第五十一話
そうして自分たちの惑星に戻るために、もう一度、シャトルの待ちとなった。
ミミミとナタルとミスティが手続きをするのをみて、ちょうどベリルが一人でいたので、ハヤタはさりげなく聞いてみた。
「ところでベリル。
最近はどうなんだ?」
「ん、最近って?」
「まあ、前に色々あっただろ?
それで気になってだな」
自然とミスティが行き、それに気づいたのか彼女はハヤタに笑顔を向けていた。
それをベリルも見て答えた。
「使い走りはある…」
「なんだって?」
「勘違いよくない、部活動上の話。
ミスティは変わった」
ベリルはハヤタに、ミスティの旅行用のカバンを指して言った
「前は、あのカバン、私とか、持たせていた。
気が付てるかも知れないが、取り巻きもいない」
「あ、そういえば…」
ベリルに言われて、ようやく気付いたハヤタは納得したのを見て、ベリルは頷いて言った。
「ミスティは自分でやり始めて、色んなモノが見えたって言ってた。
それも謝ってきた。
試合にも、出させてもらえるようになった」
「ふーん」
ハヤタはベリルと話していると手続きは終わったらしく、ナタルとミスティがやってきた。
「ハヤタ様、お待たせしました」
「ベリル、一体、ハヤタ様と何を話してましたの?」
そう聞かれていたので、さすがにこの話題を聞かれるのは、ミスティにとっても気まずいモノなので。
「ベリルにお互いの惑星の景気を聞いていたんだ」
「うん、ぼちぼち」
「アンタら、明らかに誤魔化すのやめなさいよ」
ミミミに突っ込まれながら話していると、アナウンスが響いた。
「まもなくトランス=ハル行きのシャトルがまいります。
ご乗車の方は、2番ゲートの…」
「あっ、来たみたいだな」
そうこうしている内に時間が来たらしく、みんながシャトルに乗り込んだ。
指定席というワケじゃないが、自由席であってもみんなが固まった形で席に着くと、隣に座ったミミミツが嫌味たっぷりに言った。
「何か事故が起きても、動揺せんようにな?」
「するか…」
ハヤタは悪態を付くだけについて、幸い窓際だという事もあり外を眺める事となったのを見て、ミミミツはミスティに言った。
「ミスティさん、私の学園に着いたら、まず歓迎会を催しますので、楽しみにしていてください」
「そ、そこまでしなくても…」
そんな会話を尻目に、アナウンスが響く。
「まもなく発車します。
機体上昇時は、安全のため席をお立ちにならないでください」
まるで路面電車のようなアナウンスだが、これは宇宙船である。
船体の重量に似合わない上昇の仕方は相変わらず、目を見張るモノがある。
だが、先ほどミミミツに嫌味を言われた事もあり、ハヤタは冷静を装う事にしていると、
こんなアナウンスが響いた。
「ただいま、大気圏突破機構にトラブルが発生いたしました」
こう何度もある事なのだろうか、ハヤタはなるべく動揺を見せないように努めていると、アナウンスは続いていた。
「…よって、本機は海面に着水いたします。
安全のため、席をお立ちにならないでください」
『不時着』
安易にそのキーワードが想像できてしまい、ハヤタが緊張していたのだが…。
「おっ」
思わず声が漏れるほど、その感覚は、少し中身の入ったポットボトルを海に向かって投げた感じだろうか…。
「いや、やってはいけないんだけど…」
それ以上に、このシャトルは海面に着水して浮いたのだ。
「宇宙船って、ホントに水に浮くんだな?」
素直に感心して、ようやく窓の景色からミミミツを見ると…。
「そ、そ、そ、そうだろう、そ、そうだろう。
ハ、ハヤタ。
お、落ち着くんだぞ、落ち着いておくんだぞ?」
明らかに様子のおかしい男が、そこにはいた。
いや、彼だけではなく。
「おいおいおいおい。
どういう事なんだ!?」
このシャトルの乗務員に、大勢が詰め寄り。
明らかに騒ぎが起きていた。




