表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新たな大地に花束を  作者: 高速左フック
第八章 ハヤタ、未熟である
81/89

第八十一話

 「同じですね」


 「多少の差違はあるかもしれん。


 でもよ、同じようなスープを作っていたんじゃないのか、と思ってな…」


 クオウがさらに思い出そうとするが、


 「いや、すまん、思い出せん。


 何しろ、スラローム帰りの宴会なんざ。


 もはや、恒例行事だからな」


 クオウは思いついた事を話す。


 「仲間なら思い出せるかも知れんが…。


 マズいな」


 「何か、問題でも?」


 クオウはスープの容器を指を差す。


 「これから、全員にこれを味わってもらって足りるのか?」


 そんなクオウの疑問に、レンはあっさりと言った。


 「ああ、作り方を見てますから、それなら問題ありません」


 「それだけで、このスープが作れるってのか!?」


 「完全に再現とまでは行きませんが、できますよ」


 レンは簡単に言うので、


 「総帥ですから」


 クオウには驚きを隠せないでいるが、レンは立ち上がった。


 「昼食の賄いに提出できれば、問題もないと思います。


 時間がありません、私の車に材料や機材がありますので、取りに行きましょう」


 なら、話は早いとクオウは食堂の厨房へと案内を始する事になった。

 

 「ところでよ。


 ナタルが、どうして、レンと一緒なんだ?」


 「私は惑星間の休日なので休みなのです」


 「ああ、こちらでは平日だが、あっちじゃ休みなのか…」


 「はい、そうしてますとレン様から、連絡がありまして」


 「ナタルさんには、せっかくの休みがこんな事になって、すまないと思ってるよ」


 レンはすまなさそうにナタルにいうと、彼女はVRで『気にしないで』と絵文字を作ってみせるので、レンは聞いてみた。


 「ところで皆さんは、どういう解答を想像しましたか?」


 「私は、野菜スープをイメージしていたのですが…」


 会話の流れかナタルは、外れを察すると今度はクオウが答えた。


 「だとすると、肉か?」


 ビーフシチューをイメージしているのがわかったので、レンは答えた。


 「クオウさん、それが、このスープの素材なんですよ」


 「なんだって、じゃあ、外れか…」


 「この課題の難しさが、そこにあります。


 ハヤタ君いわく、その肉を切ってスープに入れるという事もやるそうです。


 ですが、それはあくまで主材ではなく。


 副材という事になります」


 「ややこしいな?」


 「だからこそ、料理人の腕前が試されるのです」


 「なるほど、じゃあ、そうなると何だ。


 後は何があるんだ?」


 「魚介、穀物類、果物…まあ、まだまだ選択肢は多いですよ?」


 料理人のレンは簡単に言うが、2人にとっては思いつく幅がないのでクオウは困惑気味に聞いてくる。


 「というかよ、まさか肉の種類が違うで、不正解とか無いだろうな?」


 「ああ、そこは心配なく。


 宇宙は広い、その中の一つを見つけるのは不可能です」


 「だから、面接が必要なのですね?」


 「私もそうですが、そこで合格をもらえるのですから」


 そういう話をしながら、クオウは食材、機材持ち込みながら、案内をし終えた。


 「おし、ここがハヤタが飯を作ってる食堂の調理場だ」


 「ここが…」


 レンは興味深く、設備をチェックし始めた。


 「この調理場をハヤタ君、1人で担当してるのですか?」


 「ああ、さすがに盛り付けは、人数を割いてるがな」


 レンは水回り、包丁を眺めているのが、クオウには何をやってるのかわからないが、レンは感心しているので問題はないのだろう。


 「設備が最新じゃないのは、文句をいうなよ?」


 「とんでもない、ハヤタ君はこの条件で皆さんの昼食を作っているのです。


 機材だって持ち込んだグループ総帥の私が、文句なんてありませんよ」

 

 レンは時計を眺めて、クオウに聞いてきた。


 「昼休憩までには、人数を賄える量を作ってみます。


 ですのでクオウさんは、みんなに呼びかけをお願いします」


 クオウは『おうっ』と、答えてみんなに伝えに厨房から出て行った。


 そうして昼休憩がやってきた。


 のだが…。


 「いや~、ルミナスグループ総帥の料理が楽しめるとは、ありがとうございます」


 最初にやって来たのは、クオウではなく、幹部たちだった。


 「お話しは聞いて、おります」


 グネングネンと、まるでどこかで見たような身体のくねらせをみせるが、そんな事など知る由もない。


 この幹部、リオリは数名を引き連れて話した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ