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新たな大地に花束を  作者: 高速左フック
第二章 ハヤタ学園で何をする?
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第十六話

 「ハヤタ様~」


 翌日、ナタルが手を振って出迎えてくれた。


 「おはようございます」


 「ああ、おはよう…」


 ハヤタは挨拶をするが、早朝のため思わずあくびしてしまう。


 「はい、ハヤタ様も凄い大あくびです」


 ナタルの笑顔に思わず照れてしまう。


 そんな中を遮るようにミミミツは言う。


 「よくも逃げずにやって来たな?」


 相変わらずの態度なので、黙っているとミミミツは続けた。


 「今日は生徒会、そして、生徒会室を案内してやる」


 「そりゃ、どうも…」


 「そうか、ありがたくしておくのだな。


 それから本格的な仕事に移るのは、放課後だ」


 「は、放課後、いきなりか!?」


 その反応にミミミツは、いやらしい笑みを見せた。


 「なんだ、いやなのか?


 だったら、やめておくか?


 別に止めはしない。


 所詮、劣等種には勤まらなかったという事だ」


 どうやら自分の反応は、予想されていたらしく、ハヤタにとって癪に障るので、


 「じゃあ、ナタル、生徒会室ってどこにあるんだ?」


 とりあえず無視をした。


 「な、貴様、無視をするな!?」


 そして、案内されたのだが…。


 「やっぱりな…」


 「どうしました、ハヤタ様?」


 ナタルはきょとんと首を傾けていたが、ハヤタは何となくこのミミミツが何やら企んでいるのを感じて、嫌でも落胆を感じたのも無理も無かった。


 そして…放課後…。


 さらにハヤタは驚く事になる。


 「意外とまともだ…」


 ミミミツが与えた仕事というのは、指定された階の教室や廊下を掃除をするという事だった。


 「というか、リッカも生徒会の一員だったんだな?


 てっきり一級の人等か、あんなヤツらが生徒会をやってるモンだと思ってた」


 「この通り、アタシは頭も良い方じゃないんでね。


 学園活動をしてれば、赤点免除になるんだよ。


 そんな考えで参加してるのが、何人かいるんだ。


 一握りではあるけどな」


 「一握りね。


 あれ…?」


 思わずハヤタは疑問に思いもした。


 「そういえば、生徒会のメンバーにしては人数が少ないような…」


 「まあな、それがその一握りだろうな。


 『格上げ』だって狙ってるヤツもいるだろうし、お前みたいな劣等種を嫌っているのもいるよ」


 ここまで来ると、ハヤタも何かしら察する事もあった。


 「という事は、この任務もミミミツは、何かしら企んでいるって事だろうな」


 …その通り、ミミミツにとって狙いがあった。


 「私もハヤタ様も、一緒にお掃除をしたかったのですが…」


 「ナタルさん、そう言わないでください。


 これは彼の素行テストなのですから…」


 そんな兄の対応に呆れて見せたのは、ミミミの方だった。


 『また』この兄はやったのだ。


 「確かにナタルさんの推薦もあります。


 ですが、やはり肝心なのは真面目に取り組んでくれるのかですよ。


 ですから、これはテストなのです」


 「はあ、テストですか…」


 といえば聞こえは良いのだろう。


 口八丁手八丁、言い続ければ、この兄は嫌な笑みを浮かべる。


 その通り…。


 気に入らない人は徹底的に排除するのが、この兄なのだ。


 つまり、これは『選別』だった。


 「ご愁傷様な事…」


 そんなやりとりも知らないハヤタは…。


 「あ、ハヤタじゃねえか、どうしたんだよ?」


 同じように掃除用具を持っていたパンチと合流していた。


 「生徒会の仕事でさ、掃除をしろってな」


 そういえば、このサル顔のパンチも、その学園の掃除が職業だと聞いた事があるのを思い出しながら、教室をみると…。


 「……」


 ミミミツの狙いが読めたような気がした。


 「なあ、パンチ、どこにでもいるんだな?」


 「何がだよ…?


 ああ…」


 曖昧な発言だったためか、パンチは一旦、聞き直そうとするが何となく感づいた。


 人を見かけで判断してはいけない。


 オオカミ男のクオウにしかり、身長三メートル越えのリッカにしかり、このサル顔のパンチにしても…。


 他の惑星に来たのなら、それはなおさらな話なのだが…。


 だが、どんな環境においても、似通った予感が漂って来るモノで、ハヤタの表情が曇る。


 「ま、まあ、放課後なんてさ、どこの惑星ほしも、こんなモンなんじゃねえの?」


 そういうパンチとハヤタは意気投合して、


 「……」


 その区画だけを、避けるように通り過ぎようとする。


 「……」


 当然、リッカの冷たい視線がある。


 「だって、なあ、パンチ君」


 「そうだよなあ、ハヤタ君」


 『危険な場所には近寄らないのは、基本だよな?』


 「ユニゾンしてて、恥ずかしくないのか?」


 リッカの呆れるような指摘があったのか、当然、強い口調が飛ぶ。


 「おい、お前等、ちと待てや…」


 

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