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新たな大地に花束を  作者: 高速左フック
第八章 ハヤタ、未熟である
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第七十五話

 その上司の様子がクオウには面白かったので、ニタニタと笑みを浮かべていると、レンは話した。


 「とりあえず、今回はビジネスの話をするつもりはないんだ。


 こちらとしても、ただ単純に話を伺いたかっただけで…。


 だけど、ここまで騒がしくしてしまって、申し訳ない」


 丁寧にレンの方から謝罪をするので、上司たちは事を見守る事しか出来なくなる。


 「ま、まあ、お話があるのでしたら、ごゆっくりしていってください」


 ペコペコと頭を下げながら、クオウを通り過ぎざまに、


「クオウ君、決して失礼のないようにねっ?」


 釘を刺して、退室していった。


 ドアが閉まり、ナタルを加えた三人が応接室に残った。


 ナタルのVRは何を解析しているのだろうと、微かに音を聞こえるのを感じる中、クオウが聞いてきた。


 「んで、俺に何の用だい?」


 その時、ナタルは湯飲みを用意して、お茶を三人分用意してくれたので、二人は礼を言って、レンが容器を取りだし中身を見せた。


 「これを見てもらいたい」


 「なんだ、コレ?」


 白くブヨブヨとしたゼリーのような物体に、クオウは当然の反応を見せた。


 「これは、スライム…でございますか?」


 「ああ、そんなんあったな…」


 「クオウ様も遊んだ事がございますか?


 「俺らは、毛だらけだからよ。


 まとわりついて、何が楽しいのかが、わからんかったけど。


 ガキの頃は楽しかったな。


 やっぱ、どこでもやった事があるんだな?」


 二人して会話が、盛り上がろうとするのでレンは、


 「あの、話を戻して、構わないだろうか?」


 容器にスイッチを入れていると、クオウは聞いてきた。


 「その白スライムと、ハヤタに何の関係があるんだ?」


 「そうですね、少し事の始まりを説明しましょう」


 ……。


 ーキミ達の中には定職に付いている者もいるだろう。


 ーだが、他の職業を経験するのは大事な事です。


 ーキミ達は学生なのだから、その若さを生かして、様々な経験をしてほしい。


 そう学校で統括を受けたハヤタに、パンチは聞いてきた。


 「おい、ハヤタはどんな職業を選んだよ?」


 「俺は、そうだな。


 このホテルのキッチンスタッフをやってみようと思ってな」


 「へえ、何で?」


 「単純にナノマシンを生かした仕事っていうのを、試してみたくなったんだ」


 そうして、ハヤタのインターンが始まったのだが。


 「よっと…」


 ハヤタはキッチンスタッフという役割は、皿洗いだった。


 「おい、そこのインターン生、この食器、全部、頼むぞ!!」


 一通り洗い終えたと思えば、さらに使用済みの食器のラックに運ばれてくる。


 その大量の食器を、そこにいる数名の従業員と一緒に洗うという作業をしていた。


 さすがに学生身分のホテルのキッチンスタッフというのは、仕事はここまでしかさせられないという事なのだろう。


 「あ、そういえば、ルミナス・グループって…」


 そして、かつてレンがまとめている経営グループを思い出したのも、その辺りだった…。


 「ハヤタ君と言ったね。


 どうかね、仕事の調子は?」


 担当のシェフ、オリオが声を掛けてきた。


 「ええ、まあ…どうにかやってます…」


 ハヤタは、働き初日の、妥当な言い返しをしていると。


 「皿洗いなんてアルバイトがするような、仕事かもしれないけど、これも立派な仕事だからね。


 しっかり頼むよ?」


 そう言われ、周囲を眺め終えて、オリオは思い出したように聞いてきた。


 「ああ、そうそう、そろそろ昼食時間だけど、案内は…」


 「されてます」


 「あっ、それはよかった。


 なら、周りの人と相談して、個々で行ってくれたまえ」


 そう言って、担当のシェフは出て行き、ハヤタも時間なので、昼食を取ることにする。


 しかし、こういう時に限って、


 「あのオレオさん、インターン生どうなんですか?」


 「はっきり言って、勘弁してほしいよ」


 「幹部候補のオレオさんが、そんな事をいうくらい、役に立たないんですか?」


 「そうじゃない、ただでさえ忙しいのに、普通科の人間をインターンで取るなって話だよ。


 料理学校の専門的な知識、技術を持った生徒とは段違いなんだ。


 ナノマシンで料理をエキスパしてるか知らんが、その程度で、我がルミナスグループの厨房に立てると思い込んでいるんでそうなヤツなんざ、皿洗いでもさせるしかないだろう?」


 「困ったモンですね。


 でも確かに、それで料理人になれるなんて、甘い考えですよ」


 自分の事を言われているのがわかるような会話の内容に、ハヤタは思わず息を潜めてしまうので、オリオは気づかずに会話を続けた。


 「まあ、そんなの明日になれば、思い知る事になるじゃないのか?」


 「明日ですか…ああ、そういえば…」


 「そこで、あのインターンに嫌味の一つも言ってやろうと思ってんだよ。


 料理人、甘く見んなって感じでな」


 「あっ、それ、良いですね?」


 これか彼のホントの性格なのだろう。


 そういうやり取りを、ハヤタは聞き終えて、気づかれてしまうのだから、


 「あ…」


 双方、実にバツが悪くなっていた。


 「あ、ああ、ハヤタ君、調子は~どうかな~?」


 対応に困っていると、担当シェフの方が先に動いた。


 「ま、まあ、ここは厨房だから、ここにある材料を使って、次からは、まかないを作っても大丈夫だからね」


 逃げる口実を作ったのだろう。


 二人して、そそくさと出て行ってしまった。


 ハヤタは思わず、ため息を付いてしまうが、別にハヤタは怒ってはいなかった。


 むしろハヤタは気にしていたのは、


 「明日か…」


 だったので、次の日、オレオに聞いてみた。


 「あの、今日、何があるんですか?」


 「キミ、嫌味かね?」


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