように、この二人は仲が悪い。


 レイカが呆れた様子で止めに入るが、実質、止めていない。


 すると…。



 「お前らさ、喧嘩しか出来ねえのか?」


 

 バードンの一言で、空気が変わる。


 「まあ、二人とも座れよ」


 クオウは机を直し、怒りを抑えながら『どかっ』と座る。


 「随分、おとなしくなったモンだな、てめえも…」


 あざ笑う、ブブカに肩に手を置いて言う。


 「おい、大人しくせえよ…」


 「でもよ…っ!?」


 バードンは平然としているが、ブブカは明らかに震えだし、


 「大人しく、座れや…」


 多分、手の力だけで、彼を座らせた。


 おかげでブブカは、驚愕して声も出せない中、バードンはまとめにかかる。


 「まあ、いつもの通りやろう。


 いつも通りやれば、事故もおきないだろう」


 そして、バードンはクオウを見ながら、答えた。


 「それに何かしら、お前にも、考えがあるんだろう?」


 クオウの表情には、確かな自信があった。


 ……。


 そんな、ある日。


 ハヤタは朝日を浴びて伸びをする。


 彼にも週末労働の義務があるとはいえ、休みはある。


 起き上がり電気をつけようとする、早朝独特の動作をするが、つかない…。

 

 「あれ…」



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