第三十話
「ハヤタよ、全国ってのは、全国って意味だぞ?」
クオウは『知ってるのか?』という意味合いを込めて聞いて来た。
「そりゃ、知ってるよ。
全国大会って、インターハイみたいなモンだろ?」
その時のクオウの表情が、全てを物語っていた。
「だから、全国(世界一を決める大会)だっての…」
「だから、全国(この国の一番を決める大会)なんだろ?」
完全なるハヤタの見当違いに、周囲は呆れていたのに、ハヤタはようやく気づいた。
「もしかして、ワールドカップ?」
と、自分にしかわからない言葉を出して、
「ワールドクラス」
クオウは何となく、解答を付けた。
「そもそも、優良種ってのは、ナノマシン・エキスパンジョンで得意業種を選択はしないような傾向がある」
「どうして、手っ取り早い方を選ばないんだ?」
「プライドがあるんだよ。
どんな惑星の生き物でも、人は何かしら、自分の得意分野、熱心にやろうとする事に、プライド高く着手するような傾向がある。
ミスティってヤツは、真剣に取り組んでいるからこそ、お前に正々堂々と勝負を挑む事にしたんだろう」
そんな回想を思い出して、そんな想いを汲んで、ハヤタは、
「笑いを取るのか…」
「…とってねえよ」
会場は『どっ』と笑いに包まれていた。
「な、ななな…。
何ですの、その格好は!!」
ミスティは、当然、ハヤタに怒りを向けていた。
「うん、それは周りにも言われたよ。
だがな、決してふざけてないからな?」
「男性の貴方が女性モノの履き物を履いて、私の前に現われる事が侮辱で無いと?」
「コレは『ハカマ』って言ってな。
確かにこれは女物のスカートを縫い合わせて作ったもんだが、こんな感じのズボンが俺のトコの正装なんだよ」
この当たりをちゃんと説明しながら、ハヤタはリッカからもらったスカートで作ったハカマの形状を見せて、彼女を納得させた。
「確かにスカートとは違いますのね。
ですが、力を磨く事から入るのでは無く、形から入るなんて、劣等種らしい発想ですわね?」
「そりゃ、どうも…」
確かに自分は女性のスカートを履いた、変質者に見えるのかも知れない。
だが、当のミスティの軽いプロテクターなのはわかるが、何かしらのショックを吸収する効果があるのだろうか、その下の服装は全身タイツなのだから、
「お前は、悪くないんだろうがな…」
少し下心が見えそうになったのを隠すように、ハヤタは身構えて言った。
「とっとと、始めよう。
皮肉り合うために、ここに来たワケじゃないだろ?」
「言われなくても…」
二人とも開始線に並び、周囲が静かになる。
その静寂は、どこの世界でも共通だった。
ブザーが鳴り、
「しゃあ!!」
ハヤタが声を上げた。
次の瞬間、ミスティが一気に間合いを詰めて斬りかかってきた。
「う、うおっ!!」
何とか受け止め、ミスティはつばぜりあった状態で言った。
「相も変わらず、品の無い奇声です事…」
「悪いな。
クセは直らないモンでなっ!?」
突き放したのを狙って『てー!!』と、ハヤタは小手を狙う。
だが、ミスティは軽々と避けてしまうので、機嫌悪そうに構え直し。
「声と一緒の箇所を、打たないとポイントにも、ならないんだよ!!」
再度、ハヤタは攻撃を放つ。
狙いは彼女の右手、
「てー!!」
その瞬間だった。
「何ですの!?」
彼女の反応が遅れた。
慌てて受けて組み合ったのを、チャンスと次の攻撃は彼女の腹部を狙う。
「ちぃ!!」
それを避けられ、ハヤタは悪態を着くが、ミスティの反応の遅れを見逃さなかった。
「良し!!」
たたみ込むように攻撃を繰り出すが、
「甘いですのよ!!」
ミスティもこの競技の選手だった。
守ってばかりではいけない。
そんな考えにたどり着くのが早かった。
攻撃という名の防御、
「すり抜け、な!!」
そして、競技独特の剣の攻撃方法にハヤタを驚かせ、間が出来てしまい。
「う、うお!!」
組み付かれてしまう。
「良く片手で、防御出来るな?」
純粋な力比べなら、有利だとハヤタも思いしたが、一瞬でも気を抜くと、打ち込まれる雰囲気があったので油断できなかった。
「貴方の方こそ、やるではありませんの?」
ミスティも感心した様子を見せて、嫌味を言う。
「貴方、自分のナノマシンに『剣術』を促進させてますの?
劣等種のクセに、道楽をエキスパンジョンするなんて、良いご身分です事ね?」
さすがにわかりやすいので、ハヤタは苛立って見せる。
「なめるなよ、これでも一人暮らしの身なんでな…」」
幸い、男と女の腕力差で、
「オレの、ナノマシン・エキスパンジョンは…」
突き放す事が出来たハヤタは、
「料理だ!!」
何とも言えない威勢の良さで飛んだ。




