第三十九話
「随分と言い切るモノね。
結婚なんて、まだ、考えてない。
今の生活で手一杯だ。
そんな手一杯で状況だと、ミスティに迷惑が掛かる。
だから、ベリルの事を対等に付き合うことを約束してほしい。
それでこの話は、終わりだ。
確かにアンタの言い分はわかるわよ?
でも、似たような競技をしてるのだから、話は合うトコロもあるでしょう。
そこから付き合う、というのもあると思うけど?」
ミミミの意見に、
……。
今回は音がしなかったが、ハヤタは確信をもった答え方をした。
「なら、絶対、やめておいた方がいい」
ミシミシ…。
「…?」
「わからないわね、似たような話題も仲良くなる要因でしょう?」
「確かにそういう話や、そういう付き合い方をしてるヤツも見たこともあるけどな。
オレは、もう、あれ以上は出来ないぞ?」
ミミミも兄の命令があったのもあるが、何かしら聞き出したいからこそ、ナタルには伏せたうえでこういう話をして来たのだった。
「でも、結構、いい動きをしていたと思うけど、そういうのって、練習すれば、解消出来るものでしょう
」
「そういう問題じゃなくて。
何て言えば良いんだろ、それ以前の話なんだ。
あれ以上は、身体が動かないんだよ…」
ハヤタはさらに続けて言うのは、知ってか知らずか、
「辛くてな」
周囲を静かにさせた。
「辛いって、しんどいって事?」
「いや、これは哀愁だ。
やっぱりここには『剣道』ってのは、ないんだなってな」
「ケンドー?」
「ああ、オレがデュエルでやってた競技だな…。
ルールは似てるけど、作法も似てるけどやっぱ違うんだなって思ったらな。
何か知らんが悲しくなってな。
あれ以上は、動けなくて…。
正直、つらいんだわ」
哀愁が伝わったのが、ようやくここで周囲が暗くなっている事に気づいて明るく占める。
「まあ、無いものにこだわるなんて、やっぱり俺は劣等種なんだろうな」
そう言って、昼食をとろうと促そうとすると、
「無くなって悲しいと思うのは普通でございます」
突然、ナタルがそう言って、ハヤタは驚いてしまう。
「辛いとお思いになるのは、それだけ大事だったのでございます。
昔、ハヤタ様は、私にそう言ってくださったでは、ありませんか?」
そのセリフにあまりにも聞き覚えがあった。
かつて、ナタルに言ったセリフ。
少し意味合いが違うとすれば、ナタルは両親が亡くなったという事。
かつて怒鳴りつけるように、ナタルに言って、自分も泣いてしまった事も思い出すのには、十分すぎたので照れるというより。
「そういえばそうだったな」
妙な納得があったのは、二人にしかわからなかった。
「ま、そんな気持ちのままで結婚して、仲良くやっていけるとは俺は思えないんだ」
「そんなモンかしらね?」
「そんなモンだ。
ま、一緒に遊びに行ったり、話があったりしたらさ。
文句はないぞ?」
「で、では、ハヤタ様、私も誘ってもいいのでございますか?」
「ま、まあ、構わないがな」
ハヤタはいきなり詰め寄ったナタルに戸惑っていると、ミミミは目をマジックミラーに目を向けた。
「と、いう事らしいわ」
そして、次の日だった。
ハヤタの元に、こんなメールが届く。
「今後の友好を深めたいため、この週末にもお会いできませんでしょうか?」
慣れないホログラム映像のメールに、ハヤタは驚くが、ミミミツは不機嫌であった。
「どうして、生徒会長の私を通り越して、お前に届くぅ!!」




