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新たな大地に花束を  作者: 高速左フック
第四章 ハヤタの眉間が寄る時
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第四十三話

 「これも一種の端末でさ。


 試してもみたから、ワトニーさん、これをまず、起動させてみてくれよ?」


 ハヤタは自分の生徒手帳をワトニーに差し出した。


 「あんまり、こういう機械に詳しいワケじゃないけど、それは出来ないはずだ」


 「まず『出来ない』というのが、大事なんだよ」


 『やってみ』とハヤタがいうので、ワトニーはハヤタの生徒手帳を操作を始めた。


 「ボクにも、そこの捜査官もナノマシンが投与されているんだから…。


 ほら、この通り、ボクのナノマシンが反応して…」



 『本人と認証されませんでした。


 本人以外の、操作は認められません』



 生徒手帳から流れた機械音声と字幕をハヤタにみせて、操作できないのを見せるとハヤタは頷いた。


 「そこでコレを用意する」


 「イヤホン?」


 「正確には有線のイヤホンだ。


 コレを、この穴に差し込んで見る…」


 さすがに操作してみろと仕草でわかったので、ワトニーは操作すると、


 「これは…」


 起動音と共に初期操作画面が開かれて、他人であるワトニーは動かせていた。


 「どういう事だい?」


 記録係の男も興味が沸いたのか、席を外して、操作を始めると出来ていたのを見たハヤタは。


 「俺もどういう事かってのは、説明出来ないんだけどさ。


 当時、偶然、こういう事を知ったんだ。


 それで俺は自分の端末に、アイツの惑星の情報をダウンロードして…」


 「そこはナタルさんが、やったんじゃないのかい?」


 「アイツは眼が見えない。


 だから、ダウンロードする役は、俺だよ」


 その当時、ナタルの端末とすり替えたのを思い出しながら答えた。


 「質問をし合いながら、俺は見てるふり、ナタルはその情報を、音声ガイダンスで聞いていたんだ」


 「どうして質問をし合いながら、そんな事をしてたんだい?」

 

 「そうすれば、漏れる外部音声はオレの端末からだが、外見からはわかりずらくなる。


 その施設の担当がヒルデだったら、バレてただろうけどな」


 ワトニーは『なるほど』と納得して言う。


 「当然、その端末は操作上、操作してるのは、キミと錯覚してるんだろうね。


 そして、漏れる音声は、ナタルさんの耳の奥…」

 

 ため息をついて、改めて聞いていた。


 それはとても改まっていた。


 「キミは自分が何をしたのか、わかってるの?」


 今までの態度とは裏腹に厳しく言ってきたので、ハヤタは頷いて。


 「わかってるよ、やらかしたって事くらいわな」


 自分の戒めを答えた。


 「配慮が足らなかったなんて、言い訳をしちゃダメだよな。


 『それ』に気づいたのは、ホントに最後の最後だった」


 ふいにハヤタは、妙な事を思い出した。


 「幼稚園だったかな?


 道徳の授業でやってたか?


 母さん言ってたかな?


 『自分が悪い事をしたら、ごめんなさいと謝りなさい』


 でも、世の中には…さ…」


 結論を言う前に、ハヤタは頭を抱えてしまうので、ワトニーは続きを言う。


 「知ってる?


 『ごめん』で全部、物事が解決するのなら、警察はいらないんだよ?」 


 それはとても厳しい言い方だった。


 「その台詞、どの惑星にもあるんだな…」


 だからこそ、自分で言わないといけないのが分かった。


 「でも、それでもアイツは知りたかったんだよ…」


 この後悔は、自分が一生背負うモノ。


 だからこそ、ワトニーは厳しく言ったのだ。


 「知り合いの安否、親戚の安否、一番、知りたいのは両親の安否だよな」


 「キミは利用されたって、考えた事はないの?」


 「情報は全てナタルの耳の中って、言ってたけど、オレは目が見えてたからな。


 アイツ、母親に似てるんだよな…。


 気づいた時には、全てが終わってた。


 『利用された』という考えより、自分の置かれた身ってのが、骨身にしみたよ」


 「『やらかしてる』ね…」


 「言っとくけど、この件は、お互い水に流してるからな」


 「私は捜査をしている身だ。


 そこは中立的な立場で、見させてもらうよ」


 そう言ってるわりには、ワトニーに笑顔があった。


 が…。


 「それは、どうだろうか!?」


 その時『バンッ』と、勢いよく取調室のドアが開いた。


 「いや~、ようやく、今回の詐欺事件の目処がついたよ~。


 ハヤタ君、待たせたね!?」


 赤毛のモジャモジャ頭にメガネを掛けた、女性が転がり込むように入室してハヤタを見た。


 「待ってねえっての…」


 ハヤタは露骨に嫌な顔をした。


 彼は彼女の事を、よく知っている。


 彼女こそ、この前にいるワトニー捜査官の前任者で、アポニー捜査官であり。


 前回の少し語ったかも知れないが、はっきりと言える事は、


 ハヤタは、この捜査官が嫌いである。

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