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新たな大地に花束を  作者: 高速左フック
第三章 ハヤタ、ソラを行く…
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第三十六話

 「どうして負けるとわかってて、この勝負を受けたのですか?」


 「それ、クオウから聞いたの?」


 「いえ、ヒルデ様から伺いました」


 想定と違うナタルの回答に、ハヤタは一瞬、黙ってしまうが、これには『自分の口から話せ』という意味合いがあるのだろう。


 「わかっていなかったからだよ」


 「どういう事でしょうか?」


 「俺はさ、人を呼び出すために、あの装置を使うなって怒ってただろ?


 でも、ミスティは最後まで自分の勝負にこだわっていたんだ。


 結局、あの装置を使ったらどうなるか、ホントにわかってなかったからだ」


 胸の中のナタルは額をつけたままなので、聞いてみた。


 「そういえば、ナタルは制御装置の対象外だったな?」


 「はい、優良種や一級劣等種は、その防犯装置の対象ではありません」


 「身体中をを徘徊してるナノマシンを、強制的に歩き回らせるだけの単純な装置なんだが、俺らにはさ…。


 それが激痛が走るわけだ。


 それも身動きがとれなくなるくらいにな。


 …それをミスティは知らなかったんだ」


 ハヤタは『勝てない』と言ったヒルデや、クオウの前で話した事を話す。


 「ミスティは、そんな装置を使ってたんだ。


 ベリルがどんな状態で、ミスティと接していたか知らずにな。


 そんな状態のヤツを、足手まといと言ったらダメだろ?」


 「ハヤタ様は制御装置を使ってこさせるのが、狙いだったのですか?」


 「俺が勝とうが、負けようが結果はどうでもよかったんだ。


 ただ、あの装置を使うとどうなるのか、そんな相手を間近で見てほしかったんだよ。


 そして…」


 ハヤタは今回の本当の思いを答えた。


 「ベリルに、謝ってほしかった」


 自分勝手な想像だと、つくづく思ったが、ハヤタは頭がクラクラしたので、自分が今、その状態だというのを思い出したので、


 「悪い、寝るわ…」


 そういうと、


 「はい…。


 ごゆっくり…」


 ナタルはハヤタを抱き寄せた。


 「…!!」


 ハヤタは驚きもするが、そのまま眠りにつくのだった。


 そして、翌日。


 ハヤタの住むアパートの二階、彼の部屋に続く床は鉄筋である。


 ガンガンガンガン。


 階段を駆け上がり、こちらに向かってくる様な音は、ナタルの目を覚ました。


 「…けなさい!!」


 ドンドンドン。


 勢いよく部屋のドアを叩く音。


 ナタルは寝ぼけもあるが、物々しさに不安を見せたが、


 「んん…」


 ハヤタも目覚めた事に、安堵を見せる。


 「ハヤタ様、おはようございます」


 「ああ、おはよう」


 身体を起こして、ハヤタは懐かしむように言った。


 「ナタル、いつも俺より早く起きてるな。


 って、入院してた頃を思い出した」


 そうやって、二人して思いに浸っていると、


 「ちょっと、無視しないでよ!!」


 ドア越しにいるであろう、ミミミに注意されていた。


 そして、彼女は入ってくるなり、ナタルに詰め寄った。


 「何もされてない?」


 「私たちは一緒に眠っていましたが?」


 その一言で、ミミミはハヤタを睨みつけるが、どうやら『何かした』と思われてるらしい。


 おかげで騒がしくなったので、部屋を仕切ってあるカーテンが揺れ、


 「何よ、騒がしいわね~?」


 寝起き独特の気だるい声で、この騒がしさを注意された。


 ナタルは声色でヒルデとわかったが、眠る前になかった仕切りカーテンを不思議そうに見ていた。


 「ハヤタ君、若いからって回復が早いのはわかるけど、私、寝起きが悪いって言ってなかった?」


 そう言って、カーテン開くと予想通りヒルデが現れた。


 下着姿で…。


 「アンタ、最低…」


 ミミミの視線が痛い事、痛い事…。



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