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[完結]私は、幸せになります  作者: ちゅらちゅら
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 研修3ヵ月目で、雑務から各地方貴族の納税計算をすることになった。そこで 偶然にも

ソフィーは、モンゴメリー男爵家を受け持つことになった。私は、今平民の特待生なので

差しさわりはない。手渡された書類の数字は、酷いものだった。

「モンゴメリー男爵は、どうしたんだろう。先代は、私の知人でやり手でね、

商売も手広くしていたんだよ。それなりに利益も多くてね。安定した収入があったはずだ。

それなのに息子は、平民の女性と結婚させたらしい。

そして 息子は連れずに、お嫁さんをいろいろの取引に連れ歩いていたんだよな・・・

まあ そんなことは良いから 何年か前からの納税記録などから なにがあったのか読み取る。

ここは、数字からすべての情報を解き明かす部署だからね」と 

担当武官が古い書類を手渡した。


 調べていくと 母が嫁いだころから 徐々に収益が増えていく。収入が増加 納税額もちゃんと

増えている。その前までは、特別豊かな経済状態でなかった。母が、何かの働きをしていたことは、

明らかだった。母の死後 徐々に収益は下がっている。納税額も当然減っている。しかし

分割納税するほどの額ではない。分割納税は、収入待ちしながら少しずつ納税するものだ。

貴族ではありえない。商売をしている平民ならまだしも。収入の多くが他に回されている。

一人子供の籍を抜くと貴族人頭税が減る。だから私の貴族籍を早く抜いたんだ。納得した。

他の貴族や大きな商店なども数字から読み取れることを書類にまとめ提出した。



 今日は、研修半ば 宰相主催の文官研修参加のパーティーが開かれた。

正式な社交のパーティーではないので 私達研修生は、研修服で参加しても構わない。 

ドレスの用意もできないので助かる。貴族の研修生の多くは、研修パーティーのため控えめな

装いも多かった。当然ソフィーは、研修服である。マリーや担当官と話していると 

一段と賑やかな声が聞こえてきた。目を向けると そこに 豪華なドレスに身を包んだダイアナが

入ってきた。忘れていたのに見た瞬間ダイアナだとわかった。

「セドリック 何しに来た」

怒鳴りつけるような声が会場に響いた。

「お父さん 声を荒げないでください。ダイアナは,優しいから驚くだろ」

「お前は、ここが何のパーティーかわかっているのか。学ぶ者のための・・」

「分かっているけど なかなかダイアナを紹介できないから 突撃したんだよ」

「お初にお目にかかります ご子息セドリック様とお付き合いをさせていただいています

モンゴメリー男爵家長女 ダイアナと申します」と優雅に挨拶をした。

相手の怒りを理解していないのか、ニコニコと宰相の子息の腕に縋りついている。

「なぜここに来たんだ。 場違いな格好で、それに君に話しかけてよいと言ったか?

貴族のマナーも知らないのか。セドリックすぐに帰宅して謹慎していなさい」

「お父さん」

「一生懸命に働いて 学んでいる者しか ここには、入れないんだ。お前も君も部外者だ。

衛兵 この二人をつれだしてくれ」

二人は、衛兵に連れられて 外に出ていった。

「無礼だぞ」

「俺は未来の宰相だぞ」

「私に触れないで」と訳のわからないことを吠えていた。


 「すまなかった。愚息が、申し訳ない。さあ 気にしないで楽しく過ごしてくれ」

そう言って 宰相は、息子の出ていった扉に向かっていった。

「宰相も頭痛いよな。まだ 長男がしっかりしているからいいけど。セドリックは、あそこまで

おかしくは、なかったのに。 遅くにできた次男だから 甘やかされたかな」

そんな声を横で聞きながら ダイアナの腕にあの魅了の腕輪が輝いていたことを思い出した。 




購読ありがとうございます。

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