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新たな大地に花束を  作者: 高速左フック
第三章 ハヤタ、ソラを行く…
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第三十五話

 『優良種相手に、勝てるワケがない』


 コレが夢かどうか分からないが、ハヤタはヒルデにそう言われて諭されてた事を思い出していた。


 「そんな事、やってみないと分からないだろ?」


 自分の当然の反論、それにヒルデは呆れを見せて答えていたのを、よく覚えているからだろう。


 彼女は、その豊かな胸元から、どうやって取り出したのか、あるスイッチを取り出してきた。


 「ハヤタ君、コレ、見覚えくらいあるでしょう?」


 見覚えがあって当然、今回の事件のキッカケとなった。


 ナノマシン制御装置だった。


 対象の相手のナノマシンを強制的に作動させて、行動不能にさせる防犯装置なのだが。


 「……」


 入院中、ハヤタも『経験』していた事もあり、思わず息を呑んだ、ハヤタの代わりにクオウは悪態をついた。


 「あの野郎、正々堂々と口走っておいて…」


 「ミスティは使うとは、限らないだろ?」


 「そりゃね、見せしめに大きな会場をとるほどだもの。


 見ての通りプライド高い彼女が、そんな事をするとはこっちだって、思いたくないわ。


 でもね。


 問題は、今回、その大きな会場に、どんな人が…。


 どんな優良種が、観戦にやってくるのか、考えた事がある?」


 ヒルデの意見にクオウが黙ったので、ハヤタは察してしまう。


 「ハヤタ君、入院中、私の婚約者が何をしたのか、忘れたワケじゃないでしょう?


 その優良種が何をしたのか、思い出してみて…。


 改めて言うけど、貴方は、勝てないわ」


 そんな前置きと。


 「それでも勝負をするというの?」


 ハヤタは最初の辺りで、叩かれた自分の尻をさすり黙っていると…。


 「ああ…」


 自分の意識が、現実に戻った。 


 夕暮れ時の独特の暗闇は、どこの惑星でも共通の暗さがある。


 だが、クセで時計を見ようとするのは、感覚的に自分の部屋だとわかったからだった。


 「はあ…」


 安心感からのため息が出たが、やっぱり思った事は、


 「勝てなかったか…」


 想定された敗北の感想に、ようやく身体を起こそうという気になった。


 「お目覚めでございますね、ハヤタ様…」


 そして、顔を照らすVR。


 「ナ、ナ、ナタル!?」


 自分の布団の中にナタルがいたので、しかも一緒に寝ていたという事に、ハヤタはそれは驚いた。


 「どうして、こんなトコで寝てるんだ!?」


 「はい、看病です」


 「か、看病…」


 どうみても添い寝なので、おかげでハヤタの動悸が収まるわけがなかった。


 そして、ナタルは理解していない様子で、


 「はい」


 と、頷いて答えていた。


 「クオウ様から…。


 『看病なら、見てるだけじゃ駄目だ。


 人肌で暖めてやると、良い効果が得られる』と、おっしゃってました」


 「ひ、人肌ね…」


 「はい、人肌というのが、少し理解しかねましたが、その様子でしたら、効果はあったみたいですね」


 VR越しニコニコとしているであろうナタルをみて、クオウの意図を理解していたのはハヤタだけだろう。


 「あのオオカミ…」


 卑しいオオカミ男の笑顔を邪険して、再度、立ち上がろうとした途端だった。


 「うお…」


 頭がクラついて、気分が悪くなった。


 「ハヤタ様、無理は駄目です」


 ナタルに袖を引っ張られ促されるように、身体が再び、布団の中に沈んだ。


 よほど自分の身体が弱っているのだろう。


 「なんだが、かっこ悪いな…」


 今の状況に、素直に感想が漏らしていると、


 「ハヤタ様…」


 ナタルは装着していた、VRを外して、こちらを見ていた。


 VRの照らされた明かりから、普段、学校では見る事のない綺麗な顔立ちが露わになり。


 ハヤタは戸惑っていると、ナタルは構わず布団の中のハヤタの身体に額を当てて聞いてきた。


 「一つ、よろしいでしょうか?」

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