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新たな大地に花束を  作者: 高速左フック
第五章 ハヤタ、誰が笑えますかい?
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第五十二話

 「あのよ、ミミミツよ」


 「ななな、なんだ。


 ハヤタ?」


 「お前も人の事、言えないじゃないか?」


 「そ、そんな事は、な、ないぞ?」


 ミミミツが明らかな動揺を見せるのが、ハヤタは仕返しとばかりに嫌味を言う気にはなれないのは、周囲が動揺して騒がしいからだった。


 「どうなってるんだ!?」


 「こんな事になるなんて、聞いてないぞ!?」


 「お客様、みなさま、落ち着いてください…」


 ミミミツのように落ち着きをなくした乗客が、客室乗務員に詰め寄っているのだから。 


 こうなると、


 「おかしいのは…」


 自然と目が向かうのは女性陣であるのだが、


 「今、船が海に浮かんでる状態、らしい」


 「宇宙船が、ただの船になりやがった」


 リッカが豪快に笑い飛ばしているのを、ミミミは呆れていた。


 「どこが面白いのよ?」


 だが、女子同士の独特な明るい雰囲気で談笑していたので。


 「おかしいの…俺でもないよな」


 と認識しながら、こんな騒ぎの中、別々でいるのも何なので、ミミミツを半ば引っ張りながら向かうことにした。


 「あっ、ハヤタ様」


 先に気づいたのはナタルだが、ミスティが詰め寄った。


 「ハヤタ様、落ち着いてくださいね‼

 

 こういう時は、落ち着くのが一番なんです‼」


 ハヤタの肩を揺さぶらんとばかりと、迫りよって来るがベリルが制した。


 「ミスティ、落ち着いて、ハヤタ、落ち着いてる」


 そう言われて、ようやく気が付いた。


 「そういえば、そうですわね?」


 それを聞いた女性陣は、改めて気が付いたのかミミミは言った


 「随分と落ち着いてるのね?」


 「まあ、大丈夫っぽいからな。


 お前の兄さんは、駄目っぽいけど?」


 「そ、そんな、こ、事ないぞ!?


 ハ、ハヤタ君は、お、お、おかしな事を!!


 言うなぁ?」


 「急に『君』付けすんな!!


 お前のこの状況が、逆に怖ええよ!!


 なんでお前は、こんなに困惑してんだよ!?」


 おそらくミミミツの状態が、この状況を生み出しているのがわかってはいるので、ハヤタはこれ以上の責めをする事はなかったので、ミミミツが説明を始めた。


 「ふ、普通に飛んでないだろう」


 「おいおい、そんなの俺が、前にあったのと大して変わらないぞ?」


 「そ、そそそ、そうではない。


 お前の場合は、宇宙船が宇宙を浮いた時点で、事故が起きたから大した事はない。


 だが、今回の、ば、場合にはだな。


 宇宙船が、宇宙にじゃなくて、海面に浮いてるのだ。


 これは、落ち着いてだな…いられん」


 「何度も『宇宙』言い続けて、ワケわからん事を言ってるぞ?」


 ハヤタは余計に理解しがたかったが、ミミミツが話し始めた。


 「だ、大体だ、な。


 事故が起きたというのは、大して変わらないだろう。


 どうして、お前は落ち着いてるのだ?」


 「宇宙空間で漂流する方が、怖いと思うからだ。


 空気のある場所で、しかも、動力も失ってない。


 それにミミミツよ、窓の外を見てみろ?」


 ハヤタはそう言って、ミミミツを促すと説明をする。


 「救助艇なんだろうな。


 まあ、小型の船の数隻が、この船を取り囲んで先導し始めているだろ?


 前に馬鹿にされたけど、安全面が段違いってのは、こういう事なんだろうな」


 「そうよ、兄さん、騒いでるのは、一部の人たちでしょう。


 兄さんも、その中に入りたいの?」


 妹に諭されたのが効いたのか、


 「そ、そそ、そうだな…」


 冷静さを取り戻そうとした時、アナウンスが流れた。


 『現在、当機のトラブルの対処として、安定を促すため、救助艇のとのドッキング作業を行い。


 付近のステーションに向かう予定です。


 少々の揺れも発生しますので、ご了承ください』


 その作業中だったのか、アナウンスの終わった途端だった。


 「おっ」


 ドッキングの影響か、船体が揺れた。


 それは、ほんの軽い揺れだった。


 それが…。


 「ホントに、大丈夫か!!」


 先ほどから騒いでいる乗客がさらにヒートアップさせていた。


 そして、責められている乗務員は、マニュアル通りに対応したのだろう。


 「落ち着いてください、念のため、救命胴衣の着用をお願いします」


 その一言が、さらに彼らを油を注ぎ、周囲を騒がせ。


 「救命胴衣か…」


 「今度は、アンタが青ざめてるわよ?」


 ハヤタが青ざめていた。

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