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新たな大地に花束を  作者: 高速左フック
第七章 ハヤタ、悪気ない過ち
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第六十六話


 ハヤタは身を乗り出して、運転席に座ったミスティに話しかける。


 「これがアクセルで、これを踏むと前に進むから、ゆっくり踏んでくれ」


 この距離にミスティは顔を赤らめるが、車の運転など今までやった事のないのだから、真面目に聞いていた。


 「は、はい、これですわね…。


 いきますわよ…」


 ハヤタの言われた通りに、アクセルを踏んで、コンバインがゆっくりと前に進む。


 「進みましたわ、ハヤタ様‼」


 「じゃあ、さっきナタルと同じように運転して、こっちに戻って来てみよう」


 「わかりましたわ~」


 しかし、彼女にしても安全に運転しているつもりなのだろうが、


 『危険な運転を、感知しました。


 自動停止します』


 コンバインから、そんなアナウンスが流れて、ゆっくり止まってしまう。


 「ハ、ハヤタ様…」


 ナタルが運転していた時には、こんな事が起きなかった事もあり、ミスティは不安な表情で遠くのハヤタを見るが、ハヤタはインカム越しに答えた。


 「最初に運転するって事になると、こうなるモンなんだよ。


 実際、こうなるのをナタルで期待してたんだけど、どうやらあのVRは、運転補助も付いていたのは計算外だった」


 「そ、そうですの?」


 「まあ、会社敷地内で運転の際、各コンバインには安全なプログラムが組まれていてな。


 規定以上の速度で運転しようとすると、今のように止まるようになる」


 「そ、そうなのですのね…」


 「じゃあ、ディスプレイに再起動が出てるのがわかるか?」


 「はい」


 「それを押して、言われたとおりに運転して戻って来てくれ」


 ミスティにそう説明すると、彼女は今度は上手く運転して戻ってきた。


 「よし、今度はベリルの番だ」


 するとベリルは困っていた。


 それもそのはず、ベリルはハヤタの腰までの身長しかないからだ。


 「ハヤタ、私、ペダル、届かない」


 「こういう時は、モードチェンジして…。


 ハンドル操作のみで、運転できるようにするんだ」 


 「おお~」


 ベリルは感嘆しながら、軽々と運転しているのを見て、ミスティはハヤタに言った。


 「ハヤタ様、ズルいですわ。


 こんな簡単な方法があるのなら、先に言ってほしかったですわ」


 「うん、先にミスティ達に見本として、やるべきだったな。


 手際の悪さだな。


 慣れてないという事で勘弁してくれよ…」


 「そ、そういえば、クオウ様もおっしゃってましたわね」


 そう言って、三人のやり取りを遠目に、ミミミがクオウに聞いてきた。


 「それで『次のいざござ』って、何が起きたのよ?」

 

 「聞いてたのか?」


 「まあね?」


 クオウは『そうだな』と、頬をポリポリと掻いて答えた。


 「そんな調子でハヤタが、普段の倍以上の土地を耕し、種だってノルマ以上に植えるわけだ。


 当然、上司たち、老人どもが言ってきたんだ。


 『なぜ、コンバインを今まで使わなかったのか?』


 なんてな…。


 すると、当然、この風当たりに耐えられないヤツらが『やめさせろ』と言ってきたんだ」


 どんな人種の人力(じんりき)でも、機械の力には敵わない事がある。


 ハヤタの倍近くある体格のクオウ達、オオカミ男でも、それに当てはまったらしい。


 「確執って、ヤツだな。


 ちょっとした、暴動になった」


 「それって、結構、危ないじゃない?」


 「うん、はっきり言って、ヤバかったな。


 だが、爆発寸前だった状態を立て直したのも、ハヤタだった」


 そう言って、クオウは成った作物を眺めて続けた。


 「アイツのナノマシンが、コンバインで植えられた作物より、手作業で植えていた作物の方が出来が良い事に気づいたんだ」


 「でも、それ、何の解決になってないじゃないの?」


 「いや、大事なのは、作物の大量生産が出来るという事と、品質の高い作物を区別する事だ。


 こうする事によって、会社にとっては利益が違ってくるだろう?」


 「なるほど、そうする事によって、卸す業者、業種も見直す事で、良い方に利益を生まれたのね」


 「そして、オレは、昇格した」


 「アンタ、面白くなってきたでしょ?」


 するとクオウはハヤタを呼び寄せ、ハヤタをどこかに行かせた。


 その後ろ姿を見て、クオウは言った。


 「まだ、問題は、そこで解決してはいなかったんだがな…」


 「まだ、あるの?」

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