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新たな大地に花束を  作者: 高速左フック
第一章 こんな生活が始まります
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第六話

 軽く褐色の肌をした、豊かな身体に、パープル色のロング部屋に似合った顔立ちに、そして、身にまとうは白衣。


 その姿に保健室の女医をイメージしてしまうが、


 「誰?」


 ミラ達が思うように、この学校の女医では無いのは、ハヤタの方が知っていた。


 「あ、ヒルデ先生」


 そう呼ばれた彼女が、ミラに軽く答えた。


 「悪いわね。


 この子、何かした?」


 「あら、貴女は?」


 「私、劣等種保護医療部門のドクターの、


 ヒルデ・ストライカよ。


 このハヤタ君の入院中、担当させてもらったモノよ。


 この子が、失礼な事をしたようね?」


 「そ、そうよ、私の親友を利用して、格上げしようと企んでいるのよ?


 だから、私は注意しようとして…」


 「親友?


 もしかして、ナタルちゃんの事?」


 ミラが頷くので、ヒルデは頷いた。


 「あのね、ナタルちゃんとハヤタ君は入院中、同室だったのよ。


 知り合いになるのも無理も無いでしょう?」


 『でも』とさらに言葉を発しようとするが、ヒルデは先手とばかりに言った。


 「この子は格上げなんて企むほど、狡猾じゃないって、担当してる私が断言してあげるわよ?」


 その『睨み』に近い見つめ方は、


 「……」


 ミラや取り巻き達を、退散させるしかなかった。


 そして、ヒルデはハヤタに向き直って、肩を崩した。


 「ハヤタ君、どうもキミは、トラブルに巻き込まれる節があるみたいね?」


 「返す言葉もない…」


 「別に構わないわよ。


 キミの性格は、入院中、よく知ってるつもりだし、乗って?」


 そう言って、促されるまま彼女の自家用車に乗り込んだ。


 「しかし、驚いたわね~。


 まさか、ナタルちゃんと、同じ学校に転校するなんて…」


 地球にはないエンジン音を聞いていると、ヒルデは機嫌良く話しかけて来た。


 「知らなかったのか?」


 「知るわけもないでしょ?


 さっきのミラって娘がいたでしょ?


 その家に引き取られて、そこでステータス取得のために、学校に行くことになって、私が手配したけど、私はそこまでしかしなかったわよ。


 キミだって、どうして学校に転校できたのよ?」


 「そのステータス取得ってのかな。


 『学校くらい卒業しておけ』って言ってくれる人がいてさ。


 オレのアパートに住んでる隣りの人が、学費を出してくれる事になったんだよ」


 「ふうん、随分と気前の良い人ね?」


 そういう会話をしていると、ハヤタの住むアパートが見えた。


 「ここがキミの住むアパートね。


 うん、まともじゃない?」


 一見、地球でも見られるようなアパートがハヤタの住処である。


 どうして見慣れたアパートがここにあるのか、説明は難しいが何処に住むのかを決めるのは、その惑星の文化レベルを吟味した上で、住む場所を当てられるらしい。


 「住むには十分な広さだし、問題ないけどな?」


 「それで私を呼びつけたのは、どういう事なの?」


 「色々と、前後してるのもあるんだけどな。


 実はナノマシンに関してなんだ…」


 すると、ハヤタに声を掛ける姿があった。

  

 「おう、ハヤタ、帰って来たのか?」


 本日、よく話に上がった、隣人のクオウだった。


 文字通りのオオカミ男に、驚くのはヒルデだった。


 「クオウ!!」


 彼女が完全に身構えるので、ハヤタも驚いてしまう。



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