第十話
「良いのかな~?」
つまり、一級劣等種が取る昼食というもの、想像出来ないワケであって…。
「もしかして、お前が出向いて行かにゃ、ならんのじゃないのか?」
ハヤタは自然と不安になっていたが、隣のサル顔に注意を向けた。
「んで、何でパンチがいる?」
「何でって、そりゃひでえな。
一級劣等種に招かれたんだろ?
俺も、おこぼれに預かろうと思ってさ~」
「ただが昼飯だろう?」
この友人は『嬉嬉々(うきき)』としていた。
やはり学生身分というのは、出会いを求める。
そういうトコロはどこでも一緒らしく、ハヤタにしても理解があったので、ここまで言うのに留め、一応の注意をする。
「なら『大人しくしとけ』とまでは言わないけど、もし、ナタルの友達を連れて来ても、我慢はしとけよ?」
「何で、我慢せんにゃならんのよ?」
「ナタルは色々あったから、そんな事は無いけどさ…。
やっぱり、相手は一級劣等種だからな。
あの子の知り合いに、キッツいのいるから」
「そんなにキツいのいるの?」
パンチは不安になるが、ハヤタは昨日の思い当たりを口にした。
「うん、特にキッツいの、昨日、経験したからな~」
「うわあ…」
パンチにしても一級劣等種が、どういうモノなのか思いあたる節があったらしく『不快』としていた。
「まあ、その辺は我慢するしてくれよ?」
待ち合わせ場所は、劣等種側通路の食堂で良いという事なので、周囲、リッカを含む巨人集団の通過を見送っていると、声がした。
「ハヤタ様、お待たせです」
周囲が見慣れぬ優良種を見て、驚くのを尻目に、ナタルが嬉しそうに走り寄ってきた。
「ナタル、走らない!!」
そして、それを制した付き添い、ミエ・ミカ・ミラもした。
「ミミミ、大丈夫です。
ええと、そちらの方は…?」
「ああ、パンチって言うんだ。
…同じ劣等種」
ハヤタは少し『劣等種』という単語に少し抵抗があって話をしていると、
「ナタルを同じ劣等種と言わないでほしいわね。
貴方達は二級、三級の劣等種、一級劣等種は優良種と同じ扱いだというのを知りなさい」
昨日と相変わらずの態度だが、少し違う感じがしていた。
「コバヤシ・ハヤタ、貴方の事をナタルから聞いたわ。
あの時、世話になったみたいね」
「ああ、入院の時か、気にすんなよ」
「お礼と言っては何だけど、食事に付き合ってあげるわ」
だが、この態度である。
パンチは彼女の性格のキツさを何となく察し、苦い態度をとるのも無理も無い。
だからこそ、反撃である。
「トコロでナタル。
ミミミって、何?」
「ええ、ミエ・ミカ・ミラ。
呼びにくいですので、ミミミって、呼んでます」
ちなみに何となく察した上での質問である。
見るとミミミは顔を真っ赤にしていた。
「ナタル、ここでそんなの言わない!!」
ミエ・ミカ・ミラ。
以後、彼女はミミミと呼ばれてしまうのであった。