第五十話
「なんだよ、そこまで笑う事か?」
ハヤタはからかわれるのを嫌がり、リッカに立てつこうとするが、もうこうなるとどうにもならない。
「お前、シャトルってのはな。
事故が起きるほうが、めずらしいんだぞ?」
「でも、運転や操作してるのは人間なんだから、最悪の事を考えてだな…」
自分が言ってる事が言い訳にしか、聞こえないのだろう。
「まず、重力制御があって…」
3M越えの女子と、
「ベリル、確か緊急時には半径なんぼかに、バリアだって発生するんだよな?」
宇宙船とは何ぞやを教わる事となった。
「なるほど、つまり単純に技術レベルが違い過ぎるんだな」
「いつ時代の話をしてるんだって事だよ」
「そんな話か?」
大げさと思いもしたのだが、その通りなのだろう。
「ハヤタ~」
嫌な猫なで声の、ミミミツが来たからだ。
「お前が、どう、とり乱そうと構わんが、それくらいは常識として知っておいてもらわんと困るな?」
『んん~』と嫌味たらしく、顔を覗き込むので、さすがに反論する。
「うるせえな、でも、事故が起きたら誰でも焦るモンだろ?」
「ふ~む、それだからこそ、劣等種は困る。
地上を走る車ですら、事故を起こすのは難しいというのに…。
無知というのは、悲しいモノだな?
お前は差し詰め、宇宙船は水に浮くことすら知らんのだろう?」
「それは知らんけど…」
知らない知識を披露されて、ハヤタは黙ってしまい。
ミミミツの追撃を許す。
「ふむ、こうなるとますます、お前の惑星の技術レベルが気になるな」
晒されるつもりはないが、ハヤタは周囲を見ると、興味があるのだろうかナタル達も集まってきたのだから、話さざる終えなかった。
「どうせ、何の加速も無しに、浮力だけで加速して、大気圏突破する技術なんてない惑星だよ」
「だが、聞いた話だが、宇宙には出るくらいの技術はあったのだろう?
どうやって、大気圏を突破してたのだ?」
「単純に地上で燃料使って、浮上して加速するんだよ」
「それは、また随分と原始的な話だな」
ミミミツは嫌味たらしいが、興味があるらしのがわかったので、ハヤタも身振り手振りで話す。
「さっき言ったような。
『何の加速もない浮力』を獲得する技術なんてないからな。
真面目な話、そういう方法で、大気圏を突破する速度を獲得する方法が取られてるんだよ。
大気圏内の飛行でも、地上で加速して飛んでるんだ」
「随分と危険なのだな…」
「危険かな?
まあ、確かにその初動の段階で事故が起きる可能性だってあるから、危険と言っちゃ、危険だな」
そして、ミミミツが釘をさす。
「まあ、そういう考えだから、動揺してビビッて見せるのだろう?」
「うるせえ…」
これ以上、付けあがらせるのは、ハヤタも嫌だったので、ミスティもいた事もあり、ベリルに聞いてみた。
「そういえばさ、校内に全然、人がいなかったけど、何かあったのか?」
すると、この質問もまずかったのか、
……。
と、静かな間が生まれ。
『どっ』と、ミミミツらに笑われてしまった。
「ハヤタよ。
こっちの惑星の学校は、長期休暇なんだぞ」
『これだから、劣等種は』とミミミツにも笑われ、一緒になって笑っていたリッカにも笑われる始末である。
「そういえば惑星によっては季節が違うから、長期休暇も違うんだったな…」
「ま、まあ、ハヤタ様、知らなかったのでございますから、仕方ありませんわ」
そうミスティとナタルが落胆するハヤタを何とか擁護しようとするが、まあ、後の祭りである。
「そこでミスティさんを、我々の惑星に招待して、風土と学園の見学に招こうとわけだ」
ミミミツは自信ありげに言ってきた。
「ハヤタ、お前の無知で、我々の足を引っ張らぬようにな」
当然、嫌味も忘れていない。




