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[完結]私は、幸せになります  作者: ちゅらちゅら
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ソフィーの旅立ちセバスのひとり言

 母の残してくれたカバンに部屋にある私の物を収納した。

母の袋もカバンの中に仕舞う。メリーが料理のレシピを手渡してくれた。

翌朝 すがすがしい青空の中メリーとセバスに見送られて王都に向かった。


 私はソフィーお嬢様が学園に向かうのを見送った。

50年このモンゴメリー男爵家に仕えている執事のセバスといいます。

先代の旦那様が、マリー様を気に入って若旦那様の奥様にしたのです。

特別に美しいわけではなく貴族でもない。親さえいない。

若旦那様は納得していませんでした。わたくしもなぜだか分かりませんでした。

しかし お仕えしていくうちにマリー様は、気立てが良く、優秀な方だとわかりました。

大旦那様の仕事が手伝えるほどのお方でした。大きな商談さえ任されるほどに。

若旦那様はいたって凡庸なお方でした。だからこそ大旦那様はマリー様を選ばれたのでしょう。

ほとんど屋敷に帰ってこない若旦那様にマリー様は怒ることなく従順に従っていました。

そのうちにお嬢様が生まれこのまま平穏が続くと思っていました。

しばらくして、大旦那様がなくなり若旦那様があとを継がれたのです。


 若旦那様は文官としてお城に勤めてはいますが高位文官ではありません。

先代の残してくれたわずかばかりの土地からの税収ではこの屋敷を維持するのも大変です。

商会との取引の利益が主な収益でした。

若旦那様は文官の給料と貴族手当てを大旦那様が亡くなる前からマリー様に渡していませんでした。

マリー様は、裏庭の薬草からお薬を作ってそれを売りお金を稼いでいました。

旦那様が外にお好きな方を作っていても奥様は、自分の魅力がないからと何も言わず。

旦那様の不在中でも女主人として私達を守ってくれていました。 


 私とメリーは奥様から「ソフィーが学園に行ったらここを辞めてもいいのよ」と

退職金を手渡してくれた。旦那様の不誠実に年を取った私とメリーが怒っていたのを

知っていたのでしょう。ソフィー様を守ろうと頑張っていました。

マリー様が亡くなって新しい奥様を連れて来た時は驚きました。

ましてソフィー様より1歳下のお嬢様を連れて来たのです。

私は旦那様の目を盗んでソフィー様を守りたかった。

他のメイドがどんどん新しい奥様やダイアナ様に付き従っていく中メリーだけは

仕事合間にソフィー様に声を掛けてくれていた。

男の私では気が付かないことをしてくれていました。

 奥様が亡くなれる前日枕もとで「ソフィーが学園に向かう時

家を追い出されるときに手渡してください」と手渡された袋を大切に預かり 

私は学園に向かう前日に渡すことが出来ました。 


 メリーはなぜだかお嬢様と料理をしたり街に変装して買い物に出かけた。

きっとソフィー様は学園を卒業してもこの屋敷には帰ってこないのでしょう。

それが分かっているのでメリーは、お嬢様にどこに行っても困らないように

街での生活の仕方を教えていたのです。 


 ソフィー様は、奥様に似て色の白い黒い髪の黒目のしとやかな淑女に美しく成長されました。

しかし奥様が亡くなってからは、前髪を長くし髪は後ろで一つに縛りいつもうつむき加減で

お顔を見ることもなくなりました。

私とメリーは、二人でお暇を申しでました。

旦那様の許可を貰いソフィー様を見送ったのち私たちも屋敷を出て 

街の片隅に買った小さな家でメリーと老後を過ごすことにしました。

早くに実家を出て働いていたため実家とは疎遠になっています。

今更戻れません。同僚が家族のようなものなのです。

そして ソフィー様が何かあったら私たちが迎えたいと思っているのです。

お嬢様お体に気を付けて頑張って下さい。

私とメリーがお嬢様の力になりたいです。

私は近くの商店の事務仕事を、メリーはお裁縫の腕を買われ洋裁の下請けをすることにしました。

頂いた退職金はソフィー様にいずれ渡したいと思っています。

幸せを見つけてください。疲れたら羽を休めに来てください。

 


購読ありがとうございます。

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