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[完結]私は、幸せになります  作者: ちゅらちゅら
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 エマさんの話を聞いて、母の事をほとんど知らないのに 驚いた。

久しぶりに母の手帳を開いた。母と祖母の思い出が書いてある。他に何か手掛かりがないか

もう一度丁寧に読み返してみた。母は、あの屋敷にいる間 笑ったことがあっただろうか。

いつも疲れて 青白い顔をしていた。そんなことを思いながら最後の表紙に触れた時

不自然に厚かった。ナイフで切り目を入れると 中から紙が出てきた。

今まで魔法ばかりに気にかけて気づかなかった。

手帳より新しい紙には、


      女神の加護の事、決して 話してはいけない。


 母は、女神の加護を持っていたから 男爵家に連れてこられたんだ。

先代は、男爵家で加護を多用させたんだ。だから商売が上手くいき 富を得た。

まだ幼い私を人質にして、母に無理をさせた。

「ごめんね 守ってあげられなくて」と母は、よく私に言っていた。

先代は、私が加護を継ぐのを期待していたのかもしれない。先代はそれを確認する前に亡くなった。

父は、先代や母を嫌って ほとんど家にいなかったから 加護の事を知らない。


 母にとって女神の加護は、不幸の加護だった。加護が無ければ 男爵家に来ることはなかった。

私が最後の継承者かもしれない。 時の流れとともに魔法も加護も薄れていく。


       消えてしまえ 女神の加護!


 私は、女神の加護を 誰にも知られないようしようと強く思った。

魔法が無くても 加護が無くても自分の道は、自分で開いていく。

あと少しで 研修が終わる。

進路先を決めなければならない。それだけに 気持ちをひきしめる。



 母がお父様と結婚して、ダイアナは男爵令嬢になった。素敵なお家に住んで、美味しいものを食べて、

綺麗なドレスを着ることが出来た。街での暮らしは、決して貧しくはなかった。お父様が、稼いで

来てくれていたから。それでもお屋敷に引っ越してからは、侍女がいて すべてやってくれる生活は、

お話のお姫様のようであった。

「ダイアナは我が家のお姫様・・王女様だよ」と

父が言ってくれた。私は、町娘ではなく 王女なのかもしれないと思った。

 貴族が通う学園に入学した。素敵な婚約者を見つけるために!


 手始めに 商人の子と仲良くしてみたら ドレスや宝飾品を贈ってくれた。

優等生には、勉強を教えてもらう。少しずつ格上の貴族子息と繋がりを持った。伝手を広げていった。

長く付き合うと 相手が執着することを知った。商人で学習した。商人なんか相手にならない。

騎士団長の息子、大司教の息子、5貴族院の孫達 とても順調だった。

どの男子学生も ダイアナを見て 頬を赤くした人は、私に夢中になっていった。

誰もがエスコートをねだり ドレスを贈ってくれた。中には、家の宝物を持ち出す人もいた。

別に 私が欲しいと言ったことはない。

「あなたの瞳の色のドレスを着てみたい。パーティー用のドレスが無い。首元が寂しい」

それだけで 彼らが用意してくれるのだから 私は、悪くはない。 


 突然 実家の男爵家が 困窮していると連絡があった。王都の別邸を売り払いたいと 

どういう事かと母に手紙を送った。商売がうまく行かず、取引に失敗して借財ができたらしい。

別邸を売れば、しばらくは、しのげると返信が来た。

 たとえ男爵でも 貴族であることが大切だった。貴族だから 貴族と結婚できる。

母のように いくら美しくても 普通は 男爵の正妻にはなれない。


 父を魅了の魔法で、母の虜にした。母から離れないように 他の事を考えられないように。

それでも 先代には、認めてもらえなかった。先代が死ぬまで、屋敷に上がることが出来なかった。

先代が死んで、先妻を離縁しようにも こちらの不貞があるので、なかなか進まなかった。

父と母は、しびれを切らしていた。そんな時あの女が死んだ。神が真実の愛に味方したと父は言った。

神様が味方したかはわからないが、都合よく死んでくれたので 母は、男爵夫人になれた。

母を見ていればよくわかる。母、今幸せだと思う。


 でも 私は、王女様なの。母のように父に従うような生活はしたくない。

お金の心配なんてしたくない。私は、旦那様に愛されて 皆にかしづかれて、社交界の華になりたい。

私は、母のように男爵夫人で終わるなんて 絶対嫌。



 

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