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新たな大地に花束を  作者: 高速左フック
第五章 ハヤタ、誰が笑えますかい?
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第四十九話

 「おいおい、どうなってるんだ!?」


 ここは宇宙船の機内、様々なざわめきが沸き上がる中、とうとうこんな怒号が飛び始めた。


 「ですから、落ち着いてください。


 当機は…」


 「だから、それは何度となく聞いた。


 今、どういう状況なのかと、聞いてるんだ!!」


 『そうだ、そうだ』と、他の歓声に後押しされ、係員を困らせているのが、なんだか悲惨だったが、ハヤタはため息をついていた。


 「なんで、こうなるんだ?」


 事の発端は生徒会の活動での、ミスティのいるトァール学院の惑星圏に行くところまでさかのぼる。


 ……。


 「ええと、後はゲートを潜れば…」


 手続きを終え、指定されたゲートを向かい宇宙船に乗り込もうとしていた。


 今回の違いは、一人であるという事。


 理由はこちらの用事で、30分ほど遅れるという事を、ナタル達に連絡をして、一人でミスティのいる惑星に行く事となった。


 惑星間を移動する手段を、30分毎にやってくるのは別におかしい事ではない。


 地球とは単純に技術レベルが違いすぎるだけの話。


 ハヤタにしても、そんな『おかしさ』など、もう気にもならなくなっており。


 ナタルとの生徒会の活動、クオウとの付き合いで何度か、様々な惑星に行き来すると、感覚がマヒしてくるのだろう、ホントに。


 「慣れって、すごいな…」


 まったくである。



 「本日は、当機をご利用くださり、まことにありがとうございます」



 ちょうどハヤタが席に着こうとしたあたりで、女性のアナウンスが流れた。


 真新しさもないハヤタは、周囲を眺めていると家族ずれの団体が、にこやかに談笑もしている。


 「それでは、まもなく出発をします。


 安全のため、重力が安定するまでの間、席を立たないでください」


 自然と外を眺める。


 感覚のない重力変化を味わいながら、昼から夜へ星空へ。


 『キャッ、キャッ』と子供もテンションを上げるが、ハヤタはテンションを上がるほどではなくなっていた。


 ハヤタが気になる事と言えば、


 「おっ」


 その宇宙船の翼部分に、拳ほどの隕石が当たったくらいだった。


 しかし、次の瞬間。


 ウィーン、ウィーン。


 不気味な警報と共に、こんなアナウンスが流れた。


 「ただいま右翼部分に、鉱石の接触が確認されました。


 担当の職員がチェックにいたしますので、当機はエンジンを切り。


 慣性で航行いたします。


 なお、照明を非常灯に切り替えますので、安全のため席をお立ちになる際は、お近くの乗務員に訪ねください」


 最後に『ご迷惑をおかけいたします』という、ハヤタは、


 「ふー」


 冷や汗が凄い事になっていた。


 「……」


 明らかに動揺しているので、言葉がない。


 なので、彼の心境を文面に表してみよう。


 …何、え、止まったの?


 …え、慣性って、あれだよな。

 

 …モノを投げた時の後のって、ええ、止まった。


 …え、放送、止まった?


 …え、それだけ?


 冷や汗だらだら、動揺が凄い事になっていた。


 「お客様、どうなさいましたか?」


 さすがに乗務員が声を掛けてくれたので、ハヤタは取り繕うように聞いてみた。


 「い、いやあ、久しぶりに船が止まるっていうのを経験したんで、ちょっと戸惑ってさ…」


 「あ、そうなのですか?


 どうもレアメタルが、フィールドを突き破って当たったようなので…」


 「お母さーん、今、お船止まったの~?」


 「そうね、まあ、暇だからお母さんと外を眺めていましょうか?」


 「……」


 「お、お客様?」


 話の途中で子供が『キャ、キャ』と、笑い合う家族を見て、さらにハヤタは顔を青くしていた。


 しかし、そんな動揺をよそに、通常通り、運航が再開されたので事なき事を得たので一安心して、


 「今日、こういう事があってさ…」


 合流後にそういう事を話すのだから、


 「ハヤタ、大げさ…」


 「へっ、ビビッてやんのっ‼」


 当然、生徒会の別室にて、ハヤタは笑われていた。

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