第八十三話
株式会社、ウルフィ・オ・ファームに激震が走る。
リオリも身体をくねらせはするが、いつものおだてる調子はない。
というか、出来ないでいた。
彼女たちの一言で、ここの会社の食品価値が決まってしまうくらい影響力の高い、二人が揃ったのだ。
会社の商品が期待はずれなら、と考えるだけでも脈拍も上がれば、
「なんだ、あの爺さん?」
外野のオオカミ男たちの無神経に。
「あの女、レンの爺さんらしいぞ?
上司でもあって、ええと、総帥の上で、何だっけな?」
「ワシの事か、一応、会長ということになっとるぞ?」
この礼儀ない会話に、リオリが顔を歪ませていたが、陽気なオオカミ男達には、そんな事を知ったことない。
それを尻目にレンは事情を説明していた。
「機材を持ち出してまでの外出をするから、何事かと思えば、なんじゃ、そんな事じゃったのかい」
オージは呆れてみせるが、レンの様子で冗談じゃないのがみてとれたのだろう。
まるで試験に習うような言い方で聞いてきた。
「それなら、のう、レンよ。
お前は、ハヤタの作ったスープに、どんな料理を想像した?」
彼女の作ったスープを味わい、オージは鋭く睨む、
すると、彼女の顔が引き締まる。
「少々、お待ちください」
先ほど『機械任せだから、仕方ない』なんて言い訳が通用しない相手に、再度、厨房に引き返す様に緊張感みえた。
「私が考えついたのは…」
それにあてられたオオカミ男たちは黙る、そして、レンが見せたのは、白米を投入した雑炊だった。
「雑炊とはいえ、綺麗に形が整っているのは、さすがグループ総帥。
どうして、そう思った?」
オージは味見をした上で、試験の様式にならう質問をしてきた。
「クオウさん達を見て思いました。
彼らは人種の特徴上、顎が突き出ています」
レンの指摘に自然とオオカミ男達は、自分たちの顔を見合わせ顎をなでる中、レンは続けた。
「体格もあって、食事量もなければなりません。
ですが、これならば、量だって補え、様々な調整などを考えれば…。
これに至りました」
彼女の一通りの説明を吟味して、オージは答えた。
「ふむ、やはり血筋なのかのう。
ワシも食べ盛りのハヤタを見て『雑炊』に至ったわい」
『おおっ』と歓声があがるが、レンの様子は暗かった、それをナタルが見て気づいた。
「あのハヤタ様の面接を伺ったのですが…。
オージ様は『予想を外して』ませんでしたか?」
その問いの意味に気づいた周囲は黙って、オージを見つめていると彼は呆れながら言った。
「なんじゃ、そんなモンまで持ち出しておったのか?」
困惑する一同、それを制したのは、
「俺だって、聞きたい」
クオウがニヤリと腕組みして、その人物の名前を答えた。
「ハヤタ、やっと来たな?」
「クオウさん、貴方が呼んだのですか?」
「このままだと、収まりがつかんからな?」
「インターン終わって、すっ飛んできたけど、その前に…。
この騒ぎは、何だ?」
あっちは夜だが、こっちは昼下がりなんだから、時差はどうなるかそんなモン考えて、こんな小説は書けない。
そういう解説をしていると、事情を説明されたハヤタがうなづいていた。
「なるほど、それでレンは、雑炊か…」
「のう、ハヤタ。
その様子だと、答えを用意しておるのか?」
「急だったから、ろくな用意が出来なくて、市販のを買ってきたよ」
「なんじゃ、冷凍保存してたじゃろうが?」
「一応、試験の担当してたけど、俺はインターン生だよ。
会社のモノを勝手に持って来ちゃダメだろう?」
『ふん』とオージは相変わらずの態度でいるので、ハヤタは準備を始めた。




