表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[完結]私は、幸せになります  作者: ちゅらちゅら
4/23

4

ソフィーは屋敷を旅立ち学園に向かった。

新しい生活に心弾ませる。

 ソフィーはセバスとメリーに見送られ王都行きの馬車で学園に向かった。

二人は長年屋敷に勤めてくれた。私が北部屋に住むようになっても父たちの目を盗んで

私のお世話をしてくれた。私にとって父よりも身近な存在だった。屋敷でお嬢様として

暮らした私が、母を亡くし父に忘れられても生きてこれたのは二人のおかげだった。

 

母が死んでからは、影の薄いやせっぽちの私を気にかけてくれた。 

一人暮らしのための知識を与えてくれたのも二人だった。

他にも侍女がいたのにソフィーに気遣いを見せた者はいなかった。

私は継母やダイアナに虐められることもこともなかった。

存在自体を認めていなかったのかもしれない。

今一度母のいた部屋の窓を眺めたのち前だけを見て歩き出した。


 退職した二人は街に小さなお家を買って過ごすらしい。

最後まで父と会話できなかった。それでも父が幸せなら母は喜んでいるだろうか。

私にはわからない。母の気持ちを理解できる年になるのはいつだろうか。

今はこの屋敷から抜け出せることが嬉しい。学園の4年間に自分で生きていく道を見つけよう。

母のカバンを膝の上にのせて馬車に揺られている。まだ見ぬ学園に期待していた。


 白い大きな門の前にソフィーは立っていた。

門の向こうに木々に囲まれた教会の様な学校の建物が立っていた。

門の横にブルーの制服に身を包んだ騎士が二人立っていた。

ソフィーは、ほとんど屋敷から出たことがなく街に出て買い物が出来るようになったばかりだ。

きりりとした怖そうな騎士に声を掛けることが出来なかった。

カバンから入学許可証を取り出し手渡した。

「お嬢さん声が出せないのかい。入学の生徒だね。随分早く来たんだね」

「お前が怖い顔しているからだよ。俺ら今日がここに初めて守ったから緊張してたんだ。

君と同じ新米だよ。ここの門を入ったらそこの真ん中の道をまっすぐ行くと

学園の受付がある。そこでこれを渡すといいよ。 頑張れよ」

先ほどとは打って変わって優しげな顔になって案内してくれた。頭を下げて門を通りすぎた。


 学園の受付は扉を開けたすぐの所に準備してあった。

無人のためベルを鳴らすとすらりとした女性が現れた。

「ソフィーといいます」と言いながら 入学許可証を手渡す。

「少し早いけど入学おめでとう。これからの3年間が有意義でありますように。

寮生ですね。ご案内いたしますね。まだ1年生は、誰も来ていないの2,3年生がいるから

心配しないでね」

学園の受付から出て木立の向こうに見える女子寮に向かった。歴史ある石造りの建物は

木立の中で優雅にたたずんでいた。私の部屋は2階の205号でシャワールームとミニキッチンが

付いた部屋だった。あまりの待遇に驚いていると

「ソフィーさんのお家は、貴族ですからね。

もっとすごい部屋があるのよ。中には侍女を連れてくる人もいます。学園は、一応身分は、

関係ないと言いますが高貴な方とのお付き合いは気を付けた方がいいですよ。

また平民の方もいますので気になることも多いと思います。あらっ私ったら余分なことを

言ってしまったわね。これに寮の決まり事が書いてあるから読んでおいてね。 

入口の左に食堂があります。今日から使えるから。

私は、学園事務のミサといいます。分からないことあったら声かけてくださいね」

ミサさんは鍵をソフィーに手渡し階段を下りて行った。

 

 ソフィーは、新しい部屋が嬉しかった。日差しが入る窓薄緑のカーテンが揺れている。

風とおしの良い部屋は湿ったかび臭い匂いもしなかった。置かれている家具には傷もシミもない。

寝台に置かれた布団はふかふかとしてすぐに寝ついてしまいそうだ。

誰にも気を遣わず声を殺すこともない。人目を気にして歩くこともない。

食事をとることも気兼ねなくできることに安堵した。

今になって屋敷の生活は息苦しかったことに気が付いた。

窓を開いて新緑の木々と風を感じながら深呼吸をした。














 




誤字脱字報告ありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ