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新たな大地に花束を  作者: 高速左フック
第八章 ハヤタ、未熟である
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第七十四話

 「かしら~」


 「なんだ?」


 ここはクオウの働いている、ウルフィ・オ・ファーム。


 同僚のオオカミ男の呼びかけに、クオウはぶっきらぼうに、


 「多分、客です」


 顔をしかめる。


 「なんだ、その『多分』ってのは、気持ち悪いな」


 「いや、かしらの客じゃないと思うんスが、かしらが相手した方が良いと思いまして…」


 「どうして

?」


 「多分、ハヤタの客ですから…」


 「あんだって、なんでわかるんだ?


 つか、なんで俺が…。


 ああ、そうか…」


 クオウは、思い当たる節があった。


 今日は、週末。


 ハヤタは週末労働のため、出勤しているのだが、この二週間、彼は休暇扱いとなっていた。


 「そういえば、ハヤタはインターンって、ヤツだったな?


 んで、俺か?」


 「はい、ですんで、応接室で待たせてやす」


 学校行事なら仕方がないと、来慣れない応接室にクオウは向かう事となったのだが…。


 「なんだ?」


 慌ただしく課長やら、幹部連中が通り過ぎて、待たせているであろう応接室に入って行ったからである。


 応接室はここしかない。


 なので、クオウは軽く様子を伺う、


 「ようこそ、いらっしゃいました。


 ルミナス・レン様。


 おっしゃったら、こちらから伺いますのに…」


 ハヤタと同じような黒髪が印象的な女性に、独特の猫なで声で挨拶する上昇部に、クオウが虫唾が走るなか、クオウは『これは、ハヤタの客ではないのじゃないか?』と思いもするが、


 「いや、ちょっと、ハヤタ君の事で、聞きたいことがあってね」


 やっぱりそういう事ではないらしい。


 「ちょ、ちょっとお待ちください。


 ハヤタ…君ですか?」


 「はい、フルネームはコバヤシ・ハヤタ君なんだが…」


 「ど、とりあえず、呼んで来ます」


 「ああ、ちょっと!?」


 慌てて飛び出す重役と、思わぬ対面をするクオウに重役は聞いてきた。


 「あっ、キミ、ハヤタ君という従業員を知らんかね?」


 「ええと、コバヤシ・ハヤタの事ですかい?


 今日、ハヤタは、インターンで来てないぜ?」


 「休みだというのかね!?」


 苛立ちを見せる、この重役が、オオカミ男じゃないのもあるのか、もともと、この重役が気に入らないのもあり、クオウは何かしら言い返そうとするが、


 「あのクオウ様、申し訳ありません」


 そう言って制したのは、ナタルだった。


 どうやらこの騒がしさ所為で、目立たなくなっていたらしいが、クオウは見知った人を見たので気を許した。


 「お、ナタルじゃねえか、一体、どうしたんだよ?」


 もう大騒ぎになりそうな状況なのが、ナタルでもわかっていたのか、レンに話をする。


 「あの本日はこのレン様が、クオウ様に用事がありまして、お伺いにあがったのです。


 最初は、自宅の方に伺ったのですがいなかったので、通り掛った休暇中の同僚の方に『会社の方に行ってみたらどうだ?』という事になりまして…」


 「私としても、連絡してアポはとった方が良いと言ったんだけどね。


 こんな大騒ぎになってしまって、すまないね」


 クオウは実際、職場にアポなしでやって来て、忘れ物を身内が届けてくる事もあるのを見た事もあり。


 騒ぎの顛末を何となく理解しながら、レンに聞いた。


 「でもよ、何で俺なんだ。


 大体、オレは、アンタとは面識もないだろ?」


 クオウらしい言い方に、上司は『ぎょっ』として、クオウの作業服を引っ張る。


 「ちょ、ちょ、ちょま、クオウ君っ!!」


 「なんだよっ!!」


 再び、不機嫌になるクオウに、上司は無理やり耳打ちをする。


 「良いかね、クオウ君、くれぐれも失礼のないようにしてくれ…。


 相手はルミナスグループの総帥なんだよ…」


 「だから、何なんだ、それ…。


 そのルミナス・グループってのは?」


 「キミは夜に、ご飯も食べないのかね?


 私たちの食事に届けられる、容器のマークを見たことくらいあるだろう?」


 「ああ、弁当のマークのアレかっ!?」


 上司の軽いジェスチャー混じりの応答に、クオウはようやく合点がいく。


 それが面白かったのか、レンが微笑んで見せるが、クオウはさらに気づいた。


 「そういや、ルミナス・グループって…」


 慌てて上司が止めようとするが、この状態で止めるのは無理である。


 「ハヤタが、インターンに行ってるホテルも、そうじゃなかったか?」


 「ええ、私どもの経営しているグランドホテルで、インターン実習生として、預からせてもらっています」


 ここまで言うと、クオウは何かしら察して、レンに聞いた。


 「もしかして、アイツ、何かやったのか?」


 上司たちが真っ青になるのを尻目に…。

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