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新たな大地に花束を  作者: 高速左フック
第三章 ハヤタ、ソラを行く…
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第二十八話

 「さすがです、ミスティ様」


 そうミスティを取り巻きが讃えているが、彼女の内心は穏やかじゃなかった。


 さっきも『偶然』『マグレ』などと、単語が並んでいたのだから、再びイライラしていた。


 確かに…。


 油断していた。


 そのとおりである。


 そして…。


 「めー!!」


 その品の無い、奇声。


 不覚にも、それに驚いてしまい。


 モノの見事に、綺麗に自身の脳天を打ち抜かれたのだ。


 彼がどういう経緯で、剣の扱い、振り方を覚えたのかはわからない。


 だが、頭部への攻撃は自分たちのルール、その競技『デュエル』という競技では、


 『どんなに点差をつけられようと、打ち抜いたモノは勝ちとなる』のだ。


 ハヤタという劣等種は狙ったのは、偶然、だったのかも知れない。


 だが、自分は経験者なのだ。


 頭部への攻撃は当然、警戒するのは当たり前であり。


 おまけにルールも知らない相手に、そんな内容で負けた自分に納得出来るワケがなかった。


 先ほど自身が、ハヤタのアパートに行ったのも、その偵察のため。


 どのような住まいに住んでおり、その周りにどのようなモノが住んでいるのか、それを調べれば何かがわかると思ったのだが…。


 劣等種らしい、小さな住居に住んでおり。


 そんな隣人らしき人物も、オオカミ男。


 全く以てのわからずじまいだった。


 「もしもし、ワタクシです。


 そちらに何か動きはありましたの?」


 彼女は念のために取り巻きの一人を見張りにおいていたので、連絡を入れた。


 「い、いえ、そ、それなのですが…」


 何とも遠慮がちな返事が返ってきた。


 「何でも報告しても構いませんわ」


 そうは言って促すが、その偵察の声は何とも歯切れが悪かった。


 「そのまま報告をしましても、意味がわからないと思いますので、映像でお送りします」


 怪訝そうに送られた、映像をミスティは見る。


 『うわ、わっ、誤解だ!!


 リッカ!!』


 『この、ど変態がぁ!!』


 大きな女に追われているハヤタの姿を眺める事になるので、さらにミスティを困惑させていると…。


 プルル…。


 さらに連絡が入った。


 「……」


 そして、その人物にさらに困惑していた。


 ……。


 「面打ちは、文句なし一本…」


 ルールを知れば知るほど、ハヤタは、ようやく後悔を覚え初めていると、


 「ハ、ハヤタ様ぁ」


 ナタルは、今にも泣き出しそうな顔をしていた。


 「何も、お前の所為じゃないだろ?」


 「で、ですがぁ…」


 「てか、そのVR、どうなってるんだ?」


 視力を補うVRが輝きが弱いので、ハヤタはさすがに励ます。


 「うん、何だ。


 オレもさ、甘く見てたんだ。


 ミミミツですら、劣等種ってのを毛嫌いしていた。


 ミミミですら、こっちの事情を知らなかったら、嫌な雰囲気だって出していた。


 二級劣等種から差別的に見られてしまうのを、オレは甘く見ていたんだ。


 だから、ナタル、お前の所為じゃない」


 それを聞いたクオウは苛立つように、あぐらを掻いて座り込んだ。


 「差別なんぞ、どこにでもあると思ったが、ここまで酷いとわな」


 「惑星ほしが違えば、その差別も、もっと強くなっていた。


 そんだけの話だよ」


 「んで、ハヤタ、この勝負、受けるのか?」


 それを聞いたナタルは、気が気ではなかった。


 「いけません!!


 あ、あの、今回の勝負、私もやめるように言って…!!」


 ナタルからすれば、自分がすすめた事が、こんな事になるとは思いもしなかったのだろう。


 すでに泣き声だった。


 「ナタル、何もお前の所為じゃないだろ?


 泣かない、泣かない」


 「ですが、明らかに、この勝負、不利で、ハヤタ様を陥れられてしまいます」


 「良いんだよ」


 「ハヤタ様は、負けるつもりで戦うおつもりなのですか?」


 VR越しではあるが、見つめられているのがわかったので、


 「負けてやるつもりもないよ」


 ハヤタは腕を組んで言った。


 「な、何か考えがあるのですか?」


 ナタルは少し明るくなろうとするが…。


 「ないよ、そんなの…」


 「では、どうして…」


 ハヤタはナタルの問いに彼女の頭を撫でながら答えた。


 「ベリルは、そんなアイツに憧れていたらしいんだ」


 「憧れ?」


 「ほら、劣等種は優良種に取り巻くために、部活動をしているってヤツでさ。


 アイツは、真面目にやってるミスティに憧れたらしい。


 ハヤタは苦しんでいたベリルを思い出しながら言う。


 「こういう部活ってヤツは真面目にやってるヤツと、格好でやってるヤツって、姿形から違うモンでさ。


 ベリルはそのミスティに憧れたんだ」


 そして、剣を軽く握り、素振りを見せて言う


 「ショックかどうかはベリルにしかわからないけどさ。


 ずっと耐えてたんだろうな」


 「耐えていた?」


 「それは厳しい練習もある。


 礼儀…あるのかな?


 色んなモンがあるんだ。


 あんな『呼び出し方』されるのもな」


 「憧れた人に、そんな一蹴のされかたしてみろ。


 こっちも、何かしたくなったんだよ」


 「だから、お前はこんな勝負に乗ったってワケか…」


 クオウは笑い出して言った。


 「ようし、乗った。


 オレもその喧嘩、乗るぞ?」


 ナタルも意気込んで言った。


 「わ、私も、喧嘩します!!」


 ハヤタは、さすがに止めに掛かった。


 「いやいやいや、せんでいい。


 特にクオウさん、アンタはアカン」


 「なんぞ、つまらん…」


 何かする気だったクオウに、呆れるハヤタに、そこでようやく場が明るくなったので、ハヤタは言った。


 「あくまで正々堂々だ。


 クオウさんも、その辺はよろしくな」


 「ふむ、じゃあ、何から始める?」


 「できる限り、昔の勘を取り戻したい。


 付け焼き刃だけど、クオウさん、付き合ってほしい」


 「良いだろう」


 「あ、あのハヤタさま、私は何を?」


 「ナタルは、そうだな。


 ルールを知りたいから、説明をよろしく」


 「はい、しっかり勉強します」


 そして、当然、リッカに話かける。


 「そこで、リッカ、ちょっと協力してほしいんだけど…?」


 そこには何かしらの『遠慮』が」あったので、リッカは言った。


 「別に遠慮なんかすんなよ、この流れで断るほど空気が読めないヤツだと思うか?」


 「じゃあ、リッカ…」


 「何だよ、煮え切らないな?」


 「お前のスカート、一つくれない?」


 一瞬で、一同が黙った。


 「いや、ふざけてるワケじゃないんだけど…な?」


 次の瞬間、リッカの強烈なビンタが、ハヤタの頬を打った。


 ちなみにリッカは、種族上の関係で、3メートル近くの身長があるので、威力は言うまでも無かった。

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