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第8話

「...結構寒いな」


 防寒着を持ってくればと後悔する。

 あの後バリアを通り抜けて、かなりの距離を歩いた...はず。歩いても歩いてもまだ目的地には辿り着かない。ついでに日も落ちてきたせいなのか、かなり肌寒い。といっても、まだ夏のはずなんだけど。


「...うん?夏?」


 そうだよ。夏だよ。夏なのに日が落ちたぐらいで防寒着が欲しくなるほど寒くなるはずがないんだ。少なくともここは極寒地帯じゃないんだから。じゃあこれは一体...?

 と、思っていた矢先、なにか建物が見えた。

 助かった。あそこで少し暖を取らせてもらおう。

 そう思い、その建物に向かったのだが...。


「え...?」


 絶句した。だって、そこに見えたのは...、


「ま、魔王城...?」


 諸悪の根源、魔王が住む城がそこにあった...。


「!?なんだお前は!」


「やばい!」


 惚けてると、見張りのモンスターに見つかった。

 急いで戻...、


「待ちたまえ」


「っ!?」


 後ろを向いて戻ろうとした瞬間、目の前にデカいモンスターがいた。

 あれでもなんか貫禄がちがう...。マントも羽織ってるし...、まさか...!


「我はシド・ファルオン。この魔王城の主、つまり、現魔王だ」


 ...終わった。



「さぁさぁ、遠慮なくくつろいでくれ」


「あ、はい、どうも...」


 ...え?今何が起こってる?俺確か魔王に見つかって、連れてこられて...。お茶出されたんだけど???


「あ、あの...。なんでもてなしてるんです?」


「?そりゃあ、客人はもてなさなきゃ。当然だろ?」


「いやそうですけどね?普通はね?でも僕冒険者ですよ?討伐しようとしてる方ですよ???」


 疑問符しか湧かない状況である。


「まあまあ。そんなカリカリしてちゃ体に悪いぞ?」


 と、ホットミルクを出される。


「...毒入りですか?」


「失礼すぎじゃないか?」


 いやだって、ねぇ...。


「まあ、疑うのも無理はない。私だって同じ立場だったら警戒するだろう」


「だったらなんで...」


「無論、君と話がしたかったからだ」


「何目的で?」


「この世界のことと、君のことについて、だ」


「...?」


 僕のことについて...?


「単刀直入に言うと、君はーーーーー」



 その後、どう聞いていたか分からない。ただ、話の内容は妙にはっきりしていた。そして、どう帰ってきたかも覚えてない。気がついたら、バリアの前にいた。もちろん、パーティーメンバーもいた。


「お、帰ってきたな」


「おかえりなさい!どうでした?というか傷一つありませんね?」


「逃げてきたとか?」


「ちょっと失礼ですよ!でもどうしたんです?浮かない顔ですよ?」


「バリア解除出来なかったとかなら気にしなくていいぞ?ルイが言うに、このバリア、夜中あたりに弱まるらしいから」


「そしたら突撃だ。今のうちに、荷物の確認を...」


「...うん。それなんだけど、ちょっと待ってくれないかな?」


「?いいけど、どうした?」


「実は...」


 僕は先程のことを話した。ただし、魔王から言われたことじゃなくて、バリアの先にあった建物について。


「マジか魔王城かよ...」


「一体どうして...」


 と、ショックを受けてる2人。そりゃそうだ。一方で、


「......」


 静かにコーヒーを飲んでいるマールル。

 やっぱ動じないんだなぁ...。あ、でも手が震えてるからそうでもないみたい。


「みんな、これからどうする...?」


「どうするも何も、クエストは中断ですよ...。魔王になんて今の私たちでは勝てません。ましてなんでこの地のバリアの先に魔王城があるんですか...」


「だがこれは好機だろう?私が軍を派遣して魔王軍を殲滅することだって...」


「簡単に出来るわけないじゃないですか!国の軍の力を疑ってるわけじゃないですがそれでも強大なんです!」


 わーわーと議論をしているルイとマールルを横目に、タイセイは、


「1度戻ろう」


 と言った。それにつけ加えて、


「王様に会おう」


 とも言った。

 ......え?

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