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新たな大地に花束を  作者: 高速左フック
第六章 ハヤタ、論じる
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第六十一話

 「おい、お前、寄生虫は、食中毒は?」


 ミミミツの反応を見る限り、アポニーの憶測は当たっていたのだろう。


 ハヤタは、あきれながら言った。


 「あのな、この海鮮丼で、寄生虫だの言ってたら、逆に、お前らの食事事情が気になるわ?


 っていうか、お前、やっぱり、オレに嫌がらせをするつもりだったんだな?」


 「うっ、いや、その…」


 ミミミツの、あからさまな態度にハヤタは思わずレンと目があい、頷いて答えた。


 「言っておくが、生が不衛生なら、もっと不衛生なのあるからな?


 自分の惑星の料理(すし)と言ってな…。


 あれ、自分の惑星の料理(すし)…。


 ええい‼」


 ハヤタがナノマシンによる、言語規制にいら立って、何とか動作で表していると、レンはハヤタの動作で察したらしく。


 「もしかして『握り』の事かい?」


 その時、レンの曖昧な発言ではあったが、ハヤタは不思議と理解できた。


 「多分、それであってると思う。


 もしかして、あるの?」


 「あるけど、封印してる」


 「えっ、どうして?」


 「ミミミツ君を見たまえよ?」


 「なるほど」


 そして、ハヤタはこうも言う。


 「もったいない…」


 その嫌味ともとれる態度に、ミミミツは顔をしかめそうになるが、今回は好奇心が勝ったらしい。


 「そ、その『握り』というのは?」


 「ハヤタ君、答え合わせに説明をしてみてよ?」


 「技術が伴ってないんだけどな…」


 そう言いながら、ハヤタはミミミツに動作と共に説明をする。


 「こう、ご飯を握ってだな…。


 ほいっ、お待ち‼」


 「待ってないよ」


 職人が聞いたら怒られそうなのだが、まあ、説明というのはそんなモンだろう。


 ミミミツが冗談だろうと、レンに視線が逃げたが、彼女は笑いながら言った。


 「やれやれ、何年後に封印が解かれるのやら…。


 料理人として、嘆きたくなる」


 すると今度は様子を見ていた、ナタルが聞いてきた。


 「ハヤタ様の惑星では、生食に抵抗がないのですか?」


 「そりゃ、好き嫌いはあるぞ?


 でも、俺の国…地域では、基本的に抵抗はないんじゃないかな?」


 ちなみにナタルに生食に関して聞き返してみると、彼女も抵抗はないらしい。


 「まあ、授業でやってたけど、生モノなんて地域によっては腐りやすかったりするんだから、生卵を、ご飯に掛けて『食べろ』なんて言う気はないよ」


 「生卵⁉


 アンタの惑星の食事事情、どうなってるのよ?」


 ミミミが驚いて見せるので、この兄妹には生食の文化はないのがわかった。


 その上で、レンが頷いて。


 「もったいない」


 「確かに…」


 ハヤタも頷く。


 「卵、一つを…」


 「小皿に落として…」


 動作が自然と合うのが、微笑ましくあるが…。


 「完全に解き終えた生卵を、ご飯に混ぜて食べるのが、おいしいというのに…」


 「完全には解かない生卵を、ご飯に乗せて食べるのが、おいしいのにな…」


 ここだけ、意見が合わなかった。


 「……」


 二人が黙ってしまう。


 「え、何、何よ?」


 それはミミミが思わず緊張してしまうほどの、静寂を二人が生み出していた。


 「…その派閥の人間が、ここにもいようとはね?」


 レンは先ほどの微笑ましさはどこへやら、ハヤタは首に軽い柔軟を施して『俺もだ』と答える。


 「住む惑星が変わっても、この論争があるとはな?」


 「論争、確かに…。


 その言い方が正しい」


 「あ、あの、一体、何の話でしょうか?


 な、なあ、ハヤタ?」


 雰囲気に吞まれながら、ミミミツは何とか聞き出そうとするので、レンは静かに、


 「私から言うべきだろうね」


 さきに答えたのはレンが手を挙げていった。


 「古来より、料理というのには、論争が付いて回る」


 「ろ、論争で、ございますか?」


 「さきの生食も、一端に引っかかったが故に発生した論争だ。


 それは、生モノは腐りやすかったり、微生物が発生するから…。


 『生での食事はやめろ』


 と言われる。


 しかし…」


 「適切な処理を施していれば、


 『食中毒の危険もないのだから、大丈夫』


 という、この論争が、母というべきか、父というべきか…。


 ハヤタ君、キミが言ったことは料理人が向かい合うべき宿命だ。


 私だって、避ける気もないし、逃げる気もないよ」


 レンは静かに答え、ハヤタの返答を待つ。


 「忌々しいモンだ。


 例え、煮て作られようと、焼いて作られようと、発生するんだろうな?


 混ぜるか、混ぜないか…」


 その一言にレンはキッと睨みつける。


 その先には、当然ハヤタがいる。


 「自分の惑星の料理(カレー)を混ぜるか、混ぜないか?


 自分の惑星の料理(ラーメン)を混ぜるか、混ぜないか?


 きのこか、タケノコか?」


 「言語に規制が掛かりすぎて、読みずらいじゃないか?


 そう、言うなれば、食べ方だ。


 いや、マナーというべきか?」


 「俺は、よほど相手が食べ方が汚い限り、俺は文句は言わん。


 だが、それ以前に、うまい食べ方があるのだ!!」


 二人は同時に答えた。


 「「なぜ、それをしない!!」」


 アポニーは呆れて言った。


 「キミたち、仲が良いだろ?」

ルビ打ち、難しいです

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