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新たな大地に花束を  作者: 高速左フック
第八章 ハヤタ、未熟である
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第七十九話

 『なんじゃ、おぬしも参加しとったのか?』


 そこには監視カメラで面接を行われている様子が映し出されていた。


 「これはハヤタが、その採用された様子の面接か?


 なのはわかるが…。


 なんで、ここにアンタがいないんだ?」


 「公平性を保つために、今回の採用試験は、おじい様が担当をする事になっているんです」


 「なるほど、だから映像か…」


 クオウは頷いたのを見て、早送りをして言った。


 「ここですかね、ハヤタ君が、主材を送信したあたりです…。


 おじい様はハヤタ君に聞いてきます」


 『ほう、ワシの予想が外れたか…』


 「周囲が、ざわめいてます」


 「おじい様の副材を言い当てる技術も高いので、このざわめきなのは、当然、起こったのでしょう」


 『ワシの予想は、こうと思ってたんだがの?』


 返信されたのか、ハヤタはタブレットを眺めて、答えた。


 『ああ、それも正解でもあるんですがね…』


 口頭で答えようとしたので、オージに注意されてハヤタは、慣れないタブレットで返信した。


 『なるほど、だからこそ答え(それ)ということか。


 それで、ワシの答えにもなると…』


 『今まで、その…しゃべりそうになるな…。


 そういう食べ方は、無かったのですか?』


 『いや、そういう文化は存在しておる。


 じゃが、少々、行儀が悪いとされとるのう』


 『ああ、それは、こっちでも言われてたな』


 「ハヤタが、何かしらの送信してるが…。


 当たり障りのない話で、わからんな」


 「まあ、私みたいに映像を持ち出す者もいますので、不正を防ぐ処置ですね。


 お二人が、何のやりとりをしてるのか、わかりませんが…」


 『ふむ、これくらいのスープなら、採用しても問題はなさそうだのう』


 「そんな感じで、採用されていきます」


 「おお、やっぱ、アイツの料理は凄えんだな」


 クオウとナタルに笑顔があった。


 しかし、レンは対照的だった。


 「周囲の幹部たちも、そのスープを味見した上で、何の問題もないのが見受けられます。


 ですが、おじい様が言いました」


 『のう、ハヤタ、このスープ。


 やはり、未完成。


 でも、あるのか?』


 そのオージの問いかけに、審査員全員が騒然となって、ハヤタを見ると、彼は少し間をおいて答えた。


 『はい、そうなります』


 『ふん』


 『こっちだって、持てる力は全部、出したつもりなんですがね…』


 『そうしてもらわんと、困る』


 こうなった空気で、ハヤタは気まずく聞いてきた。


 『不合格ですか?』


 『いや、その心配はない。


 試験では、これを使わせてもらう』


 それを聞いた審査員の中には、当然。


 『私は反対です』


 こう言って来る者が出てきた。


 『キミ、ここはルミナス・グループの大事な試験なんだよ。


 未完成品を提出して来るとは、どういうことなのかね?』


 それに『そうだ』と続いて、ハヤタは罵倒され始めるが。


 『ハヤタ君、これには何が足らん?』


 『根本的に、コクが足らないんですよ』


 『ふむ、幹部らに聞こう』


 オージは改めて幹部に聞いてきた。


 『どうやって、この問題を解決する?』


 すると即座とはいかなかったが、しばらくすると、反論してくる者が出た。


 『刻んだネーシを多めに入れます』


 彼が言うには、香りの強いネギを入れるという事だった。


 『…そうすれば、コクだけでなく香りも良くなります』


 そこから、この場にいる幹部の技術の高さからか、徐々に『私は…』と意見が出てきた。


 こうなると、文字で返答するルールなどなく、その上で、オージはハヤタに聞いてきた。


 『のう、ハヤタ。


 反論、出来るじゃろう?』


 ハヤタに遠慮が見て取れたのか、オージは構わないと様子で示すので。


 『まず、ええと、さっきネーシとか香草類を入れると…』


 ハヤタは遠慮がちに話し出す。


 『…特にその香草は、コクだけじゃなく、酸味が強いので。


 そうなると主材とのバランスが取れないんです』


 するとオージは、頷いて答え。


 「確かにそれでは、その酸味ゆえ、食べにくさも出るか」


 その反論を、一人、また一人と黙らせて行くが、当然、諦めない者もまだいる。


 『だったら、私のトンの骨髄からの出汁を取るというのは?』


 このように、豚の骨から出汁をとれと、言い返してくる幹部もいるが、


 『だったら、根本的にスープを作り直した方が良いモノが作れるんだ。


 そうなると、別のスープを提出する事になってしまう』 


 ハヤタが答え、それが最後の質問者の沈黙と見受けたのか、


 『なかなか、奥が深いようじゃのう。


 では、改めて幹部連中に聞きたいが…』


 オージは静かに聞いてきた。


 『君たちに、このスープが作れるのかね?』


 それはハヤタの実力を認めるのには、十分だった。


 『どうやら、この試験が、ただの幹部昇格試験だと思っているようじゃのう。


 なげかわしい…』


 レンは映像を閉じたのを見て、クオウは聞いてきた。


 「それでその試験はどうなったんだ?」


 「このハヤタ君のスープは予定通り、試験に採用されました。


 そして、想像してる通り…」


 「大モメしたと?」



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