第三十四話
夕方、彼女は駆け出していた。
「ミスティ様、さすがです、おつかれでした」
その取り巻き達の笑顔が、
「お退きなさい!!」
彼女を苛立せ、
「さすがミスティ様、感動しました」
花束を抱えて出迎えたミミミツに、怒りが頂点に達し、
「退きなさい!!」
女性ながらに怒鳴られて、ミミミツは茫然としてしまう。
だが、構わずそのままミスティが向かう先は、ハヤタの控室に他ならなかった。
「おい、ここからは…」
クオウの手下のオオカミ男達が、彼女を止める最中に、彼女が誰なのかわかり、気に入らない様子をみせて言った。
「こっから先は、立ち入り禁止だ。
来るんじゃねえ」
「どうしてですの、私は彼に用がありますのよ?」
「確かにそうだけどな。
今は入るな」
「ですけど!!」
「ハヤタはアンタらの制御装置のせいで、動けないんだぞ?」
自分がやったワケじゃないので、ミスティは苛立っていたのもあって、
「劣等種のクセにっ!!」
彼女はいつものクセ、そんな感情をぶつけてしまった。
「お前…」
おかげで周りの手下達は殺気立つ。
だが、ここで控え室のドアが開き、そこから出てきたのはクオウだった。
騒がしいから出て来た感じだったが、途中のやり取りを聞いていた。
「ハヤタも劣等種だぞ?」
双方が殺気立っていたが、片方、ミスティの覇気がなくなっていくので、クオウは手下達を下がらせていくのは、簡単な事だった。
「カシラ、ハヤタはどうなんですかい?」
「やはり、後半、かなり無茶していたらしい。
少し安静が、必要なようだ」
すると当然と言えば当然だろうか、手下の何人かミスティを睨んでいた。
「おい、やめとけ、コイツには関係ないだろう」
ミスティはさすがに彼らが、どんな感情でじぶんを睨んでいたのか鈍くなく、クオウに『関係ない』と言われて、どうにかあえないかといおうとすると。
「ハヤタはこういう事も覚悟して、お前に戦ってたんだぞ?」
「そ、それはどういうことですの?」
意外な言葉に思わず、そう聞いてしまったので、クオウに呆れられてしまった。
「お前は随分と能天気なモンだな?
お前にとってはただの勝負だったかもしれん、だがな、こんな目にでもあわないと、お前がホントに『仕出かした事』をホントに理解出来ないだろうとな。
あいつはそんな気持ちで、お前にに向かって行ったんだぞ?」
すると再度、ハヤタの控室のドアが開き、ヒルデが出てきた。
どうやら会話の内容を聞いていたらしく、半ば呆れながら答えた。
「一応、医者として私は、止めたんだけどね。
まあ…」
ヒルデが『じっ』と、ミスティを見つめる。
その視線はミスティにとっては冷たいのが、周囲から見ても明らかだった。
「良い薬になったんじゃないの?」
そのまま何も言えなくなった彼女を見て、クオウは占める意味合い込めて聞いて来た。
「それで女医さん、ハヤタの容体は?」
「やっぱり、ある程度の衰弱しているわ。
ナノマシンが整うまで今日一日は、安静確実ね」
「あれくらって、入院するヤツもいるが大丈夫なのか?」
「入院!?」
ミスティはさらに驚くが、クオウはもう驚かなかった。
「そういうモノなんだよ。
そういう装置なんだよ…」
「そうね、クオウ、ハヤタ君の事、お願い。
私は彼女を送るわ。
そういう装置を使うと、どういう事になるのかもね」
ヒルデの釘の刺し方に、クオウは納得して、この場は解散するのだった。




