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[完結]私は、幸せになります  作者: ちゅらちゅら
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 私は、マリーたちが帰省している長期休暇中 エマさんの店にでかけたり、図書館に通ったりし

てすごした。お休みでも食堂は、開いているので 食事には、困らなかった。


「ソフィーさん 学長が呼んでいるわ」

ミサさんが、声をかけてくれた。

「えっ 学長? 」

学園の3階にある学長室 重厚なドアが、開いて中に招かれた。

そこには、入学式の時見た年配の女性が座っていた。横には、担任教師もいた。

「ソフィーさん お休み中に来てくれてありがとう。お休みはどう過ごしているの?」

「アルバイトと図書館で過ごしています。父から何か連絡が有りましたか」

「あなたのお父様が、あなたを男爵籍から抜かれたの。何故か知ってる?」

「そうですか。卒業までは抜かないといったのに」


 わたしは、母が死に継母とひとつ下の実の妹が来たこと、妹を跡継ぎにしたいと言われた。

亡母との約束で学園だけは、行かせてもらえることになっていた。本来は、学園卒業時に

貴族籍を抜く予定だったが 妹の入学前に絶縁したかったんでしょうと説明した。

「あなた 辛くないの?」

「つらい時期は、何も分からなかった頃でした。理由がわかったら諦めました。退学ですか?」

「何言ってるの あなたがよかったら、平民枠の特待生扱いにしたいの」

「えっ 特待生?」

「そうなの 教職員会議で、平民枠の特待生に移行してはどうかと言われているの。学費は免除、

寮は今のままで良いわ 何も変わらず学園ですごせるの もちろん学業は、学年10位以内という制限があるけど。先に納められた学費は、今期分以外は、払い戻しになるから 生活には困らないでしょう」

「ありがとうございます」 深く頭を下げた。学園を止めなくて良いことに安堵した。


 ソフィーが出ていったドアを学園長と担任が、見つめていた。

「なんてことでしょうね。首席を取るような娘を除籍する親がいるとは、わたくしは、初めての

経験です。辛いことなのに ソフィーさんは、当たり前の事のように受け入れていました。

貴族籍抜けていずれ平民になるから 成績公表しなかったのね。来年には、妹が入学するとは・・・」


 翌朝 ソフィーは、エマさんに 今回のことを話した。静かに話を聞いたのち

ソフィーを抱きしめてくれた。初めての涙が一筋流れた。 


 私が、2年になりマリーとともに専門コースは、文官コースを取ることにした。

マリーは、大きな商会の娘なので、多国語や外国の事や地方の事を学びたいらしい。

そして、1年にダイアナが入学してきた。



 私は、モンゴメリー男爵家の一人娘。シャンパンピンクゴールドの艶やかな髪に翡翠色の青い目

父も母も 私ほどかわいい娘は、いないと言われて育った。訳あってしばらくは、父と一緒に

暮らせなかったが、今はとても幸せ。今年から学園に通うが 寮なんて嫌なので、学園の近くに 

小さな屋敷を購入してもらい そこから馬車で通うことにした。父は、私に甘い。

私には、先妻の子供、姉がいるらしいが覚えていない。もう 除籍しているので関係ない。

影が薄く醜かったらしい。一緒に通わなくって良かった。


 ここの学園は、貴族が多く通うので、素敵な人に出会えたらいいな。母からこの腕輪を持たされた。

この腕輪を持っていれば 素敵な人に出会えるって。母は、平民なのに父に望まれて妻になり

貴族になったの。私、とても楽しみにしている。この腕輪に 魅了の魔法がかかっているらしい。

母は、愛する人を見つけるお守りだと言っていた。私は、知っている。この腕輪があれば 

私の事を必ず好きになってくれる。この学園には、宰相、侯爵、公爵、伯爵といい所の息子が

そろっている。わたしは、母とは違う。男爵家なんて継がない。もっと格上に嫁いで、

社交界の華になるの。


 同じクラスの王都の貴族の息子にすり寄って、学園のパーティーに参加する。そこを足掛かりに

もっと格上の貴族に出会う機会を作らないと。ドレスにしても宝飾品にしても父からの仕送りでは

足りない。スポンサーは、必要よね。

 入学してすぐに 私は、注目の的だった。同学年の男子生徒からよく声を掛けられた。

当然 勉強も上位に入らないまでも それなりに良い成績を取っている。

母は、字も読めず書けなかったし、マナーも父に教わっていたから その辺 私は、努力した。

気に入らない平民や女生徒も利用できるのだから 優しくしてあげるの。誰が見ているか分からない。

自分を高く売るには、あそこにいるような高飛車な貴族令嬢になったら政略結婚しかないでしょ。

私は、男爵家だから 格上貴族から望まれて結婚しなければならない。

よく考えて行動しないと。


 王都の貴族の息子は、少し貧乏男爵家の娘と涙を見せたら すぐにドレスを買ってくれた。

恥ずかしいから 秘密にしてと言ったら 君を守るよと言ってくれた。

他の人には、宝飾品を購入してもらった。他の人には、母の形見なのと言えば 新しい物を

購入してくれた。

「あなただけ」

「尊敬しています」

「感謝しています」

「とてもしあわせです」

という言葉は、魔法の言葉だった。



 

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