第五十八話
さて、ハヤタの補習であるが『どうして、今日ではないのか?』というと、
「みなさま、私のために、この様な催し物を開催していただき、感謝いたしますわっ‼」
ミスティはそう言うように、今日の放課後は歓迎会が開催されるからだった。
当然、生徒会主催のこのパーティは、多目的ホールを使ってのヴァイキング形式の立食パーティー。
さらに料理には実際のシェフを使ってるのだから、
「こりゃ、うまいね」
むぐむぐと小皿に取った料理を口に運ぶアポニーは、ハヤタに気づいた。
「どしたんだね、ハヤタ君?」
アポニーの声に気が付くと、どうやら、それがミミミには、ぼんやりとしていたと勘違いされていた。
「ちょっと、しっかりしなさいよ。
これも生徒会行事なのよ」
「歓迎会に、こんなパーティを開くとは思いもしなかったんだよ。
この学校、そこまでお金、持ってたのか?」
「どこにでもある、普通の学校よ。
歓迎会くらい、これくらいやるのが普通でしょ?」
「いや、こんな卒業パーティ規模の立食がか?」
ハヤタが言うように、そこには生徒会だけではなく、アポニーやらパンチがいるように、これは学校全体クラスのパーティと言っても言い過ぎじゃなかった。
「では、ハヤタ様の普通の規模とは、どれくらいなのでございますか?」
「他の学校を知らないから、何とも言えないけど、そもそも歓迎会自体がない。
あっても、ナタルや俺たちがいる生徒会室でやるくらいの規模だぞ?」
「えっ、じゃあ、どうやって他校との交流をしてるのよ?」
「そりゃ、学校行事もあるけど、部活動やら、昔の友達やらを通して知り合ったりだ」
「そんな事で、交流って言えるのかしら?
まあ、学校行事というのは、どこでも共通なのね?
でも、これくらいが歓迎会の普通よ。
それに…」
「それに?」
「今日、兄さんの誕生日なのよ」
ミミミは視線をミミミツに向けると、ハヤタなりに解釈したが。
「なんだ、生徒会って役職を利用してそんな事もやってんのか、アイツ?
って、いうか…」
そこで気づいた事もある。
「おめでとうございます」
そういえば、ミミミツとミミミは双子だった。
「ありがとう」
「てか、なんで、お前はこんなトコロにいるんだ?」
「見なさい、来賓もいらっしゃるのよ。
主催は、あくまで生徒会長。
この学校行事を双子の功績にしてしまえば、二つに分けてるように見えてしまうでしょ?」
「そういうモノか?」
兄を立てているのだろうかとも思いもしたが、そんな中で、アポニーは周囲を観察していた。
「そういえば、あのシェフ、どこかで見たと思えば、ルミナスグループの女総帥、ルミナス・レンだね」
アポニーの示す先を見ると、
そこには長い黒髪を後ろにまとめた女性が、ヴァイキング形式の料理を新しく補充していた。
ハヤタにとっては、その服装が気になっていた。
「チャイナドレスだ…」
「こっちでは、スリットドレスと呼ばれるモノなのだよ。
どうやら、この単語は規制されてないみたいだね?」
ハヤタは学生身分の無知も手伝って、アポニーに聞いた。
「ルミナスグループって、なんだ?」
「ほら、弁当とかで有名なグループだよ?」
アポニーは手でマークを表すが、ハヤタが合点がいかない。
「俺は自炊だからな」
「ああ、弁当を頼むことないんだっけ?
まあ、その弁当のメニューを考えてるのが、あの女総帥なんだよ」
「ふーん、じゃあ、ナノマシンとかも、料理を設定してるのか?」
ハヤタは安易にそう言うが、アポニーは首を振る。
「いや、彼女はそれがないんだ」
「エキスパンジョンがない?」
「言い方が悪かったね。
彼女の考えでね。
『料理』をエキスパンジョンしてないって事だよ」
「つまり、腕前一つで、料理をして、この街の献立を考えてるって事か…」
「認識が甘いね…。
この惑星だよ」
年齢はアポニーと近いらしく年上だと、知ったあたりだった。
「おや、ハヤタ君、こんなトコロにいたのか?」
ミミミツがやって来て、笑みを浮かべていたので。
「なんだよ、気持ち悪いな?」
ハヤタは素直に聞いてきたが、
「キミと食事を共にしたいのもあるが、合わせたい人がいるんだ…」
嫌な予感しかしなかった。
「ハヤタ君…」
「なんだよ?」
アポニーは察しながら言った。
「フラグの回収、早いね?」
「うるせえ…」




