第二十五話
『バンッ』
というドアの音が、丁度、ある三人のドアを開ける音と被った。
「お疲れさまです」
ナタルとミミミ、そして、声を掛けられたのはミミミツではなく…。
「いいえ、こちらこそ、機械越しとはいえ、ナタル様は視力を失った身。
その上での会議の参加に、尊敬に値しますわ」
ここの学校の生徒会長である。
名前はミスティ・ナ・マリエルという。
ナタルよりかは身長が高いという点と、他に桃色の髪の毛が特徴だった。
そんな生徒会長を、ナタルはなだめから入る。
「ミスティ様、そこまでかしこまった対応をされなくても…。
事情を知り、それでも今までと変わらずの対応をしてくれるだけで、私はありがたいのですよ?」
その態度に、ミスティは感銘を受けたのか、
「自分の惑星の不幸で、貴女は劣等種になったとはいえ、貴女は何も悪くありませんわ。
私は、そのような事で卑下するような事はしませんわ。
ワタクシの方こそ、今まで通り、接してください」
そんな感じで三人は廊下を歩き、ナタルは聞いてみた。
「トコロでハヤタ様がどこに行ったのか、ご存じ無いでしょうか?」
「ハヤタ様…ですか?
ええと、その方は一体?」
ミスティは自分の生徒達にそんな名前がいただろうかと、少し勘違いしたのが見てとれたナタルは答えた。
「私の恩人の男性です」
それを聞いたミスティは、目を輝かせる。
「まあ、そんな殿方が、ここにいらっしゃいますの?」
どこの世界でも、恋バナには花が咲くようだが、先に案内先に到着した。
「では、ナタル様、ここが私の部活動の場、デュエルの会場ですわ」
他の惑星の、他の学校、見慣れない状況にナタルは新鮮味を感じずにはいられなかったが…。
「あら…」
そこで彼女が見たのは、見慣れた人物だった。
「お待ちしていました。
ミスティさん」
ミミミツである。
まるで全身タイツのような風貌に、独自のプロテクター。
どこの変態だと思いもするだろうが、この男は構わずうやうやしい頭の下げ方をして、ミスティに話しかける。
「私も、デュエルには興味がございまして、そこでミスティさんは全国大会出場をされた実力の持ち主とお聞きします。
私たちの今後の部活動のために、手合わせをお願い出来ませんでしょうか?」
竹では無く、木材でもない素材で出来た剣を『ブンブン』と振り回す、ミミミツを妹は呆れながらミスティを見る。
「あ、ああ、はあ…」
「私も剣術には、多少、自信がございまして…」
ミミミツがそんな事を言うが、昨日一日で身につけた運動能力任せの付け焼き刃だというのをミミミは知っている。
「まあ、よろしいですわ。
用意いたしますので、少々、お待ち下さい」
ミスティにしても、先の素振りで作法の無さを見抜いたのか、
「あのミスティさん、プロテクターは?」
「いえ、お構いなく…」
壁に掛けられた、剣を取り。
お互い開始線に着いたのを見て、
「それでは、ミミミツ様、よろしいでしょうか?」
「はは、手加減はしませんよ」
身構えた当たりで、開始の合図が鳴る。
……。
決着はあっという間だった、その声も、
「これでも真面目に取り組んでおりますので…」
先ほどとは打って代わり、冷たく…。
「聞きかじった作法では、おケガをいたしますので、ここまでに致しましょう」
剣だけを払い落として、ミミミツは一歩も動かず。
「え、ええ…。
そ、そうですね…」
空返事するだけなのをみた、ミスティは取り直すように言った。
「これでは、ナタルさん達に活動の様子が伝わらないですわ。
今、部員を呼びますわ」
そうして『少々、お待ちを…』と、しばらく、その場を離れていった。
「大丈夫、兄さん?」
「あ、ああ…。
さすが全国大会出場の常連の腕前だ」
あっという間に負けた時の独特な表情をしつつ、動揺を隠そうとする中、その部員がやって来た。
「お、お待たせしました」
ベリルだった。
「遅いですわよ。
私に、恥を掻かせるつもりかしら?」
ミスティは先ほどの態度とは、うって変わって強めの態度をとり。
「ご、ごめんなさい」
そして、ベリルも別人のような態度をとっていた。
後ろからハヤタ達がやって来たので、ナタルの表情は明るくなるが、
「ハヤタ様?」
様子がおかしい事に気がついた。
「おい、お前か?」
ハヤタはミスティを睨み付け、そう聞き、明らかな空気の違いがあった。




