第七十八話
「そんな態度は、良くないなっ!!
こっちとしてもね、インターン生も、三日もすれば周りもわかって、人となりもわかるってもんだよ」
「はあ、そうですか?」
「しかし、キミも人が悪いな~。
料理の腕は、あのオージ会長が直々に指導なさるほどとは、早く言ってほしかったよ」
このあからさまな手の平、グリングリンに、さすがのハヤタも顔をそらしていると、
「ところで、キミ、知っているかな?」
「知りませんよ」
構わずオリオ、答えた。
「二日後に我々、幹部候補生の昇格試験があるのだよ。
知っているだろう?」
「知りませんよ」
「それで、どのような課題が出されるか知っているかね?」
「だから、知りませんよ‼」
オリオの身体がクネクネ、クネクネしてるのだから、気持ち悪いので、ハヤタは『ええい』と押しのけているが、オリオはとまらない。
「副材で、主材を当てるというモノでね。
インターン生が作った副材を、我々が当てるというテストが実施されるのだよ」
「当然、採用されれば、キミも料理人としても実績が認められるよ?
どうだろうか、やってみないかな~?」
「実績、つまり、ハクがつくと言いたいのですか?」
グネングネンと、どんな身体の構造しているのか、オリオは笑顔で頷いていた。
しかし、何かしらのオリオの笑顔から、何かしらの悪さがにじみ出ているのも、見て取れたので。
断ろうとすると…。
「良いんじゃないのかな?」
レンが遮ってきた。
「そ、総帥!?」
「こちらとしても、顔がわかるのは最終選考までの匿名、顔もわからないのだから、キミを特別扱いする事もないよ。
ハヤタ君、腕を試してみる意味合いで、やってみてはどうかな?」
レンにそう言われたのが、キッカケだったので、
「じゃあ、ダメ元でやってみるのも良いか?」
ハヤタは承諾する事となった。
これにほくそ笑むのは、オリオだった。
当然、選ばれるのにも厳しい審査があってこそだからだ。
そこまで選ばれる副材を、ハヤタは作れないだろうと彼は、思っていたのだが…。
そんな企みなんぞ、彼以外しかしておらず。
……。
クオウのいる応接室にいるレンは、静かに話した。
「このスープが採用されるだろうというのは、付き添いで味わってみて確信するほどでした」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ。
まさか、この白スライムみたいなのが、スープだっていうのか?」
コレに驚くのは、クオウだけでなく、ナタルも驚いて見せるが、レンは答えた。
「濃厚なスープというのは、長時間保存しておくとさっき言ったようなスライム。
言ってみれば、ゼリーみたいになるのです」
「レン様、ゼリーという事は、温度が上がりますと?」
ナタルの問いに、答えるようにレンが用意した容器は温度があがっていったのだろう。
「良い匂いだな?」
クオウは素直な感想に、レンは彼にスプーンを差し出す。
「おいおい、俺は味とか、わからんぞ?」
彼がそう断りを入れるが、こんな事で引き下がらないのは、オージしかり、レンも同じだった。
「うん、美味い…」
料理の専門家相手に、そんな感想でいいのだろうかとクオウは軽く困惑しながら顔を見るが、レンは構わない様子でナタルを見て。
「濃厚です」
二人の素直な感想を、受けてようやくレンは答えた。
「実はこのスープ、未完成なんです」
「そりゃ、福材で主材を当てるって話なんだから…」
「あっ、ええ、いや。
そのスープ自体、未完成なんです」
クオウはレンの意図がつかめていなかったが、ナタルは聞いてきた。
「じゃあ、ハヤタ様は、未完成のスープを提出して、試験に採用されたという事ですか?」
「ええ、彼は、このスープを作っている時も、そう言っていました。
そして、問題は、それが採用された時の事です」
そういって、タブレットを起動させた。




