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新たな大地に花束を  作者: 高速左フック
第四章 ハヤタの眉間が寄る時
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第四十四話

 「いや~、今回の事件はちょっと手こずっててね~」


 グリグリ眼鏡と言えばいいのだろうか、そんな眼鏡をかけたモジャモジャ頭の彼女はおそらく美人なのだろう。


 「……」


 しかし、ハヤタの表情を見ればわかるだろう。


 「ハヤタ君~、いやあ、待たせたね~」


 前回も言った通り、彼女の事が嫌いである。


 そんなハヤタの気持ちも知ってか知らずか、アポニーはニヨニヨと笑みを浮かべていた。


 それを見たワトニーは、少し驚きながらも聞いた。


 「まさか、あの集団詐欺の事件を解決したというのですか?」


 「そんなの今日という日に比べれば、大した事はないのだよ。


 ワトニー君。


 キミも、そうだろう、ハヤタ君~」


 そして、ハヤタは呟く。


 「…チェンジ」


 「はい?」


 今までとは違うハヤタの雰囲気に、ワトニーはその呟きを聞き逃してしまう。


 「コイツ、チェンジ」


 「んな、ちょっとハヤタ君、キミ、失礼じゃないか?」


 「今まで俺の調書が進まなかったのも、コイツの所為だぞ?」


 「失礼だな、ボクは真面目にやってるんだ。


 あっ、チェンジって、ボクと交代したいからか?」


 この会話で、どう解釈をすればそうなるのだろうと、ハヤタはあからさまに嫌な表情をするが、アポニーは構わず、ワトニーに言った。

 

 「そもそも、さっきのやりとり通り、事は進んだ」


 えっ、聞いてたのですか?」


 「うん、30分くらい前まで、聞いていたよ。


 はっきり言って、聞いた限りだと、ボクの想像通りの展開だったよ。


 だからこそ、最大の謎が残ってるんだよ?」


 「最大の謎?」


 「ナタル氏、ハヤタ君と同じ感じだからナタル君かな?


 彼女には、どんな小説でも、どんな犯罪でも、起こりえるであろう。


 大きな疑問がある。


 この疑問を、キミは、どうやってクリアしたのか解明するべきだと、ボクは思うのだよ」


 腕を組んで、感慨深そうにアポニーが言うので、ワトニーは聞いてみた。


 「それは一体なんなのでしょうか?」


 「彼女の心境の変化だよ」


 アポニーは静かに言うので、ハヤタに向かって言った。


 「ハヤタ君、キミと彼女が顔を合わせた当時、彼女は、視力を失った事もあって、気が立っていた。


 それは担当医や、周囲の証言が証明している。


 特に、キミは異性だからか、それとも異星人だからか、毛嫌いされていた。


 なのに、事が起きた当時、どうして仲良く話すような状況で調べ物を行われていたんだい?」


 言われて気づいたワトニーが息を吞む。


 こうなると、ハヤタは自ずと自分が話さないといけないとなる。


 「そんなの些細な事だろ。


 人が仲良くなるきっかけなんて些細な事が多いのが、惑星が違えども、それこそ良くある事だろ?」


 「そうかな、こっちでも映像なりをみて確認したけど、キミ、大層な嫌われ方してたじゃないか?


 キミにも気に障る事もあったのだろうね。


 それなりの対応で答えてる時もあった。


 その手の嫌われ方をしてる相手に、些細なきっかけあったとしても、仲良くなる事は不可能に近いと思うよ?」


 ハヤタは素直に鋭いなと感じ、


 「確かに第一印象が全て、とはどこでもあるモンだな?」


 嫌味混じりに、嫌な印象しかないアポニーを見つめていた。


 「そうだろう、せいぜい、嫌味を言われるのが止まるくらいだ」


 その通り、彼女は、鋭い。


 「だからこそ、私はある仮説を立てたのだよ」


 ハヤタにしても、それは素直に感じてはいる。


 「ナタル氏の好感度の爆上がり、その犯行の計画性、そして…」


 先ほど事件を解決したなどと、言っていたがそれはホントの事なのだと、彼女の優秀さも理解出来るほどだ。


 「私の趣味の考古学をもって、ある答えが浮かんできたのだよ」


 しかし…。


 「君は…」


 ハヤタにとって『嫌な点』というのはここにある。


 「忍者だからだ!!」


 この女の捜査の方向性の異常さだけは、納得出来ないでいた。


 おかげてハヤタは頭を抱える羽目になるのは、言うまでも無い。



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