第七十話
ナノマシンの設定で、地球って単語を言えないようにしようと考えてたけど、最初の自己紹介の下りでがっつり『地球』って言っちゃってるよ。
修正しようにも、他にも出るわ、出るわ。
どうしよ…。
当然、サッカーのワールドカップなど、知りもしないナタルは聞いてきた。
「ハヤタ様、そちらの方は?」
「あのメッツァーだよ。
サッカーの…。
ああ、知らないか…」
ハヤタは自分だけが興奮してるのに気付き、冷静になろうとする。
だが、聞かずにいられないのは仕方のない。
「デイビッド・メッツァーさんで、良いんですよね?」
「キミは…。
僕の事を知ってるという事はもしかして?」
「はい、地球です。
地球出身です」
その返答を聞いたのか、それともハヤタを見てからか、メッツァーが微笑んで言った。
「だったら、これは違う競技だというのを、君からも説明してくれないかな?」
「そ、そうッスね。
あのココネさん、だっけ…」
ハヤタは恐縮しながらも、ココネに説明をするのを見て、ミスティが聞いてきた。
「ハヤタ様、この方は、それほど有名な方なのでございますか?」
「俺の惑星で、その競技で知らない人はいないというほど、有名な選手なんだ」
芸能人に出会った一般人よろしく、ハヤタのテンションの上がりようをみて、メッツァーは制して答えた。
「正確には『だった』だね。
もう、サッカーは存在しないんだよ。
ところで、どうしてキミは学生を?」
「それは、いろいろありまして…」
ハヤタは今までの経緯を話すと、
「なるほど、そういえば…。
この前、そこの生徒会長のミスティさんとの騒ぎで、キミを見た事があるよ?」
メッツァーが思い出したのを見て、ハヤタは照れていると、ミスティは聞いてきた。
「あのプロの選手と伺いましたが、どうして似たような競技には、興味を示さないのでございますか?」
「興味がないというワケじゃないんだけどね。
そのココネちゃんの『グラスタ』というのを見るたび、やっぱり競技の違いというのは、抵抗があるんだよ」
「そういうモノなので、ございますか?」
それに納得しないのは、ココネだった。
「じゃあ、どうして、やってみようと思わないんですか?
一度でも、やってみようと思わないのですか?」
「今は働く事に、手いっぱいでね…」
そんな断り方をして去っていくメッツァーに、当然、ココネは納得はしていないので、追いかけていくのを見て、ミスティは言った。
「そういえば、女子グロスタは正確には、部活動ではありませんでしたわ…」
「正確な部活動ではないって、どういう事だよ?」
「その競技の参加人数に足りてなくて、同好会扱いなのでございますわ」
ミスティが視線で指すと、男子グロスタの選手なのだろう。
「おい、女子ども、さっさと設置しろ!!」
キャプテンなのだろうか、金髪の長身の男の激が飛び、男子と混ざって練習道具の設置をしていた。
「地位の向上も踏まえて、彼にコーチを頼み込んでいるのでございましょう」
サッカーで言うところのフリーキック、セットプレイの練習を眺めてミスティは言った。
その風景を、メッツァーは、静かに眺めていたが、ハヤタはこう言うしかなかった。
「確かに、俺には、どうする事も出来ないよな」
そう言った、翌日である。
ミスティから、連絡が入った。
「ハヤタ様、大変でございますわ!!」
「な、なんだ!?」
「あのメッツァー様が、大変なのでございます!!」
「何だって、一体、何があった!?」
「とにかく、来てくださいまし!!
メッツァー様が、大変な事に…」
ミスティのいる惑星では、平日なのだが、ハヤタにとっては週末なのは幸いだった。
急いだとはいえ、惑星間を飛び。
ミスティのいる学校のついたのは、昼下がりだった。
「ミスティ、コレは何だ?」
昨日の光景が、良くかぶっていた。
「あ、ハヤタ君、良い所に来てくれたよ」
そこには困惑するメッツァー。
そして…。
「……」
土下座するココネと、もう一人、土下座をする。
「私に、講義をお願いします」
昨日の男子グロスタの金髪のキャプテンの姿があり。
「土下座が、増えてる」




