表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新たな大地に花束を  作者: 高速左フック
第四章 ハヤタの眉間が寄る時
41/91

第四十一話


 「毎回、苦労を掛けるね?」


 「いえ、まあ、仕方ないと思うよ。


 それがアンタらの仕事だろ?」


 ハヤタは大して、気にはしてない様子を見せるが、今回の事情聴取、記録係のはいつもの警察官だったが、正面で聴取をしている担当とは違っていたので、少し緊張をしていると、


 「仕方ないといっても、キミは納得していないようだけど?」


 ワトニーという中性的な雰囲気の女性警官が、勘違いして笑顔で聞いてきた。


 しかし、嘲笑的な笑みじゃないのはハヤタには見て取れたので、悪態なく言った。


 「いや、自分の惑星にも、ええと『未成年を深夜に連れまわしてはいけない』って言う、似たような法律はあったから、こういう聴取には納得はしてるんだよ?」


 「まあ、この事例は変わってるのもあるからね。


 調書によると、体細胞、血液検査も、ナタルさんとほぼ同じ年齢の判定が下っている。


 だけど君は、母星の滅亡した結果。


 二級劣等種になった。


 その際、一級劣等種と違い、年齢を消滅したんだよね?」


 「他の惑星の存在を認識していたか、どうか?


 これが、それが二級劣等種と一級劣等種の違いだって、入院中、よく教育されたから覚えてる」


 ハヤタはワトニー断りを入れて、スマホを操作して、身分証明する画面を表示する。


 名前の横に年齢を表示するのであろう項目に、()に線が引かれていた。


 17歳だったのを思うと、さっき言った事は嘘だと思い知らされてしまう。


 「正直、慣れてないけど…。


 だか年齢が、無くなったから、俺がナタルを連れまわし、その『未成年を深夜に連れまわしてはいけない』が成立してるとは思いもしなかったよ」

 

 それに頷いて、ワトニーは端末を操作して、現れた画面を手でなぞり。


 調書をもとに、当時を語る。


 「当時、ナタルさんは錯乱状態にあった、病院を脱走。


 視力を失った事もあり、自動運転の車椅子の操作を誤り、病院の外にて転倒して動けないでいるのを、協力を申し出た同室のハヤタ君が、彼女を発見した。


 本来は助け、戻ってくる。


 と思われたが、君は脱走をほう助した。


 間違ってはないね?」


 「うん、間違ってない」


 「どうして?」


 「うん…」


 実際、この事情聴取は初めてではなかった。


 このワトニーの問いは、何回目になるであろう問いだった。


 ハヤタは少し思い出すように言った。


 「しばらく時間がたつから、思うようになったけど、あの姿が、自分にも言えた事だからなんだろうな」


 ワトニーの画面を触る手が止まった。


 「どういう事かな?」


 「そりゃ、ナタルと俺は違うよ。


 一級、二級の以前にな?


 目も見えてるよ。


 生きた世界も価値も違うと思うんだよ。


 でも、その当時、抵抗してるアイツに言った事がな。


 俺にも言えた事なんだよ」


 「何を言ったんだい?」


 「『どうしようもないだろ』とか、


 『わかんないけど、やらないといけないだと』とかも言ったっけな。


 見てられないからそんな事言ってたけど、考えてみれば、俺にも言えた事でさ。


 自分の姿と被ってたんだ」


 「それが連れ回した理由?」


 「そうなんだろうな」


 「それが連れ回して良い理由になると思う?」


 ハヤタはワトニーの言い方が、警察らしさを感じたのでうなづいた。


 「そんなナタルの姿を見て、イライラしたんだ。


 現実を教えるつもりで、連れ回したんだ。

 

 当時は、ああするしかないと思ったんだ」


 ワトニーは静かにいった。


 「ここに来て、新しい証言だね」


 「連れ回した、事実は変わんないだろ。


 こういう証言を、書き換えてどうするんだ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ