第三十一話
「料理は、一人暮らしに、必要な、スキルなんだ、よっ!!」
「ふざけて!!」
そんな会話と、攻防の中を知って知らずか、クオウの手下がハヤタに感心していた。
「すげえ、ハヤタのヤツ、全然、戦えてるじゃねえか?」
「ああ、コレなら、ひょっとして…。
いけるんじゃないですか、頭?」
クオウは、頷いて答えた。
「アレが、あのスカートの効果らしい」
「えっ、そうなんですかい!?
アレは笑いを取るためじゃないんですか?」
「バカ、ハヤタは大まじめなんだよ。
アイツにしても、あの手の競技で重要なのは『足』にあると教えられていたそうでな。
ああやって、膝やら足下を隠してないのと、無いのじゃ大分違うらしいぞ?」
クオウは会場二階から、ミスティの攻撃を受け止めた、ハヤタを見下ろして言った。
「実際、ハヤタにはミスティがいつ攻撃を仕掛けて来るのかが、ある程度わかってるんじゃないか?
あの女の反応の遅れとか、今の攻防を辛うじてやってるのは、そこから来るんだろうな…。
だが…。
あくまで『辛うじて』だ…」
その単語に、クオウの手下、色違いは思わず息を呑んでしまう。
「もしかして、マズいんすか…?」
「決して、優勢じゃねえ。
その証拠に、あの女、しっかり反応して来てるのが、こっちからでもわかり出してる。
むしろ不利なのは、ハヤタの方だ…」
クオウの言うとおり、
「アレを、避けるかよ?」
ハヤタも、そう呟きながら、息切れをし始めており。
「そろそろ、厄介なヤツらが出しゃばる頃だ」
クオウが、そう言った途端だった。
「卑怯だぞ、劣等種!!」
クオウが『来たか』という表情を表すような、
「お前はデュエルも知らないのか!!」
野次が飛んだ。
「そうだ、構えを直しなさい!!」
それに乗じたミスティの取り巻き達も、声を荒げた。
おかげで自然と、勝負は中断してしまう。
「こんな勝負は無効だ。
取り消しだ!!」
見る限りだが、ミスティと同じような優良種なのは、ハヤタで分かった。
確かにハヤタの剣を握る構えは、両手に対し、ミスティは片手で構えていた。
周囲の優良種は、それが気に入らないのだろう。
「ルールも知らない、劣等種が…」
こんなあざ笑うような、野次が飛ぶのはハヤタにしても予想していた。
だが…。
「黙りなさい!!」
遮る様に、一喝したのはミスティだった。
「構えは『そのままで戦う』のは、この劣等種と元から公約を交わしておりますわ」
「ですが、ミスティ様、コレはルールで…」
「そ、そうだ、この劣等種は、その上、奇声まで発している。
明らかな、違反ではないか?」
取り巻きも、他の優良種は顔を赤くして怒るモノもいたが、明らかに萎縮していたが、
「一週間ごときで、この競技が身につくとでも?」
ミスティは怯む事はなかった。
「確かにこの劣等種は、ルールに反し、品もありませんわ。
ですが、この戦い、この試合。
私はポイントが取れてまして?」
その時、全員が促されるように、みんなの顔が動いた。
ポイント
0-0
その通り、この試合は、同点のまま進行していた。
「構えを正したなら、私の有利は揺るがないでしょう。
ですが!!
そんな半端で内容で勝っても、ワタクシは一つも嬉しくもありませんわ!!」
ミスティのさらなる一喝が飛び。
さらに。
「それでも、納得しないのであるなら…。
この勝負を、観戦する資格など、ありませんわ」
彼女は剣で、扉を差して言った。
「出て、お行きなさい」
優良種は文字通り小さくなり、そこで劣等種達の歓声が上がったのは言うまでもない。




